学校の平和主義の問題を次回と書いたけど、それは補論だから最後に回して、投票率と投票行動の問題を先に書いておきたい。まず、今回選挙権を得る人々はどういう人か。
18歳と19歳だから、生年で言えば、1996年から1998年に生まれた人である。1997年生まれは全員が該当するけど、その他の年は違う。1996年生まれは、誕生日が来れば20歳だから、今までも選挙権が得られる。だけど、7月末頃に予定される参議院選挙までに生まれていないと、今までは選挙権はなかった。だから、1998年8月~12月に生まれた人が新しく選挙権を得る。1996年生まれは反対に、1月~7月生まれの人が選挙権を得る。
高校や大学は義務教育ではないから、18歳、19歳にはある程度多様な生き方がある。今は中卒で正社員に採用されることはほとんどないだろうけど、働いている青年もたくさんいる。その中には、定時制や通信制の高校に通っているものも多い。だけど、全日制高校を中退したままアルバイトをしたり、あるいは無業のものもいる。専門学校に行っているものもいるし、高卒認定試験を経て大学進学を目指しているものもいる。病気だったり、いわゆる「引きこもり」のものもいる。一方、スポーツや芸能活動に打ち込むために高校に行ってない若者も結構いる。さらに、5年制の高専に通っているものにとっては、ようやく学校生活も半分すぎたぐらいである。さまざまな人生がある。
そうは言っても、全日制高校に通って卒業する人が圧倒的多数であることは間違いない。高校進学率は97%を超えているが、高校中退率は2%程度とされている。ここでは、高校のあり方を考えているわけではないので、一応「全日制高校に通う生徒」を中心に考えてみることにする。
上では生まれた年で見たが、学校は年度だからまた違ってくる。「1998年4月~7月」生まれの人は、高校3年に在学中である。(新有権者の6分の1)。「1997年4月~1998年3月」生まれの人は、高校を卒業したばかりで、大学や会社など新しい進路が始まったばかり。(新有権者の2分の1)。「1996年8月~12月」生まれの人は、高校を卒業して1年以上経ち、新しい学校や会社に慣れたところ(あるいはすでに辞めてしまったところ)である。(新有権者の3分の1)。さて、高校卒業後の進路は、約54%が大学進学(4年生または短大)、23%が専門学校等、17%が就職となっている。そうすると、新有権者の約半数が大学在学中ということになる。だけど、その多くは大学入学間近で、地方から大都市に出てきたばかりの人も多い。住民票を移さない人も多い。また、移した時期によっては、実家に選挙権がある。ちょうど、大学の試験の時期とかぶるので、どれだけが実家に戻るかは疑問だろう。
だけど、今回の新有権者は、かなりの数の人が大学や高校に在学している。ということは「もう一回選抜がある」という意識が強い。大学進学や就職面接のためには、初めての選挙に行った方が得だろうか。今回は「選挙権引き下げ」がかなり世の話題となっている。「メモリアル意識」もあるだろうし、「世の中の話題」には乗っておく方がいいと考えるか、どうか。新有権者の半数ほどは、これから卒業のシーズンを迎える。校長の「贈る言葉」(「学校長式辞」という)では、ほぼすべての校長が「新しく選挙権が与えられることになった意義を十分に考え、国民としての責任を果たして欲しい」…などと言ったことを語るのではないか。そんなもの聞いてないと言えばそうだろうが…。
学校やマスコミでは、選挙に行くときは選挙公報やインターネットや新聞などで、各候補の主張をよく調べ、比較検討し、マジメに勉強して行かないといけないなどと論じがちである。大体、教師や記者などは「タテマエ」が通りやすい職場だから、本気で言ってる人もいるだろう。「若者の投票率が低い」などと言うと、「高齢者の方がマジメに社会を考えている」「若者ももっと真剣に社会のことを考えるべきだ」などと怒ったような発言もある。でも、60代の方がマジメなのか?マジメに新聞を読んでいるのか、などと考え始めると疑問だらけである。
