芭蕉が大石田を訪れたのは、今の暦で7月の末頃のことで、とても暑い日だった。
最上川から吹いてくる風が涼しくて気持ちよかったのだろう、
「五月雨をあつめてすずし最上川」
と詠んでいる。大石田で行われた句会でのことである。
最上川を舟で下ったのはその数日後で、川は増水し流れも速く、「水みなぎって舟危ふし」という状況だった。それで、この句はあとで「すずし」を「早し」に変えたと言われている。
俳句や短歌は即興のイメージが強いが、実際の現場は必ずしもそうではないらしい。
最上川舟下りは、四季の観光イベントになっている。季節的には、夏よりも秋や冬のほうが風光明媚で人気がある。奥の細道の追体験で、最上川舟下りを体験したのは昨年の10月初め。紅葉には少し早かった。
天竜川舟下りの事故のせいで、うっとおしい救命胴衣の着用を強要されたうえ、途中から雨模様になり、急きょ、ビニールの屋根を張る騒ぎになった。
風情を楽しむことからは程遠い体験になってしまった。
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