Leikon's Photo Diary

写真とカメラなどに係わる独り言

三月大歌舞伎 第三部

2023年03月08日 23時06分38秒 | 歌舞伎
誤認衆の H 口さんのご厚意で、歌舞伎座第三部に芝居見物です。
お目当ては愛之助さんの伊左衛門。10 年前に仁左衛門丈の名品を見物していますので、同じ松嶋屋の次代の立ち役ホープがどう演じるか。お誕生月で張り切っているでしょうし( 4 日で 51 歳。その 10 日後の 14 日は仁左衛門丈の 79 歳のお誕生日でした。来月のニザタマ『きられ与三』のチケットを取らなきゃ!)。夕霧は全部同じ玉三郎丈ですから猶更楽しみです。また同じ玉三郎丈の髑髏尼も初見なので、どんな世界が見られるか楽しみ。
 
新しい緞帳のお披露目がありました。横山大観「霊峰飛鶴」。
 

髑髏尼。難解です。現代劇のような台詞回しでスタートしました。玉三郎丈と亡霊の愛之助が映像的に美しいことは認識できましたが、私には最後まで何を言いたいのかピンと来ませんでした。筋も暗いし。歌之助くんも大役を頑張って演じていましたけど。

この後は「吉田屋」のような分かり易くて明るい芝居で〆ないと歌舞伎座に来た甲斐がない!
先ず愛之助の伊左衛門。3 人観た俳優の中では 2 番目でしょうか。愛嬌のある役どころはニンから言っても問題ないですね。ええしのボンに見えます。ただ、10 年前に観た 60 代後半の仁左衛門丈が浮世離れした大金持ちの育ちのイイ、でも女に入れあげて勘当されたボンを確り感じさせるのに対し、金持ちの少々出来の悪いだけのボンに見えるときがありました。ここから 15 年少しで何処まで昇華していけるか、楽しみを感じさせる点で良かったと思います(もっとも、こっちが残り 10 年位しか時間が無いですけど)。
玉三郎丈の夕霧は何も言うことはないです、素晴らしい。やはりこの方だけの領域があります。それにしても最初の「雪持ち柳に白鷺、流水」の打掛けが素敵すぎます。最後の鳳凰の打掛も含め眼福! 家内とも、菊之助が時代物の立ち役(播磨屋)と音羽屋の世話物にいってしまい女形を演じなくなると、次代の夕霧役者がいなくて心配と話しておりました。
脇は雁治郎、吉弥ともに手堅い。殊に雁治郎さんは伊左衛門よりも喜左衛門が合うでしょうね。歌之助くんは良い勉強になったでしょう。


【 本日の演目 】

吉井 勇 作
坂東玉三郎 演出
今井豊茂 演出
一、髑髏尼(どくろに)
髑髏尼    玉三郎
平重衡の亡霊 愛之助
鐘楼守七兵衛 中村福之助
善信尼    河合雪之丞
町の女小環  歌女之丞
女房長門   新悟
蒲原太郎正重 亀鶴
烏男     男女蔵
阿証坊印西  鴈治郎

二、夕霧 伊左衛門 廓文章(くるわぶんしょう)
吉田屋
藤屋伊左衛門  愛之助(鴈治郎、仁左衛門)
吉田屋喜左衛門 鴈治郎(歌六、彌十郎)
太鼓持豊作   歌之助(-、千之助)
阿波の大尽   松之助(寿猿、秀調)
喜左衛門女房おきさ 吉弥(同左、秀太郎)
扇屋夕霧    玉三郎(同左、同左)
( )内は2016年1月公演、2013年5月柿葺落公演の配役です。