もちろん、実際は違う。そういう「マジメ系」有権者は、いつの世代にも一定数はいるだろう。でも、実際は「所属組織の推薦候補」だからというだけで入れる人も多い。そのためには「所属組織」がなくてはならない。若者は正社員が少ないから、会社側の候補も組合側の候補も知らない。それを言えば、60代はもう退職してるんじゃないかとなるが、今までのさまざまな経験から「入れる党」が決まっていたり、これまでの「恩義」にこたえる投票行動をしたり、忙しくなくなった分選挙に行きやすいと考えられる。また、人生経験の中で「投票依頼」を受ける人間関係も広いということがある。若い層では「政治はダサい」意識があるから、自分では選挙に行っても知人に電話をかけまくる人は今は稀だろう。(昔はいたんだけど。そういう迷惑なヤツが。)つまり、社会経験が長くなればなるほど、さまざまの「社会関係の輪」が出来てくるから、高齢層の方が投票率が高いと考えられる。
それを考えると、若年層も問題だけど、昭和時代には8割を超えていた60代の投票率が、今は6割台になっていることの方が大きな問題かもしれない。高齢層を選挙に行かせる「共同体感覚」が崩れているということだし、「孤立化」しているということを示すだろう。それはともかく、「マジメ系」以外も選挙に行かせる社会関係が10代にはあるか。そう考えると、高校や大学に在学しているということは、かなりの「圧力」になるのではないかと考えられる。投票率が下がったといっても、それでも国民の半分ぐらいは行くわけだし、世論調査すると「必ず行く」「できたら行く」で7割にはなる。「やっぱり、行った方がいいこと」だとされているのである。そして、学校に所属することは、具体的な候補名を挙げて頼まれるわけではないけど、選挙には行くべきだ的な圧力にはなるだろう。
という風に考えると、試験が忙しい、実家に帰る余裕がない、アルバイトが忙しい、あるいは暑いから面倒とか、どんどん下がっていくだろうが、20代よりは高くなると思う。今回はメモリアル意識が出てくるから、20代が3割台のところ、5割前後には達するのではないかと予想しておきたい。
18歳と19歳だから、生年で言えば、1996年から1998年に生まれた人である。1997年生まれは全員が該当するけど、その他の年は違う。1996年生まれは、誕生日が来れば20歳だから、今までも選挙権が得られる。だけど、7月末頃に予定される参議院選挙までに生まれていないと、今までは選挙権はなかった。だから、1998年8月~12月に生まれた人が新しく選挙権を得る。1996年生まれは反対に、1月~7月生まれの人が選挙権を得る。
高校や大学は義務教育ではないから、18歳、19歳にはある程度多様な生き方がある。今は中卒で正社員に採用されることはほとんどないだろうけど、働いている青年もたくさんいる。その中には、定時制や通信制の高校に通っているものも多い。だけど、全日制高校を中退したままアルバイトをしたり、あるいは無業のものもいる。専門学校に行っているものもいるし、高卒認定試験を経て大学進学を目指しているものもいる。病気だったり、いわゆる「引きこもり」のものもいる。一方、スポーツや芸能活動に打ち込むために高校に行ってない若者も結構いる。さらに、5年制の高専に通っているものにとっては、ようやく学校生活も半分すぎたぐらいである。さまざまな人生がある。
そうは言っても、全日制高校に通って卒業する人が圧倒的多数であることは間違いない。高校進学率は97%を超えているが、高校中退率は2%程度とされている。ここでは、高校のあり方を考えているわけではないので、一応「全日制高校に通う生徒」を中心に考えてみることにする。
