My Audio Life (趣味のオーディオ)

真空管オーディオを中心に、私のオーディオチューンアップについて書いています。最近はPCオーディオにも取り組んでいます。

カセット・デッキの音質改善。~ほぼ最終型~

2020-06-09 11:57:13 | カセットデッキ

あれから、更なる音質向上が出来ないかと、無い頭を捻って考えました。

そして、やった事は以下です。

 

(Idea 1) : ヘッドアンプの電源デカップを左右chで分離

目的はチャンネルセパレーションの改善。

差動アンプの信号経路はこの電解コンデンサを介して閉回路となる為、ここが左右共通だと分離が悪くなる。

そこで電源デカップリングを左右で分けました。下の回路図を参照。

更にグランドもヘッドからの入力部分の根元から左右を分離しました。

基板裏が結構見苦しくなりました。

結果は確かに音の広がりが良くなりました。

OPアンプやDolby ICは、One Chip Dual回路だけど、セパレーションは考えてあるだろう。。。

 

(Idea 2) : 定電流回路用FET変更。

2SK170は中華製の可能性もあって、気に入らない。

そこで他の機器に使っていた2SK43を取り外して使う事にした。(前記事で書いたのは2SK30Aでは無く2SK43だった)

この2SK43はSONY製で、しかもIdss=7.8mA測定選別品のペア。

以前にアキバのパーツショップで購入。今購入しようとすると結構高価。

ところが、このFETのIdss vs VDS特性図が見つからず少し苦労した。

 

(Idea 3) : 差動回路のバイアス電流見直し。

ちょっと真面目に負荷線を引いてみた。

差動用FETは東芝2SK389(BL)デュアルタイプ。この石も今は入手難の上に高価。

電源電圧と抵抗値により、Id=1~1.2mA位が良さそう。

という事は、定電流回路2SK43のIdは2~2.4mA。

2SK43の特性図が無いために、カット&トライ。なんとか2.2mAに合わせる事が出来た。

 

(Idea 1~3)を実施した回路図がこちらです。

今回も勉強になりました。

 

(Idea 4) : NF用電解コンデンサを変更。オリジナルは470uF(松下)

BC製220uFとニチコンFG220uFのパラ使いとしました。

経験上、BCはシャキッとした音、FGは中低音強化。

IC 8920の上下にあるシルバーの円筒がBC製電解コン。FGは裏面の金色。

 

この作業で一番厄介だったのが基板パターンの剥離。作業中に何か所も剥がれました。

経年劣化なのか元々接着が弱いのか、銅箔パターンが簡単に剥がれてしまう。しかも銅箔も薄い。1/2oz?

ここは思わぬ苦労をさせられました。パターンをテスターでひとつずつ導通チェックしました。

 

そして改良後の音を聴いて久々に感動。胸が高鳴り思わず興奮!

なんとも良い音、見通しも、音の広がりも良くなました

テープの音って、こんなに良かったのかぁ。

 

残すところは、ローカル電源とかやって見たい気もするが、大掛かりになるので、一旦ここまで。

やっても部品の追加や交換ぐらいかな。

電源作るなら、学生時代に作った事のあるシャントレギュレータなんかもやってみたいが、今は労力を使い果たして気力が湧かない。暫くは休憩、、、。

 

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カセットデッキの更なる音質向上。~定電流回路の追加~

2020-06-03 13:39:37 | カセットデッキ

前回は部品の交換でしたが、今回はちょっと回路を弄ってみます。

先日書きました通り、初段の差動増幅回路に定電流源を追加してみます。目論見では歪が少なくなる筈。

(オリジナルの回路)

(変更後の回路)

抵抗の値を変更していますが、これは抵抗値が全く同じものがDALEには無い(DALEは値の刻みが細かいので大体そうなる)ので近似値を使いました。

他には、位相補正用のCRのCを470pFに小さくしています。少しでも高域を稼ぐため。

定電流回路のFETには、部品箱で見つけた2SK170GRを使いました。

これは、その昔にある製品を2SK170⇒2SK30Aへ換装した時の残骸と思います。

定電流源は、データシートによると、この状態(G-Sショート)で2.6~6.5mA位になる筈。

改造作業が終了した状態。汚くてちょっと見苦しい。

改造後の電流測定。

上側についている抵抗2.67kΩの両端の電圧を測定。

まずは、Lチャンネル:3.16V/2.67kΩ=1.16mA 。 これ片側なので合算で2.32mA。

同様に、Rチャンネル:2.441V/2.67kΩ=0.914mA。 合算で1.828mA。

あれ~? データシート通りにならない。

IDSSはバラつきが大きいとは分っているのだが、それにしても、、、規格外。

そう言えば、この2SK170GRは中華製製品から外したものなので、偽物の疑いも?

