読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

玻璃の天 北村薫 文春文庫

2009-11-04 22:59:00 | 読んだ
「ベッキーさん」シリーズの第2弾である。

ご存知のとおりベッキーさんシリーズの最新版「鷺と雪」は第141回直木賞受賞作である。

舞台は昭和8年。主人公は花村英子、父が財閥系の企業の社長で、上流家庭のひとり娘、学校(前期4年、中期4年を終えて、今は後期の1年:ということは今で言えば女子高校生か)には、運転手つきの車で通う。

その運転手がベッキーさんこと、別宮みつ子である。
彼女は、岸本葉子の解説によれば

「才色兼備のスーパーレディ。眉涼しく、睫は長く、瞳の大きな眼が印象的だ。年は二十歳そこそこながら、並外れた博識と頭脳で『わたし』(花村英子)の推理を導いて、武術にもたけ・・・」
という女性である。

その解説にもあったように、主人公の花村英子が遭遇する事件の謎に大きなヒントを与えるのがベッキーさんで、謎を直接解くのは『わたし』花村英子である。

その事件とは、同じ学校に通う友人たち(華族や金持ちなど上流階級の娘たち)との交流で遭遇するものである。

上流社会の娘たちの抱えているものは、そのままその家が抱えている問題でもあり、上流社会の問題とは複雑に絡んでいるものである。

女子高校生が主人公である、というとなんだかキャピキャピしているような印象であるが非常に落ちついている。一言で言えば「大人」である。
時代がそうさせているのだが、社会そのものが大人である。

この物語を読むと、今の社会は非常に幼い、と感じる。
情報があふれ、何でも自由にできる平和な世の中で、悲しいくらい幼い社会である。

本書の第3話で、ベッキーさんの正体というか出自が明らかにされる。
明らかになったところでこれからどうなっていくのか楽しみである。

「鷺と雪」はオール読物に掲載されたときに読んだのであるが、その前段を知らずに読んでいたので、また読み返してみよう。

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