東京都でパラリンピックの学校観戦を進めようとしている。「新型コロナウイルス問題」として書くつもりだったが、中身的には「東京の教育」の方が近いと思うので、そっちのカテゴリーにしたい。「パラリンピック学校観戦」そのものではなく、少し違ったことを書きたいからだ。パラリンピックを観戦することの教育的意義はないわけじゃないだろう。でも行政というのは前例踏襲が多い。オリンピックの学校観戦は取りやめになったんだから、その後の感染拡大を合せ考えてみると、パラリンピックの観戦も取りやめる方がむしろ自然ではないか。
さらに東京都教育委員会で(6人の委員の中で)出席した4人の委員が反対するという異例の展開になっている。それでどうして実施が可能なのか。「教育委員とは何なのか」という問題である。教育委員会の意思決定は、当然のことながら教育委員の多数の意思である。教育委員の過半数が反対することを実施出来るのか。もちろん法的に可能だから実施するわけだが、それで果たしていいのだろうか。
(教育委員会で教育委員が反対)
東京都教育委員会は毎月第2、第4木曜日に定例会が開かれる。その2日前(普通は第2、第4火曜日だが、祝日がある場合はそれを除いた2日前)に開催の告示がホームページに掲載される。しかし、時々「臨時会」が開かれている。緊急事態宣言時の対応に関しては大体臨時会が開かれている。今回は18日になって、突如「18日午後8時」という開催告示が掲載された。内容は「報告事項」が2つである。「(1)夏季休業明けの都立学校の対応について(2)パラリンピック競技大会における学校連携観戦について」である。
教育委員が意思決定を行う場合は、「議案」と告示に明記されている。例えば「東京都公立学校教員の懲戒処分等について」といったように。今回は「報告事項」だから、教育庁(教育委員会の事務局)の原案を審議しない。4人の委員が反対意見を述べたというのも、原案に反対したというのではない。いわば「憂慮を示した」とでもいうか、「報告に対して意見を述べた」だけである。4人いたんだから、報告事項を審議事項に変更する動議を出して、「学校観戦は行わない」と議決することも出来なくはない。でもそこまで事を荒立てたくもなかったんだろう。皆さんの心配を受けとめて感染防止に努めて実施するといったあたりで終わったんだと思う。
現時点で学校観戦は最大13万2千人を予定しているという。僕は「夏休みを延長した方がいい」と書いたわけで、この人数に不安を抱く人が多いのは当然だと思う。やりようによっては危険性は少ないかもしれないが、引率する教員の負担が多すぎるのと予想される。児童・生徒が皆おとなしく見ていればいいけれど、やはり校外行事、それもスポーツ観戦となれば、はしゃぐ子どもも出て来るだろう。時間にもよるが、食事はしないでも水分補給は必要なんだから、感染拡大を心配する保護者が多いと思う。まだまだ残暑厳しき時節、家でテレビで観戦しようじゃ何故いけないのか。オリンピックはそう言ってたわけだから。
(各区の対応)
都教委はこれまで各学校に「オリ・パラ教育」を強制してきた。いまさら何もなしというのも具合が悪いのか。学校にパラリンピアンを招き、ゴールボールとかボッチャとか一緒にやってみるなどの試みも多かった。だから、ぜひ見てみたいという子どももいるだろう。しかし、それを言うならオリンピックだって見せるべきだろう。何でパラリンピックは見せたいのか。そこに何やら嫌な感じを持ってしまう。つまり「パラリンピック観戦」は「道徳教育」なんだろうなと思ってしまう。
「スポーツの力」を感じてもらうというより、「頑張っている障害者」を子どもたちに見せたいということではないか。全校で見に行ったら、必ず「感想文」を書かせる。「障害を負った皆さん」「でも」「一生懸命頑張っている姿」を見て、自分ももっと頑張らなくてはと「反省」しました、みたいな。そういう作文をスラスラ書ける能力を育成すること、大人が求める価値観を内面化することに目標があるような気がして、嫌な感じがするのである。そんなことはないと言うかもしれないが、やっぱりそうなると思う。
本当は「教育委員会」とは何なのか、その問題も書きたいと思ったが、今回は止めることにする。最後に常識的な疑問。コロナも心配だが、熱中症で倒れる児童・生徒の方が多いはず。間違いなく100人以上出る。夏には子どもに見せたい展覧会などが幾つもある。学校に割引券を送ってきたりする。それは学校単位でまとまって見ようということではない。家庭で(あるいは個人で)行って欲しいということである。涼しいところへ行く林間学校はあっても、真夏に遠足や社会科見学などを企画する学校はない。常識的に考えれば判るが、全校でどこかに日帰りしようという季節じゃない。オリンピックとかパラリンピックの問題以前の話。
