読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

ぬるい男と浮いてる女 平安寿子 文春文庫

2012-10-25 22:50:01 | 読んだ
久々の平安寿子の作品。

彼女の作品は「ほっとする」ので、なんというかゆったりしたいときには一番ではないか、なんて思っている。

この本は6本の短編が集まっている。

「長い目で見て」
「ブルーブラックな彼女」
「滅亡に向かって」
「浮いてる女」
「ぬるい男」
「えれくとり子」

である。

このうち「長い目で見て」「浮いてる女」「えれくとり子」は主人公が女の人。
そして、「ブルーブラックな彼女」「滅亡に向かって」「ぬるい男」の主人公は男である。

いずれの主人公も、カッコいいわけではない。
とりわけ男は「情けない」感じである。
情けないのだが、変にこだわりを持っている。
そのこだわりに触れると強くなる、というか譲らない。

そして女たちは「強い」
ブイブイ、ドンドンと強いわけではないのだが、殻を突き破らさせない強さである。

だから、これらの小説の面白さは、主人公の外面と内面の葛藤にある。
といっても「葛藤」という言葉から感じられる「暗さ」というものはない。

『これだけは譲れない』ということをどう表現しようか、と悩むのだが、『まあいいや』的気分で行くのだ。
しかし、やっぱり譲れないものは譲れないわけで・・・
このあたりの葛藤が面白い。

そして、そういうところが読む側には「ほっとする」わけなのだ。

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