読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

盤上の人生 盤外の勝負 河口俊彦 小説新潮4月号

2008-04-04 23:58:03 | 読んだ
小説新潮を買うと真っ先に読むのがこの「盤上の人生 盤外の勝負」である。

著者はプロ棋士、つまりプロの将棋指しである。
その著者がつきあったり見たりしてきたプロ棋士について書いているのである。

今回のテーマはというか主題は「米長邦雄」である。
米長は現在の将棋連盟の会長である。

米長は若い頃から注目されていた棋士である。
注目される、或いは一目置かれるということは単に「強い」ということではなく、いま流行の言葉で言えば「格」があるということらしい。

その底辺には「強さ」があるのだろうが、そこにプラスされるアルファが「格」につながるらしい。

米長の有名な言葉に「自分にとって消化試合でも相手にとって重要な対局のときは相手を全力で負かす」というものがある。
今回のテーマはこのことを若き米長が具現化したものである。

相手が勝てば相手はA級という最高位へ昇級する。しかも相手は長老で多くの人に好かれている人。一方の米長は昇級に関係のない成績。
しかも序盤から相手のペース、粘る必要のない展開である。

しかし、ここで米長は粘り驚異の一手を指す。
その一手を著者はこう著す。
「3九銀などと打たれれば、血が逆流する。大野が脳梗塞で倒れた遠因はここにあった、と思いたくなる。」

人生において将来を見据えていれば、どんなときでも今を大事にしていなければならないということである。

人生というのは厳しいものである、ということをこの「盤上の人生 盤外の勝負」を読むと、しみじみ思うのである。

今の世の中、勝負、ということを嫌うものになっているが、厳しさを失ってしまうと、人生はぼやけたものになってしまい「深い幸せ」というものが感じられなくなってしまうのではないだろうか。

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