読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

隠蔽捜査 今野敏 新潮文庫

2008-10-09 21:54:41 | 読んだ
将棋に「手順前後」という言葉がある。
順番を間違えている、ということであるが、近頃の私の読書傾向は手順前後だらけである。

この隠蔽捜査についても、オール読物連載の「3」から読み始めている。
で、最初の事件の1にもどってきている。
ついでに言えば、2の果断についてはテレビでみている。

というわけで「隠蔽捜査シリーズ」或いは「竜崎シリーズ」という言い方もあるようだが、最初から読み始めたのである。

だから先ずもって感じたのは、知っている人の昔話、というようなものである。
つまり、
「竜崎さんって前からそうだったのねえ」
というのものである。

この第1回目の事件において、竜崎は公私にわたって「筋を通した」のである。
但し、その決断にいたるまでは相当の心の揺れがあった。
そんなところがイイのである。

また、文庫の解説で北上次郎が
「実に新鮮な警察小説でありながら、同時に感動的な家族小説でもあるのだ」
と看破しているように、この物語では竜崎の家庭が相当量描かれている。

これが警察を舞台にした物語であれば竜崎の魅力は半減もしくは全滅してしまうのではないだろうか。
キャリアということを前面に押し出し手人に接する、或いはキャリアの行動規範を
自ら定め(それはノブレス・オブリージュともいうべきものである)課している、なんてのは、非人間的・高慢・冷血漢ともいうべきものである。

そういう人間が家庭に帰るとちょっと甘く見られていたりするのである。
或いはオタオタしたりするのである。

その部分があるから竜崎に親しみを持つのではないかと思うのである。

竜崎のように「筋を通す」ことは難しいが、せめて心の中では筋を通していたいと思ったのである。

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