読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

小説吉田拓郎 いつも見ていた広島 ダウンタウンズ物語 田家秀樹 小学館文庫

2009-07-04 23:40:13 | 読んだ
吉田拓郎のコンサートを見に行った日に購入。

「おお、なんたる奇遇!」
ということで、コンサートが始まるまで読んでいた。

吉田拓郎に関する本は
「誰も知らなかった吉田拓郎」(山本コウタロー)
を読んでいる。
それに、イロイロと情報は入っていた。
だから概ねのことは知っていた。

今回は「小説吉田拓郎」である。
したがって登場する人たちの名前は拓郎以外は実名ではない。
だから最初はちょっと戸惑ってしまった。

さて物語は、拓郎の広島時代である。
18歳の拓郎はすでに音楽に目覚めていた。

まずは『バチェラーズ』から始まる。
バチェラーズは、当時流行のインストゥルメンタルのエレキバンドではなく、ビートルズも意識したボーカル入りにグループだった。

そして彼らは広島のシンボルともいえる「平和記念館」の集会室でコンサートを開き大成功を収める。
しかし、平和記念館でのロックコンサート(当時はそういう言い方しなかったと思うが・・・)は、若い世代からは支持されたが、非難もすごかった。

という、広島の街の特徴も描かれている。

さて、バチェラーズの面々は自信を持ち、東京へ行く。
東京で認められる、と信じていた。

しかし、予想どうりというか当たり前のことというか、あっさりと東京での夢は破れる。

拓郎は、今度は一人でフォークに挑戦する。
そして、コンテストに出場し、全国大会で第3位に入る。

拓郎の音楽の好みは広い。
だから、バンドをやったり、一人でフォークをやったり。

飽きっぽいとか、ふらふらしているようにもみえるが、好奇心旺盛で何でもやってみたくなるのだと思う。
そしてもう一つは、仲間たちといることがすごーく楽しい時と、独りになりたいときがあるんだろう。

拓郎は行き詰る。
行き詰って、家出をする。そして千葉のお寺で居候生活を始める。
そして、また東京でプロになる道を模索するが、今度も失敗というか挫折する。

拓郎は広島で生きることを決意し、広島に帰ることにする。
帰るにあたって、手回しよく、バンドを組む手配までして・・・

そのバンドが「ダウンタウンズ」である。

ダウンタウンズは、斬新なサウンドと時代を先取りするアイディアで広島の新しい音楽をリードする。

彼らはライトミュージックコンテストに出場し、全国大会まで進む。
そしてそこで拓郎は、ダウンタウンズの限界を知る。

こうして説明すると音楽の話だけのようだが、恋の話だってあるし、広島という町の特徴、例えば原爆の与えた影響、基地の町として外国との距離が近いことの影響なども描かれている。

拓郎の物語としてというだけでなく、普遍的な青春の物語として、それから時代を伝える物語として、面白く読んだのであった。

ちなみに11章全てに、拓郎の歌と題名が使われている、それも懐かしい曲だ。

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