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自治体が著作物の制作を依頼する際の留意点~著作権と著作者人格権  

2020年11月27日 | 地方自治体と法律
自治体が広報力を強化するために、著作物の制作を外部委託することが増えてきていると思われる。著作物の制作を依頼する際に法律上留意すべきことのうち、著作権と著作者人格権について取り上げる。

1 著作権を自治体に譲渡する条項を入れる
 制作者が著作物を制作したときには、著作権はその制作者が取得する。よって、この著作権を制作者から自治体に譲渡するような条項が必要である。
「(制作者)は(自治体)に一切の著作権を譲渡する。」・・・(ア)
 しかし、これだけでは十分ではない。
 著作権法には、「著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。」という規定があるので(61条2項)、(ア)の条項だと、翻案権(著作権法27条)及び二次的著作物の利用権(同法28条)が制作者に残されてしまうからである。
 これを避けるためには、
「(制作者)は(自治体)に一切の著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)を譲渡する。」
というような条項を入れておく必要がある。

2 著作者人格権を行使しないような条項を入れる
 制作者が著作物を制作したときには、著作権のほかに、著作者人格権が生じる。
 著作権は他人に譲渡できるが、著作者人格権は譲渡できないため、次のような条項が必要となる。
 「(制作者)は、著作物について、(自治体)及び(自治体)の指定する第三者に対して著作者人格権を行使しない」
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