読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

張り込み姫-君たちに明日はないPART3- 垣根涼介 小説新潮1月号

2010-01-03 18:24:36 | 読んだ
もうすっかり、この物語にはまってしまった。
今年からNHKでドラマ化されるのも楽しみである。

主人公はリストラ請負人・村上真介。
リストラ請負人とはいえ、血も涙もあるリストラ(退職勧奨)をしてきている。
そして、PART3では、リストラだけではなく、リストラをする過程で得た人材をもとに、人材派遣業務や有料職業紹介業務に展開している。

それは、その会社以外ならその才能をもっと生かせる人材をリストラの過程で見つけることができるからである。

さて、今回の対象は・・・
今回はリストラではないがリストラである、というちょいと複雑な依頼。

真潮社という日本有数の名門出版社。(勿論新潮社がモデルと思われる)
その真潮社の一部門に写真週刊誌の「フェイシズ」がある。
昨今、写真週刊誌は凋落の一途をたどっている。
そして真潮社では「フェイシズ」を廃刊とすることにした。

フェイシズの編集部員は他の部局に取り込むことができるが、写真週刊誌の編集部員は他の部局とはまったく違った業務形態であるため、これまで異動で他の部局に配属になった者は長続きしない傾向がある。
従って、真潮社では、そのような状況を説明し特別な退職制度を用意して、真介の会社に面接を委託したのであった。

そして今回真介にとって気がかりな対象者とは、山形県新庄市出身で東大を卒業し文芸部門の編集者を夢見て真潮社に入社したが、何の因果か写真週刊誌に配属されその後も異動にならず6年間フェイシズの編集部員であった28歳の日野恵である。

勿論、今回も日野恵(通称ヒメ)側からも物語りは描かれており、写真週刊誌の編集部員とは出版社の社員とは考えられないとんでもない仕事をしていることがわかる。

ヒメは実は上司たちの力によって、純文学を担当する部局へ異動することが概ね決まっている。
しかし、一応はリストラの対象に入っているので、真介と面談をする。

さて、日野恵はどういう結論を下すのか。

この物語を読むと「仕事」とは何なのか、「生きがい」と仕事はどう関わるべきなのか、なんて大いに考えさせられる。
そして、その結論は考え考えぬいて、自らが出さなければならないものなのだ。

正月早々、いい物語に出会った。
だから読書はやめられない。

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