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和解事例1591から1594

2020年01月20日 | 原子力損害

2019年12月26日、原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)から和解事例が公表されました(和解事例1584から和解事例1598まで)。今回は、1591から1594までの和解事例を紹介いたします。
1591=帰還困難区域(浪江町)の日常生活阻害慰謝料(増額分)等に関するもの
1592=帰還困難区域(大熊町)の日常生活阻害慰謝料(増額分)等に関するもの
1593=自主的避難等対象区域(川俣町)の営業損害に関するもの
1594=茨城県内で原木しいたけの生産販売業を営んでいた者の風評被害に関するもの

和解事例(1591)
帰還困難区域(浪江町)から避難した申立人らについて、1.原発事故前は、自己所有の田畑で耕作した米及び野菜を自家用消費していたが、原発事故によって購入を余儀なくされたとして、直接請求手続による既払金とは別に49万円が、2.原発事故前は、井戸水等を利用して生活していたから水道料金の負担をしていなかったが、避難によってその負担を余儀なくされたとして、避難先での水道料金が、3.避難によって家族間の別離を余儀なくされたとして、月額3万円ないし5万円の日常生活阻害慰謝料の増額分が、それぞれ賠償された事例。

和解事例(1592)
帰還困難区域(大熊町)から避難した申立人ら家族(夫婦及び子)について、申立人子が成長障害と診断され、特殊な治療を要することとなったことを考慮し、平成29年5月から平成30年9月までの治療費及び通院慰謝料等が原発事故の影響割合を3割として賠償されたほか、申立人夫につき、家族別離を理由に日常生活阻害慰謝料(増額分)が平成23年3月分から平成26年2月分まで、月額2万円ないし5万円賠償された事例。

和解事例(1593)
自主的避難等対象区域(川俣町)において工業製品の加工等を営む申立会社について、主要な取引先が福島第一原子力発電所から一定の距離の範囲内で製造された製品の購入等を禁止する方針をとったことから、申立会社は、同範囲内に所在する複数の工場の機能を、新たに賃借し、後には購入した同範囲外に所在する第三者が所有していた工場建物に移転させたところ、劣化していた同建物の屋根や浄化槽等の補修が必要となり支出した費用につき、原発事故の影響割合等を考慮し、およそ8割の限度で賠償された事例。

和解事例(1594)
茨城県内で原木しいたけの生産販売業を営んでいた申立人らの風評被害に基づく営業損害(逸失利益)について、単に基準年度の売上高と請求年度の売上高との差額を基に算定するのではなく、原発事故当時の増産計画による売上げ増加の計画について実現の蓋然性を一部認め、その範囲の金額を基準年度の売上高に加算した金額と請求年度の実際の売上高との差額を算定し、その上で、平成30年1月分から同年12月分まで、原発事故の影響割合を8割として賠償された事例。


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