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読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

望郷の知床 西村京太郎 小説新潮12月号(連載終了)

2006-11-28 22:55:21 | 読んだ
西村京太郎の「十津川警部シリーズ」である。
トラベルミステリーとあるが、今回の物語は十津川警部が何かの事件を推理し解決するというパターンではないような気がする。

元警部の水木、というのが今回の物語の主人公のようであり、彼が巻き込まれる事件の「ウラ」というものが真の事件であったりする。

水木が推理し水木が解決に向かう、それに十津川警部がからむ、といったほうがよい。
そして、この物語が近頃の十津川警部シリーズのなかでは一番面白いのである。

水木を主人公としたハードボイルド小説といった趣が強いため面白いと感じているのかもしれない。

近頃の十津川警部シリーズは、盛り上げるだけ盛り上げておいて「なんだよー」という唐突なそして安易ともいえる解決方法で読後感は「また裏切られた」というものが多い。
それは、殺人事件の根源にある「動機」が、なんだか浮世離れしているようなかんじだからだ。
その浮世離れした動機と、いかにも真面目で正義感の強い十津川警部の性格がマッチしていないのかもしれない。

今回は水木という元警部が、世に拗ねている、のに正義感が強く、無茶をする、ので荒唐無稽的な話の流れに、すんなり乗れているのである。

というわけで、近頃の、という注釈付ではあるが、十津川警部シリーズひさびさに面白いままに完結した。
ただ、わりと簡単に殺人が起きてしまうのは、小説だからなのかそれとも社会的風潮なのか、そのあたりが「・・・」と思うのである。


コメント
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