読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

<大特集>鬼平犯科帳 競作 よみがえる長谷川平蔵 オール読物6月号

2010-06-16 22:12:26 | 読んだ
池波正太郎没後20年、ということで、鬼平犯科帳の特集。

そのなかで
<競作 よみがえる長谷川平蔵>ということで、

逢坂剛「平蔵の顔」
諸田玲子「最後の女」
池波正太郎「看板」

が掲載されている。

池波正太郎の「看板」は、昭和40年に「別冊小説新潮」夏号に掲載され、その2年後から「鬼平犯科帳」が「オール読物」で連載開始されたとのこと。

それゆえか、この物語はあっさりと長谷川平蔵が描かれている。
何しろ、最後に長谷川平蔵は死んでしまうのである。

それでも、いわゆる「お盗めの三カ条」がでてきて、盗賊のなかにも仁義を重んじるものがいるということや、盗賊を密偵に使うこと、或いは「葵小僧」や「くちなわ平十郎」が登場するなど、その後の長谷川平蔵を髣髴とさせるものである。

逢坂剛、諸田玲子の長谷川平蔵は、やっぱりこの人たちの長谷川平蔵であった。
というのが大きな感想である。

二つの物語はよく練られていて、それなりに面白いのである。
のであるが、今まで知っている長谷川平蔵ではない。

逢坂剛の「平蔵の顔」は、平蔵の命を狙う盗賊が、平蔵の顔を知らないため、平蔵のよく通う料理屋に勤める女:美於(昔は盗賊だった)誘い、平蔵に罠を仕掛ける。
という物語である。

従って、平蔵はあまり登場しない。
登場しないのだが、いつもの平蔵ではないのである。

諸田玲子の「最後の女」は、死んだはずの葵小僧が再び江戸に現れた、ということから、葵小僧に被害を受けた女が平蔵のために囮になって・・・
という物語。

こちらは完全に諸田玲子の長谷川平蔵である。

兎も角、久しぶりに鬼平を堪能したのであった。
だから読書はやめられない。

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