読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

大獄 葉室麟 文藝春秋2016.1月号 連載開始

2015-12-13 21:15:45 | 読んだ
葉室麟の小説が文芸春秋の今月号から連載開始となった。

主人公は「西郷隆盛」である。

西郷隆盛に関する小説を読みたいと若いころから思っていた。

最初に目を付けたのが海音寺潮五郎のものだったが、なぜか出会えなかった。
読みたいという時期に出合えないと、なかなか読めないものである。

で、丁度いい時期に出合ったのが、池波正太郎のものであった。
読んで面白いとは思ったものの、なんだか「駆け足でたどった」という印象であった。

その後も、時機を失しているのであるが、今回連載開始ということで大いに期待をしているところである。

西郷隆盛は、子母沢寛の勝海舟を読んですごい人なんだなあ、と思ったのが最初である。

その小説の中で、西郷隆盛を坂本竜馬がこう評している。
「西郷というやつは、わからぬやつでした。釣り鐘に例えると、小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く。もし、バカなら大きなバカで、利口なら大きな利口だろうと思います。ただ、その鐘をつく撞木が小さかったのが残念でした」

これを読んでから、西郷隆盛という人はどういう人なんだろう?
と思った。

さて、これからこの連載を読んでいくのであるが、実は、勝海舟を読んでからその後幕末物の本を読むうちに、西郷隆盛に対する気持ちが変化してきている。

それは、明治維新が行われた中で、相当の陰謀が実行されていて、その陰謀はほとんど薩摩、つまり西郷隆盛と大久保利通が行ったのではないかということである。

例えば、不逞浪士による治安の妨害、ええじゃないか騒動、特に江戸では薩摩藩邸の焼き討ち事件が起きていることなどは、当時の人たちが薩摩の陰謀を知っていたことによるものではないか。

更に政治的な陰謀も相当行われたと思われるが、その後このような陰謀については大きな声では言われなくなった。
それは、やっぱり薩摩が勝利者となったからではないか。

そして、西郷隆盛の大きさを宣伝して(勝海舟もこの役目を担ったのではないか)そのような陰謀説を潰していったように思える。
それはちょうど、豊臣秀吉の末期の悪政をかくして太閤記として明るいイメージを作ったことと同様に思うのである。

薩摩は明るく真っ正直、というのはどうも眉唾に思えるのである。
どちらかといえば、長州のほうがバカ正直に幕末を過ごしていたように思う。

というようなことを踏まえて新しい西郷隆盛像が読めればいいな、と思うのであるが、第一回を読むとやっぱり従来の西郷隆盛像のような気がする。

ああ、だれか豊臣秀吉と西郷隆盛を大悪人として描いてくれないだろうか。

まあ、そういうことを思いながら、毎月楽しみにして読んでいこう。


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