2SK170や2SK30Aは定番なので偽物も多いとの噂有り。

取り敢えず、使えない訳ではないし、扱う信号も小さいので、この位のアイドル電流でも大丈夫かな。

音出しをしてみます。

音は、確かに細かい音まで聴こえる様になり、見通しも良くなりました。歪が減ったのでしょう。

 

何かのついでがあれば、本物の2SK170GR(生産終了)や、CRDを購入して試してみたい。

CRDもバラつきが大きいので多めに購入が必要でしょう。

 

そうそう、前回の投稿で紹介を忘れていましたが、部品交換で半田を吸い取るには、この道具が役立ちます。

少しの部品交換であれば「半田吸い取り線」でも良いですが、沢山の部品交換する時は、これが便利です。

私は、ずっと愛用していて、とても重宝しています。お薦めです。

 

それにしても、カセットデッキをここまで弄る人はそんなに居ないでしょうね。

人のやらない事をやる、だから面白い。

 

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カセットデッキ音質向上のための改造。

2020-06-01 10:54:47 | カセットデッキ

全国の緊急事態宣言が解除され、やっと改造用部品を購入する事が出来ました。

今回、改造のために購入した部品は、主に抵抗とコンデンサです。

TEAC V-5010の回路図も何とか手に入れることが出来ました。

改造後の写真がこちらです。

抵抗は主にDALE製RN-55に交換。黒い抵抗はTRW製RN-55です。使い分けに特に意味は有りません。

手持ち分と新規購入分の違い位です。過去の経験から音質傾向も同じと思っています。

抵抗だけで22か所交換。

カップリング・コンデンサは電解コンからWIMA製フィルムコン(赤)に交換。容量は若干下げていますが、低音の量感に変化は有りませんでした。一応、カットオフ周波数を簡易的に計算してます。

SONY製DOLBY ICに外付けの0.56uFと0.33uFに電解コンが使って有ったので、これをERO製フィルムコン(緑)に交換。小容量の電解コンは嫌い。

その他のフィルムコンは東信製UPZ(PPコン、赤艶)に交換。

フィルムコンへの交換、22か所。

半固定VRをコパル製に交換。

 

ここまで作業をしてから音出しして聴いてみると、「おやっ?」何だか音が篭っていて死んでる。

全く冴えない音。。。

改悪になったかなぁ?と、この日はガックリと肩を落とし、疲れだけが残る。

次の日、朝から音出し、夕方小休止で電源オフ、再び夜に電源オン。

聴いてみると、高域も出る様になり、かなり音の見通しが良くなってきた。

アナログならではのシッカリと厚みのある音。これは期待できそう。更に鳴らし込みを続行。

 

今後、改造してみたい箇所が、初段のヘッドアンプ。

ここはディスクリート構成の差動増幅DCアンプになっているのですが、定電流回路になっていないのが気になります。

カレントミラーが良いのですが、石が2個追加になるのはちょっと面倒。

定電流ダイオード(CRD)は手持ちが無い。

部品箱を探していたら定電流源に使えそうなFETが見つかったので、これを使ってみることに。

ここは、後日報告。

 

それにしてもこのデッキ、ポテンシャルはナカミチより上かも知れない。

クローズドループ・デュアルキャプスタンDCアンプはナカミチを踏襲。

しかし14層積層コバルト・アモルファス・ヘッドはナカミチ以上と思う。

価格以上のポテンシャルが有りそう。弄るのがますます楽しくなってきた。暫く遊べそう。

プロ用機器を作ってきたティアックのカセットデッキ最期の威信をかけた渾身の機器だったかも。

コスト度外視? 音声処理回路部分は上位機種のV-7010と同じ。

 

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カセット・デッキのメインテナンス用グッズ。

2020-05-30 11:21:25 | カセットデッキ

カセット・デッキのメンテナンスに必要なグッズを集めてみました。

左から。

 ・アジマス調整用ドライバー

  ヘッドが近くにあるので、磁化されていないマイナス・ドライバーが必要。

  セラミック・ドライバが良いのですが、私は割り箸を削って作りました。

       木よりも竹のほうが丈夫で良いかも。

・クリーニング液

  専用のクリーニング液が見つかりました。ナガオカ製?30年以上前のもの?大丈夫?

