リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

旅の空から~マルセイユは想像とは全く違っていた

2021年10月21日 | 日々の風の吹くまま
10月19日(火曜日)。🌤🌤(マルセイユ)。朝焼けの山の上に聳え立つノートルダム・ド・ラ・ガルド聖堂の聖母像に見守られるようにしずしずとマルセイユに入港。接岸したのは旧港に近い埠頭で、リヴィエラの風物みたいな赤っぽい建物が並び、目の前にもうひとつの大聖堂。ベランダから見える防波堤のずっと向こうに(ズームインしたら)大型のクルーズ船が何隻か停泊中。乗客定員380人のSilver Shadow号は今どきのクルーズ船としては小型なので、街中に近い港の普通の埠頭に接岸できるという利点があるし、何よりもいかにも「客船」という感じなのがいいな。何千人もの客を乗せる大型の船は、遠くから見るとどうしても超満載の巨大コンテナ船みたいに見えてしまうもの。ジェフの話だと、ああいう大きな船には中央に窓のない小さな船室がずらっと並んでいるんだって。まあ、激安なのが売り物なんだろうから、ダイヤモンドプリンセス号のようなことがなければ、それはそれでいいと思うけどな。

今日のツアーは『マルセイユのハイライト』。遠くアヴィニョンやエクス・アン・プロヴァンスまで行くツアーもあって、アヴィニョンの橋は見てみたい気もするけど、丸1日のツアーはかなりのエネルギーがいりそうだから、近場でということで、まずは入港する時に高い丘の上にひときわ目立っていた大聖堂へ。バスを降りてから、幅の広い石の階段をてくてくと百何十段も歩いて、ちょっと顎が出ちゃったけど、聖堂の回りを1周してマルセイユの市街をぐるりと一望のもとに俯瞰。ある大金持が聖堂よりも高い邸宅を建てたところ、お役所から聖堂より低くせよと命令されたというくらい、マルセイユっ子がBonne Mere(良き母)と呼んで愛してやまない聖堂はマルセイユのシンボル。沖に有名なシャトー・ディフが見える眺望もさることながら、聖堂の中は息をのむようなすばらしさ。撮影禁止になっていないことを確かめて、聖堂の中の写真を撮りまくり。船にまつわる装飾が多いのも漁師と船乗りの町マルセイユらしい。ケベックのモントリオールの旧市街にも海に向かって立つ聖母の像のある教会に「ご無事をお祈りします」というようなメッセージがあったな。

聖堂のギフトショップでクリスマス用の飾りを買って、やっと目的をひとつ果たした気分。マルセイユ2つめのハイライトはロンシャン宮殿。宮殿と名付けられているけど、市内を川が流れていないことから水不足に悩まされたマルセイユが遠くの川から水路を作って十分な水を確保したことを記念する巨大な噴水が鎮座する建造物を中心とする公園。マルセイユは世界で唯一市内に川がない大都市なんだそうで、湧き水に頼っていたのが人口が増えて需要を賄えなくなって、1人1日1リットルとかいう極端な配給制を敷いたこともあったそうな。それが原因で衛生状態が極端に悪化して、コレラが流行して市の人口の半分が死んでしまったこともあるという。それを機にマルセイユに水を引くための運河を掘ったんだそうで、以来、水不足は解消したという。

旧港の公園に近い、古代ギリシャ人の港の遺跡の発掘現場でバスを降りて、40分ほどの自由行動。古くからの雑然として薄汚れた港町を想像していたけど、1970年代に悪評を一掃する努力をしたんだそうで、悪名高いスリを駆逐することはできなかったけど、以来マルセイユは安全で魅力的な街に変身。土地っ子のガイドのアクセルさんがショッピングモールのスーパーで名物のパスティスやピコンを売っているというので、さっそく探検。ニースでもそうだったけど、びっくりしたのは公衆トイレが有料なことで、50ユーロセントが標準料金らしい。モールのトイレには両替機まであって、自動改札機のようなゲートでコインを入れて、通せんぼのバーが開いたら中に入るしくみ。それと、モールにはどこに何があるのかを示す標識がないことにもびっくり。駐車場への標識だけはなぜか英語で「Parking」と書いてあってまたまたびっくり。だから海外旅行はおもしろいわけで、案内所で怪しげな英語的フランス語でスーパーの場所を聞いて、やっと見つけたところでパスティスを買って、マルセイユでの1日はおしまい。うん、また来たいねえ。