10月24日(日曜日)。☁🌤(バルセロナ→カルカソンヌ)。朝6時半に起きて、下船の準備。夜の間に勘定の精算書が来ていて、開けてみてびっくり。パッケージには船の上で使えるクレジットがだいたい1人100ドルほど(船の上ではアメリカドルが標準通貨)ついてくるんだけど、精算書を見たら1件だけどんと1000ドル。セールで大きな額がつくことがあるけど、航行中に増えることはまずないのに、合計で1500ドルのクレジット。予約して前払いしてあった寄港地でのツアーの代金とプレミアムWifi(1人2台のデバイスを使える)の料金と相殺すると、クレジットカードへの請求額はたったの46ドル。うはぁ、日本だったら4500円くらいかな。すごい出血サービスだけど、いいのかな。朝ご飯を済ませて、忘れ物がないか今一度確認していたら、バトラーのデンバが来てさよならのあいさつ。来年の6月にはシルバームーンで北ヨーロッパを回るから会えるといいねと言ったら、「2月から11月までムーンに配属されることが決まっているんですよ」とのこと。おお、じゃあ、船のどこかで会えるねえ。私たちの船室の担当だったらなおいいなあ。それじゃあ、来年また会うまでのさよならってことで、故郷のアフリカでの2ヵ月の休暇はしっかり休養して来てね。と、8時前に船室から退去して、デッキ5のラウンジで預けてあったパスポートと陰性証明を受け取って、下船の順番待ち。
オレンジタグの番になって、船から空港にあるようなブリッジを渡ってクルーズ・ターミナルへ。スーツケースを引き取って、待合室に出て待つこと10分ほど。カルカソンヌまで送り届けてくれる運転手が黒光りのベンツで来て、いざ、乾燥した田園風景の中のモダンなハイウェイをカルカソンヌに向かって3時間ちょっとのドライブ。交易の要衝だった地中海沿岸の歴史を反映してか、ちょっと高くて険しそうな丘があると、相当な確率で頂上に城塞のような遺構が見えるし、風が強い地方なのか、あちこちに風力発電の白い風車が立ち並んでいて、新旧のコントラストがおもしろい。運転手のダニエルが「フランスに入りますよ」と言ったけど、フランス語の標識が立っていた以外は「国境」を示すものは何もなく、スピードを落とすこともなかったからびっくり。スペインの方が物価が安いということで、国境の手前の小さな町には場違いに大きなスーパーがあって、フランスからの買い物客で賑わっているんだそう。まあ、古代からオクシタン語と言う共通言語を持っていた人たちだから、近代の国境観は薄いのかもしれないな。
カルカソンヌは12世紀に造られた城壁に囲まれた部分がユネスコ世界遺産で、実際に住んでいる人は50人に満たず、4万6千人の市民は川を隔てた新市街に住んでいるそう。一般車両は乗り入れることができないので、城壁の外にあるホテルの駐車場に止めて荷物を下ろし、許可のあるホテルの小型車にバトンタッチ。東西南北4ヵ所にある城門を入って、ホテルまでが細い道を日曜日のせいかたくさん歩いている観光客をかき分けるようにのろのろ、くねくね。どこを見てもおみやげ屋にカフェにレストランと言う感じで、外から見る城壁の威容とはまるで別世界の感。ここから1週間は私たちだけの旅。去年の5月初めの予定から遅れに遅れること1年半でやっと来れたわけで、いや、長かったなあ。