上では生まれた年で見たが、学校は年度だからまた違ってくる。「1998年4月~7月」生まれの人は、高校3年に在学中である。(新有権者の6分の1)。「1997年4月~1998年3月」生まれの人は、高校を卒業したばかりで、大学や会社など新しい進路が始まったばかり。(新有権者の2分の1)。「1996年8月~12月」生まれの人は、高校を卒業して1年以上経ち、新しい学校や会社に慣れたところ(あるいはすでに辞めてしまったところ)である。(新有権者の3分の1)。さて、高校卒業後の進路は、約54%が大学進学(4年生または短大)、23%が専門学校等、17%が就職となっている。そうすると、新有権者の約半数が大学在学中ということになる。だけど、その多くは大学入学間近で、地方から大都市に出てきたばかりの人も多い。住民票を移さない人も多い。また、移した時期によっては、実家に選挙権がある。ちょうど、大学の試験の時期とかぶるので、どれだけが実家に戻るかは疑問だろう。
だけど、今回の新有権者は、かなりの数の人が大学や高校に在学している。ということは「もう一回選抜がある」という意識が強い。大学進学や就職面接のためには、初めての選挙に行った方が得だろうか。今回は「選挙権引き下げ」がかなり世の話題となっている。「メモリアル意識」もあるだろうし、「世の中の話題」には乗っておく方がいいと考えるか、どうか。新有権者の半数ほどは、これから卒業のシーズンを迎える。校長の「贈る言葉」(「学校長式辞」という)では、ほぼすべての校長が「新しく選挙権が与えられることになった意義を十分に考え、国民としての責任を果たして欲しい」…などと言ったことを語るのではないか。そんなもの聞いてないと言えばそうだろうが…。
学校やマスコミでは、選挙に行くときは選挙公報やインターネットや新聞などで、各候補の主張をよく調べ、比較検討し、マジメに勉強して行かないといけないなどと論じがちである。大体、教師や記者などは「タテマエ」が通りやすい職場だから、本気で言ってる人もいるだろう。「若者の投票率が低い」などと言うと、「高齢者の方がマジメに社会を考えている」「若者ももっと真剣に社会のことを考えるべきだ」などと怒ったような発言もある。でも、60代の方がマジメなのか?マジメに新聞を読んでいるのか、などと考え始めると疑問だらけである。
もちろん、実際は違う。そういう「マジメ系」有権者は、いつの世代にも一定数はいるだろう。でも、実際は「所属組織の推薦候補」だからというだけで入れる人も多い。そのためには「所属組織」がなくてはならない。若者は正社員が少ないから、会社側の候補も組合側の候補も知らない。それを言えば、60代はもう退職してるんじゃないかとなるが、今までのさまざまな経験から「入れる党」が決まっていたり、これまでの「恩義」にこたえる投票行動をしたり、忙しくなくなった分選挙に行きやすいと考えられる。また、人生経験の中で「投票依頼」を受ける人間関係も広いということがある。若い層では「政治はダサい」意識があるから、自分では選挙に行っても知人に電話をかけまくる人は今は稀だろう。(昔はいたんだけど。そういう迷惑なヤツが。)つまり、社会経験が長くなればなるほど、さまざまの「社会関係の輪」が出来てくるから、高齢層の方が投票率が高いと考えられる。
それを考えると、若年層も問題だけど、昭和時代には8割を超えていた60代の投票率が、今は6割台になっていることの方が大きな問題かもしれない。高齢層を選挙に行かせる「共同体感覚」が崩れているということだし、「孤立化」しているということを示すだろう。それはともかく、「マジメ系」以外も選挙に行かせる社会関係が10代にはあるか。そう考えると、高校や大学に在学しているということは、かなりの「圧力」になるのではないかと考えられる。投票率が下がったといっても、それでも国民の半分ぐらいは行くわけだし、世論調査すると「必ず行く」「できたら行く」で7割にはなる。「やっぱり、行った方がいいこと」だとされているのである。そして、学校に所属することは、具体的な候補名を挙げて頼まれるわけではないけど、選挙には行くべきだ的な圧力にはなるだろう。
という風に考えると、試験が忙しい、実家に帰る余裕がない、アルバイトが忙しい、あるいは暑いから面倒とか、どんどん下がっていくだろうが、20代よりは高くなると思う。今回はメモリアル意識が出てくるから、20代が3割台のところ、5割前後には達するのではないかと予想しておきたい。
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