尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

5年ぶりの「にゅうおいらんず」ー浅草演芸ホール8月上席(昼の部)

2024年08月05日 21時48分34秒 | 落語(講談・浪曲)
 浅草演芸ホールの8月上席(昼の部)に行ってきた。例年この時期は落語芸術協会の噺家バンド「にゅうおいらんず」の公演がある(10日まで)。三遊亭小遊三がリーダーで、春風亭昇太春風亭柳橋などに加えて、見かねたクロウトも入って楽しくやってる。前に見て面白いからまた行きたいと思いつつ、なかなか行く機会がなかった。前はいつか検索したら、2019年以来5年ぶりだった。その間に音曲の桂小すみが加わり、少し安定感が出たかも。昨年から桂宮治もトランペットでゲスト参加。
(にゅうおいらんずの面々=2023年)
 最初にやったラテン音楽「セレソ・ローサ」、聞けば誰でも一度は聞いたことがあるような曲だが、小遊三のトランペットを昇太が延々と引き延ばし「殺す気か」なんて言われてた。小遊三がやりたいと言い出したということで、自分にはラテンの血が流れてるからと笑わせていた。今年初めてやったという「東京ドドンパ娘」も楽しい。1961年、渡辺マリのヒット曲、なんて言われても知らないけど、なんだか聞いたことがあるのが不思議。もともと「にゅうおいらんず」はニューオリンズのもじりだと言うが、ジャズっぽいアレンジが乗りやすい。場内手拍子で盛り上がる。

 ところで「にゅうおいらんず」公演期間は、そこに出る小遊三、昇太、宮治らの「笑点メンバー」は当然落語でも出番がある。それに「特別興行」ということで、普段より高く(3500円)開始時間も早い(11時10分)。そこでいつもより出が早いので、うっかり遅れて来る人がいる。今年の新真打山遊亭金太郎も来てなくて、早く来ていた春風亭昇也が先に出た。「二つ目に戻せ」とかメチャクチャいじられていたが、金太郎が出て来たら「待ってましたと掛け声を掛けて」なんて笑わせていた。噺は「筍」を凄い早口で演じて受けてたが、僕は柳家三三の方がいいなと思った。少し後に金太郎が出た時は、掛け声が掛かって大笑い。

 ところがもっと大物がいた。それが柳亭小痴楽で、12時半出番のところ12時10分に起きたと電話があったという。小痴楽はよく遅れるので、誰も驚かないらしい。妻も寄席の仕事だと知ってる日には起こさないというから凄い。大御所の三遊亭遊雀が先に出て来た経緯を説明すると場内爆笑。小痴楽の場合は楽屋で誰も怒ってなく喜んでるというのが笑える。大分遅れて仲入後の2時過ぎに出て来たら「待ってました」の大洗礼。「松山鏡」という江戸時代に鏡を知らない村で起こる笑話をやった。本来仲入直後は桂宮治だったので、その後に出て来た宮治から「自分の顔を鏡で見ろ」とかいじられて、舞台に小痴楽が乱入してきた。
(柳亭小痴楽)
 こういう今どき珍しい昔風の落語家が生きていけるのが寄席のいいところか。正直、「にゅうおいらんず」よりインパクトがあった。他には瀧川鯉昇三遊亭遊之介などが面白い。バンドで出る小遊三、昇太、柳橋らはやはり落語は小味になるので、落語を楽しむには別の機会の方が良い。漫談のナオユキが初めてだけど面白く、マジックの北見伸&スティファニーは大受けしていた。桂小すみの冷蔵庫に感謝する歌もおかしかった。ただ、5時間越えの長丁場は、休憩が入るとはいえ長過ぎ。お尻が痛くなった。

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