読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

新・御宿かわせみ ~糸屋の女たち~(前・後編) 平岩弓枝 オール読物4・5月号

2009-04-26 21:38:54 | 読んだ
久しぶりの「御宿かわせみ」である。

4月・5月号で(前・後編)だったので、5月号を買ってから一気に読んだ。
(ちかごろ続き物はその前を忘れてしまう傾向にあるノダ)

事件は「京橋の糸屋」という、生糸を作るヨーロッパ式の製糸工場を経営している老舗の大店でおこった。

糸屋は、大内儀(おおおかみ)の春野が実質的な経営者である。
この大店の跡継ぎは春野と諍いがあり女中と駆け落ちをした。
一緒に住んでいるのは、亡くなった夫・清兵衛が外で作った二人の娘とその夫。
春野は跡継ぎであった清太郎の息子を、糸屋の跡継ぎにしようと、新聞に尋ね人の広告を出す。

で、この春野とかわせみの『るい』と畝源太郎の母『千絵』は、同じ茶道の師匠について稽古をしていた弟子仲間である。

この縁で、神林麻太郎と畝源太郎が事件に巻き込まれるのである。

事件の発端は、糸屋の番頭の死。麻太郎は毒殺と判断するが、犯人はわからずじまい。そして続いて、妾腹の娘・おとよ夫婦が殺される。更にもう一人の妾腹の娘・おきみまでも殺害される。

読んでいると、なんとなく犯人はわかるのである。

だいたい、物語やドラマではすでに犯人は登場しているので、見当がつきやすい。
これで、物語の最後で今まで登場していなかった者が犯人であっては、も尾が足りやドラマにはならないものね。

閑話休題。

ただ、その犯人が何故殺人を行わなければならないのかは、結末近くに行かないとわからない。
まあ、予想だにしなかったことが明らかにされるわけで・・・
老舗の大店というものをいかに継続させていくか、今で言えば「ゴーイングコンサーン」をどう図るか、ということと、その財産や権力に魅かれる人間がいつの世にもいる、ということが、この事件の骨格ではある。

今回の物語は、金田一耕介の各種事件のように、糸屋の清兵衛が撒いた種が原因であり、そのことを調べて初めて解決できたのである。

それにしても、畝源太郎、結婚しても『花世』には頭が上がらない。
今回の謎解きの語りは花世であったが、麻太郎と源太郎は、物事を直感的には理解しているのだろうが、論理的・物語的にはまとめられないのであろう。
そういう意味では今後も花世の出番は増えそうである。

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