読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

プロ野球 運命の引き際 近藤唯之 PHP文庫

2008-09-08 21:10:43 | 読んだ
久々の近藤節であった。

スポーツについて書いたものでは、山際淳司の乾いた(ドライでクール)文章が好きだった。
そして同時に近藤唯之の熱い=<涙と汗>が入り混じった=文章も好きだった。
今回本屋で久々に近藤唯之の名前を見つけたので、これは!と思い直ちに購入。そしてすぐに読みきった。

プロ野球選手16人に引き際について語っている。
それもやっぱり熱く熱く熱く語っている。
それがいい。

今回はその選手を語るに別のエピソードと比較しながら語っている。
「古いなあ」
と思うところもあるのだが、その古さは「投げたくなるような」ものではなく、ちょっと心にとどめておきたいような、懐かしさを含む「古さ」なのである。

野村克也の引き際では
「男の運命なんて、悲しいものだと思う。ゼロから始まったプロ野球生活、そせt20年間以上もの時間をかけて大輪の花を咲かせたというのに、30秒間で大輪の花がしおれてしまうのだ。」と語る。

近藤は「男」にこだわる。

「男は自分ひとりで飯を食べているのではない。仲間にささえられ、仲間の知恵を借りてこそ、飯を食べていける。プロ野球のように、一匹狼で金を稼ぐ場所でも、だれかに助けられているのである。」

「男と女の出会いより、男と男の出会いにこそ運命的なものがある。」

そういう男だから、例えば榎本喜八という選手から次のようなことを聞きだすのである。
「(前略)プロのバッターならば(中略)魂とか血液とかがバットに流れ込まないとヒットは打てません。」

こういう熱い話が続くのであるが、熱い話の向こう側にあるのは「悲哀」なのである。
もしかして、悲哀を語るために熱い話をしているのではないだろうか。

著者は昭和5年生まれ。長生きをして熱い話を書き留めてほしいものである。

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