南斗屋のブログ

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自賠責保険における高次脳機能障害

2009年06月21日 | 高次脳機能障害
 高次脳機能障害がどのような場合に認定されるかということについては、なかなか難しい問題があります(過去記事「画像所見と高次脳機能障害(大阪高裁判決より)」


 交通事故の被害者が、高次脳機能障害かどうかを認定される第1関門は、自賠責保険での認定だと思いますので、
  自賠責保険が高次脳機能障害をどのようにとらえているか
について見ておきます。

 「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」という報告書があり、それが自賠責保険における立場を詳しく説明しています。
(報告書原本は→pdfファイル


 これは、平成19年2月2日に自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会で作成されたものです。
 
 この報告書によると
  自賠責保険における高次脳機能障害とは、脳外傷後の急性期に始まり多少軽減しながら慢性期へと続く、特徴的な臨床像を指すものとされています。
 標題だけあげておきますと、次のとおりです。

 1 典型的な症状ー多彩な認知障害、行動障害及び人格変化
 2 発症の原因及び症状の併発
 3 時間的経過
 4 社会生活適応能力の低下
 5 見過ごされやすい障害
 6 労働能力
 
 1項であげられている「認知障害、行動障害及び人格変化」の意味をそれぞれ見ておきましょう。

 認知障害・・・記憶・記銘力障害、注意・集中力障害、遂行機能障害のことです。
 具体的には
  新しいことを覚えられない
  気が散りやすい
  行動を計画して実行することができない
などをいいます。

 行動障害
  次のような行動の障害があげられています。
  ・周囲の状況に合わせた適切な行動ができない
  ・複数のことを同時に処理できない
  ・職場や社会のマナーやルールを守れない
  ・話が回りくどく要点を相手に伝えることができない
  ・行動を抑制できない
  ・危険を予測・察知して回避的行動をすることができない

 人格変化
  受傷前には見られなかったような自発性低下、衝動性、易怒性、幼稚性、自己中心性、病的嫉妬・ねたみ、強いこだわりなどの出現
 
 これらの症状は、軽重はあるものの併存することが多い
 
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