10月15日(金曜日)。☀☀(ローマ)。いよいよ船に乗る日。天気はいいけど、ローマは肌寒い。朝食込みなので、ホテルのレストラン。部屋番号を聞かれて、トレ・クアットロ・ドゥエとやったら、ペルフェクトっと返って来た。あはは、ブオンジョルノ、ブオナセラ、グラツィエ、プレゴ、チャオと、何となくいっぱしのイタリアン気取りの気分になるけど、それ以外はもちろん英語で「お上りさん観光客」。行く先のあいさつと感謝の言葉と1から10までの数字を覚えておけば、後はとっときのスマイルで何とかなるというのがワタシ流の海外旅行術。マスクをしていても、心がこもっていれば目もスマイルするから、世界のどこでも気持は通じるもの。コンティネンタルのバフェで、オレンジジュースとたっぷりのフルーツとクロワッサンとカプチーノ。
午前9時にSilverseaのホスピタリティデスクが開くので、降りて行って船に運んでもらう荷物に付けるタグと、健康状態の質問票と乗船前のフライトやホテルの評価の用紙をもらって、部屋に戻って記入してから、またデスクに戻って担当のヴァレリアに渡して、ついでにフロントで勘定を精算。チェックアウトの10時半には出ると約束して、部屋に戻って荷造り。できたところでポーターを呼んで、スーツケースを運んでもらって、10時半ちょっと前に部屋を出てロビーへ。ホテルのWi-Fiを使って時間つぶしをして、ランチにレストランでピッツァ。バスが来たのは予定通りの午後1時半で、いざ、船が待っているチヴィタヴェッキア港へ。車上でまた追跡票の質問に答えて、ホテルで記入した質問票を乗船手続きに必要だからと返してもらって、乾いた田舎っぽい風景の中を楽しんでいるうちに、カラフルなフェリーに交じって大きなクルーズ船が並んで停泊しているのが見えて来た。
並んだクルーズ船の中で一番小さいのが私たちが乗るSilver Shadow号。船の傍の埠頭にある大きな白いテントに入って、まず体温を測られて、次に抗原検査の用紙をもらって記入して、次に指定されたブースで検査。さらにずらりと並んだ椅子の指定されたところに座って待つこと15分ほど。係の人が「陰性でした。チェックインしてください」。やったぁ。チェックインのカウンターで船室のカードキーを受け取って、いよいよ乗船。おととしの11月以来だから、1年と11か月ぶりの船旅。長かったなあ・・・。
乗船口でカードキーをスワイプして、船室番号のステッカーを貼ったパスポートを預けて、9階の船室へ。前の2回のクルーズも同じ間取りのDeluxe Veranda Suiteだったので、何だか懐かしさが込み上げて来た。ここがこれから9泊10日のマイホーム。荷物を解いてクローゼットに収めて、長い化粧台をデスク代わりにして、カレシとワタシのラップトップを並べていたら、船室担当のバトラーのデンバ(背が高くて気品のあるアフリカ人)が来たので、どうぞよろしく。ワタシがまた船に乗れてうれしいと言ったら、デンバも船に戻れてすごくうれしい、1年半故国で待機していた間は辛かった、と。そうだろうなあ。クルーズ船の乗組員のうちでホスピタリティを担当するのはインド人、アフリカ人、フィリピン人が圧倒的の多くて、3カ月か6カ月単位の契約で船に乗って、週7日勤務で得た給料を持って故国へ1、2ヵ月帰るというパターンだから、コロナでクルーズ船が全部止まっていた間は家族を養う収入が途絶えたということだもの。
午後5時半にショーラウンジで緊急時の避難などについてのドリルがあって、午後7時、船が動き出した感触が足元に伝わって来た。ベランダに出てみたら、遠くなって行くチヴィタヴェッキア港の明かり。アリヴェデルチ、ローマ!