読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

神津恭介への挑戦 高木彬光 光文社文庫

2012-03-20 21:07:49 | 読んだ
久々の高木彬光である。

「成吉思汗の秘密」や「邪馬台国の秘密」でおなじみの神津恭介の小説である。
実は、神津恭介モノは上記のほかには「古代天皇の秘密」といういわゆる「ベッド・ディティクティヴ」しか読んでいない。

で、もう新しい作品には出会えないものだと思っていたら、本屋で偶然文庫本を見つけたのである。

高木彬光は1995年に亡くなっているが、本作は1991年の作だという。本書の後「神津恭介の復活」(1993年)、「神津恭介の予言」(1994年)と続く。
文庫化を待とう。

さて、本書「神津恭介のへの挑戦」は、近頃になく夢中になって読んだ。
最後の謎解きの部分は、東京からの帰りの新幹線にとっておいたのだ。

物語は、JR山手線内で朝の出勤時に一人の男が死んだところから始まる。
男が死んだときにちょうど居合わせたのが東洋新聞社の記者の山下誠一である。

男は青酸中毒で死んだ。
この事件を追う山下記者のもとに新人記者・清水香織が配属される。しかも女性で東洋新聞の社長令嬢である。

二人で事件を追うと、死んだ男の友人が一人京都で行方不明になっている。さらにもう一人の友人も行方不明となっている。

さらに調べると、彼らは強姦魔であることが徐々に判明する。

その餌食となった女性たちとその家族が犯人と思われるが、動機は十分でも決定的な証拠がない。
そのうちに、東洋新聞で保護していた3人組の一人が記者たちの見張りをかいくぐって行方不明になる。部屋にはおびただしい血の跡があり亡くなったと推測されるが、死体がない。

調べが進むともう一人仲間の男がいたことがわかる。
そして、その男は殺された。

謎が謎を呼び、どう推理してもわからない。
そういう時に、東洋新聞の真鍋部長を通じて、神津恭介に依頼することとなる。
神津恭介が登場すれば彼の助手であり記録者である作家の松下研三も登場する。

実は、清水香織は、学生時代に神津恭介に出会い大きな刺激を受け、新聞記者になった。そして、彼女は神津恭介に恋をした。

しかし、神津恭介は出馬を拒んだ。

事件と神津恭介の不出馬は多くの人の知るところとなり、とうとう神津恭介のもとに「神津恭介を殺す」という脅迫状が送り届けられる事態にまでなる。

満を持して神津恭介が登場するが、さらなる事件が発生する。

密室殺人、謎の失踪、死体なき殺人、と多くの謎について、鮮やかに神津は解いていくが、結末には意外な犯人と大きな悲しみが待っていた。

唸ってしまう内容と結末で、平成になってからの日本の異常さが描かれている。

久しぶりに重厚な推理小説を読んだ。

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