さらに東京都教育委員会で(6人の委員の中で)出席した4人の委員が反対するという異例の展開になっている。それでどうして実施が可能なのか。「教育委員とは何なのか」という問題である。教育委員会の意思決定は、当然のことながら教育委員の多数の意思である。教育委員の過半数が反対することを実施出来るのか。もちろん法的に可能だから実施するわけだが、それで果たしていいのだろうか。
(教育委員会で教育委員が反対)
東京都教育委員会は毎月第2、第4木曜日に定例会が開かれる。その2日前(普通は第2、第4火曜日だが、祝日がある場合はそれを除いた2日前)に開催の告示がホームページに掲載される。しかし、時々「臨時会」が開かれている。緊急事態宣言時の対応に関しては大体臨時会が開かれている。今回は18日になって、突如「18日午後8時」という開催告示が掲載された。内容は「報告事項」が2つである。「(1)夏季休業明けの都立学校の対応について(2)パラリンピック競技大会における学校連携観戦について」である。
教育委員が意思決定を行う場合は、「議案」と告示に明記されている。例えば「東京都公立学校教員の懲戒処分等について」といったように。今回は「報告事項」だから、教育庁(教育委員会の事務局)の原案を審議しない。4人の委員が反対意見を述べたというのも、原案に反対したというのではない。いわば「憂慮を示した」とでもいうか、「報告に対して意見を述べた」だけである。4人いたんだから、報告事項を審議事項に変更する動議を出して、「学校観戦は行わない」と議決することも出来なくはない。でもそこまで事を荒立てたくもなかったんだろう。皆さんの心配を受けとめて感染防止に努めて実施するといったあたりで終わったんだと思う。
現時点で学校観戦は最大13万2千人を予定しているという。僕は「夏休みを延長した方がいい」と書いたわけで、この人数に不安を抱く人が多いのは当然だと思う。やりようによっては危険性は少ないかもしれないが、引率する教員の負担が多すぎるのと予想される。児童・生徒が皆おとなしく見ていればいいけれど、やはり校外行事、それもスポーツ観戦となれば、はしゃぐ子どもも出て来るだろう。時間にもよるが、食事はしないでも水分補給は必要なんだから、感染拡大を心配する保護者が多いと思う。まだまだ残暑厳しき時節、家でテレビで観戦しようじゃ何故いけないのか。オリンピックはそう言ってたわけだから。
(各区の対応)
都教委はこれまで各学校に「オリ・パラ教育」を強制してきた。いまさら何もなしというのも具合が悪いのか。学校にパラリンピアンを招き、ゴールボールとかボッチャとか一緒にやってみるなどの試みも多かった。だから、ぜひ見てみたいという子どももいるだろう。しかし、それを言うならオリンピックだって見せるべきだろう。何でパラリンピックは見せたいのか。そこに何やら嫌な感じを持ってしまう。つまり「パラリンピック観戦」は「道徳教育」なんだろうなと思ってしまう。
「スポーツの力」を感じてもらうというより、「頑張っている障害者」を子どもたちに見せたいということではないか。全校で見に行ったら、必ず「感想文」を書かせる。「障害を負った皆さん」「でも」「一生懸命頑張っている姿」を見て、自分ももっと頑張らなくてはと「反省」しました、みたいな。そういう作文をスラスラ書ける能力を育成すること、大人が求める価値観を内面化することに目標があるような気がして、嫌な感じがするのである。そんなことはないと言うかもしれないが、やっぱりそうなると思う。
本当は「教育委員会」とは何なのか、その問題も書きたいと思ったが、今回は止めることにする。最後に常識的な疑問。コロナも心配だが、熱中症で倒れる児童・生徒の方が多いはず。間違いなく100人以上出る。夏には子どもに見せたい展覧会などが幾つもある。学校に割引券を送ってきたりする。それは学校単位でまとまって見ようということではない。家庭で(あるいは個人で)行って欲しいということである。涼しいところへ行く林間学校はあっても、真夏に遠足や社会科見学などを企画する学校はない。常識的に考えれば判るが、全校でどこかに日帰りしようという季節じゃない。オリンピックとかパラリンピックの問題以前の話。
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