南斗屋のブログ

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「法廷の星条旗〜BC級戦犯横浜裁判の記録」

2017年04月29日 | 横浜BC級戦犯裁判
戦犯裁判の中で有名なのは東京裁判です。研究もかなりあります。BC級戦犯となるとマイナーな分野になるようで、研究はぐっと少なくなります。裁判の話しなのに、弁護士が書いた本は意外に少なく、横浜弁護士会「法廷の星条旗〜BC級戦犯横浜裁判の記録」があるだけでしょうか。

同書は2004年発行です。それまであまり弁護士はこの問題を省みてこなかったのです。戦犯裁判についての弁護士側の問題意識は薄かったんですね。
2004年発行というと、戦争が終わってから60年近くが経過してのことです。それまでこの問題は忘れさられていました。忘れさられていたというより、この問題に触れたくなくて忘れようとしていたのかもしれませんが。

「法廷の星条旗」では具体的なケースをとりあげて法的な妥当性を検討していることが特徴です。
 取り上げられているのは、
1 俘虜虐待、土屋ケース。
2 軍律会議による処刑が罪に問われた東海軍・伊藤信男ケース、台湾軍律・小池ケース。
3 軍律会議によらない米軍機搭乗員斬首事件として、西部軍事件、東海軍・岡田ケース、中部軍・憲兵隊事件。
4 収容所における虐待事件として、日本鋼管川崎工場・石毛事件、海軍大船収容所・実松譲ケース、函館俘虜収容所、本所事件・分所事件。

この中で2の東海軍・伊藤信男ケースについては、「軍律法廷 戦時下の知られざる「裁判」」(朝日選書 北博昭著)で取り上げられています。同書は軍律法廷というものがどのようなものであったかがメインテーマです。軍律法廷というマイナーなテーマですが、手続きがよくわかります。


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