尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

コロナ「第7波」で死者激増、行動制限なしで良いのか

2022年08月19日 22時53分49秒 |  〃 (新型コロナウイルス問題)
 新型コロナウイルス問題をずっと書いてない。2020年には、確かに他に考えるべきこともなかった。現在はウクライナ問題、物価高やエネルギー危機と地球環境問題、安倍元首相暗殺事件と旧統一協会問題などなど、考えるべきことが山積している。ニュースでもコロナは最初に出てこなくなった。そして3年ぶりに「行動制限なし」の夏を迎え、旅行者もかなり多かったようだ。

 しかし、その間に新型コロナウイルス感染者が激増している。今日(2022年8月19日)発表された新規感染者数は、全国で26万人を越えて過去最多を記録した。それなのにそれほど大騒ぎされていないのは、症状が軽い人、感染しても無症状の人が多いということなんだろう。芸能人やスポーツ選手の感染もたくさん報道されるが、ほとんどはちょっとすれば回復しているようである。

 それだけで済めばともかく、やはり少し遅れて死者数も激増して、過去最多レベルに近づいてきた。最初の頃と違って必ずしも「新型コロナウイルスによる肺炎」が死因ではないようだ。コロナ感染による肺炎は、ワクチン接種、治療薬や治療経験の積み重ねでかなり防げるようになった。しかし、これだけ感染者が多いと、どうしても高齢者や基礎疾患保有者にも広がっていき、腎臓、肝臓、心臓などが高熱で働かなくなってしまう。コロナ肺炎としては中等症なのに、亡くなるケースが多くなったという。
(死者数の推移、東京の場合)
 上記画像は東京都におけるコロナ死者数の推移である。2020年から通覧出来る全国データが見つからなかったので、東京都のサイトから作ることにした。第6波が今まで一番死者数が多かった。しかし、死者数は感染者数から少し遅れて増加するので、今後増加すると思われている。今までの感染者数は東京の場合を下記画像で示すことにする。2021年までは現在に比べると感染者数が一ケタ違った。確かにちょっと前まで、東京で千人を超えたというと大ニュースになっていた。両方のデータを見ると、以前は感染者数に比べて死者数が多かったことが判る。これだけ感染者が増えているんだから、死亡率は激減していることになる。
(発症日別の新規感染者数、東京の場合)
 もはやコロナは「単なる風邪」化してきたのだろうか。しかし、単なる風邪でも僕は引きたくないし、風邪を引いて発熱したら社会的活動は出来ない。つまり仕事を休まざるを得ない。諸外国ではもはや規制を完全に撤廃している国もあるし、入国に際して陰性証明等を必要としない国も多い。東アジアの国だけが厳格な規制を続けているのが実態だろう。日本でも「全数把握」を見直すという声も出て来ている。実態としては全数把握はもはや破綻しているのではないか。しかし、法的な分類が変わらない以上、全数把握を求めざるを得ない。この感染者数を見れば、医療施設の負担が大きすぎる。何らかの見直しは避けられないだろう。

 僕が今思っているのは、岸田内閣からのメッセージ不足である。「無策」と言っても良いかもしれない。安倍内閣では西村康稔経済再生相(現経産相)が「新型コロナ対策相」として、毎日のように顔を見ていた。菅内閣では河野太郎行政改革担当相(現デジタル相)が「ワクチン接種推進相」として発信していた。まあ西村氏や河野氏の顔を見るのも結構ストレスだったような気もするけど。では現在の第2次岸田改造内閣では、コロナ対策担当、ワクチン接種担当の大臣は誰なんだろうか。ちゃんと言える人は少ないと思う。いないんじゃないかと思ってる人も多いのではないか。

 いや、一応ちゃんといるのである。コロナ対策担当は山際大志郞経済再生相で、選挙中に「野党の人から来る話はわれわれ政府は何一つ聞かない。本当に生活を良くしたいと思うなら、自民党、与党の政治家を議員にしなくてはいけない」と、まさにホンネなんだろう暴言をした人物である。大臣に再任された後で、旧統一協会との関わりを認めた人でもある。ワクチン接種担当は、松野博一官房長官の兼務。いるのである。でも、何の存在感もない。そもそもコロナ対策で専門家の会議も開かなくなった。政府が行動制限をしないと決めてしまったが、それは専門家に諮って決めた対策ではない。それで良いのだろうか。

 この中で舞台芸術は大変なことになっている。例えば「ハリー・ポッター」が舞台化され話題になっているが、8月上旬はずっと休演である。また池袋の東京芸術劇場で行われるNODA・MAPの公演も7月分は中止となった。8月はやっているようだが、このように公演中止になる舞台が相次いでいる。人気公演は当然事前に売り切れているが、中止分は払い戻しすることになる。その莫大な負担に耐えきれない劇団が出ると言われている。もう舞台装置などは作ってしまった後で中止するんだから大変だ。今までは遅すぎる、少なすぎると言われつつ、何らかの助成金制度があった。今回は行政による行動制限がないから、補償の仕組みもないのである。

 全数把握を継続する、外国人の個人旅行は認めないという厳しい対策をする以上、日本国民に対しても何らかの行動制限が必要だったのではないか。政府は何も方針を出さず、民間は自由にして良いという中で、感染者は増えて医療機関がパンクする。飲食店も開けて良いと言われても、猛暑もあって客足は伸びないだろう。しかし、今回は補償がない。その方針の是非を国会で議論したのか。まだ第7波が見えなかった6月15日に国会を締めて、その後参院選後に3日だけ臨時国会を開いただけ。何の論戦も行われなかった。政府のコロナ方針を質す機会がないまま、第7波の厳しさにある。僕ならこうするという対策もないので、あまりコロナ問題を書きたくなかったんだけど、どうも岸田内閣の無策ぶりがひどいと思う。
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