  この液を綿棒に浸して掃除します。

  綿棒は抗菌処理(キトサン?)した物も有りますが、綿だけの物が良いですね。

  ヘッドには無水エタノールで代用できますが、ピンチローラーには、ゴム硬化が心配なので、専用液を使用します。

  ピンチローラーは、ゴムなので経年劣化で黒ずんだ汚れが綿棒に着きます。

・ヘッド消磁器

  我が家でAKAIのAH-7が見つかりました。

  ヘッドから充分遠ざけてからスイッチ・オフします。

  後年ではカセットテープ型が主流になりました。簡単で良いですね。

 

これらは、カセットデッキのメンテ「3種の神器」と言います(笑)。

 

さらに、メカ調整用のテープとして、こんな物が見つかりました。「テープ・パス・チェッカー」です。

テープの走行状態、ヘッドの当たり具合(位置など)、ピンチローラーの当たり具合を確認する為に使います。

一度、調整と確認が出来れば、あとは不要ですね。

 

3種の神器のうち、ヘッドのクリーニングは頻繁に行った方が、音質を保てます。テープ再生1本毎くらい。

アジマスも、実は市販のミュージックテープ夫々で微妙に違うので、テープごと、A面、B面ごとに調整したほうが良いでしょう。

アジマスがズレていると、高域が出なくなるので、耳で聴いていても判ります。

カセット・デッキも、レコード・プレーヤと同じで神経質になってしまいますね。

 

余談ですが、令和の家電「3種の神器」って、「4K/8Kテレビ」「冷蔵庫」「ロボット掃除機」らしいです。冷蔵庫は何となくわかりますが、後の2つは私には無縁です。

 

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カセットテープ切れの補修。

2020-05-26 22:03:11 | カセットデッキ

カセットテープの断捨離をしている時に出てきた市販のミュージック・テープの中から紹介です。懐かしい~。

まずは、アジアの歌姫、『テレサ・テン』です。

以前にも書きましたが、台湾に住んでいる時に、テレサテンの墓には何度か行きました。

台湾の富豪が埋葬されている墓地の1角で、見晴らしの良い高台に有ります。

彼女の曲は、ポリドール時代の演歌とトーラス時代のポップスが有りますが、どちらも好きです。

CDでは、彼女の目標であった紅白出場が決定し、その直前のNHKホールでのコンサートを収録したものが、バックの演奏も録音状態も良く、まさに目の前で歌っている様で、お勧めです。勿論、私も持っています。

 

次は、日本ポップス界を代表する歌姫、『中森明菜』さんです。

踊りながら息も切らせず歌えて、こんなに色っぽくて、歌の上手い歌手は、今のJ-POP界では居ないですね。

和製マドンナを思わせます。まさに見る人、聴く人を魅せる事に徹底されていますね。

ライブ映像では、これが一番ではないでしょうか。ヒット曲ばかりのライブです。勿論私も持っています。

他にも欲しいな~と思っています。

 

と、ここでやっと本題の「切れたカセットテープの補修」についてです。

中古のカセットテープを巻き戻したり、早送りしていると、終端でテープが切れてしまうことが有ります。

これは年代から仕方がないかも知れませんが、概して市販のミュージックテープは、作りやプラ材料が良くない所為か切れ易いです。対してTDKやマクセルの生テープは結構強いです。

切れてしまったテープです。

これは、実はテープが切れてしまったのでは無く、ハブにテープを挟み込んで留めているプラ部品が割れて外れてしまっているのです。

この補修には、瞬間接着剤でテープをハブに接着後、プラ部品を元通りに被せ接着するか、或いはこの部品を他のカセットテープから拝借する方法が有ります。

私は面倒なので瞬間接着材で着けましたが、問題無く使えています。巻き戻し、早送り、再生も大丈夫でした。

元通りに戻したところです。

実はこれ、Winkのファースト・ライブです。これも貴重ですね。

市販ミュージック・テープで切れたものが3本ほど見つかりましたが、この方法により全て修復済みです。

 

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カセットテープの断捨離。

2020-05-16 12:39:21 | カセットデッキ

1,000本以上は有ろうかと思うカセットテープの断捨離をしました。

ケースに書き込んだ内容と、怪しそうなものは実際に聴いてみて、残すものと捨てるものを選別。

やり終えるのに、約10日間掛かりました。

下の写真は、残すものを収納BOXに収めたところです。

出てくるわ出てくるわ、。。。

その中でもスタジオライブの生中継をFMから録音した物とか結構貴重な音源も有りました。

これらは永久保存で残して置かないといけないですね。

例を挙げると、

 ・クルセイダーズ・ライブ 1982年、83年日本、BBC等々、やたらと多かった。

   このグループのライブは1981年?に行った事がある。とにかく上手かった。プロの演奏。

 ・ライブ・アンダー・ザ・スカイ リー・リトナーなど。

 ・エリック・クラプトン BBCインタビュー/渋谷陽一が解説何度もライブに行ったけど、日本ではもう見れないかな?

 ・渡辺貞夫ライブ (スタッフのメンバーがバック)

 ・渡辺香津美 ライブ

 ・日野正 NHKスタジオライブ

 ・カシオペア・ライブ NHKスタジオ生ライブとかライブ録音したテープがやたらと多い。

 ・スクエア・ライブ NHKスタジオ505ライブ

 ・高中正義 ライブ この人の虹伝説ライブ武道館に行ったなぁ~。カッコ良かった。

 ・松任谷由美(荒井由実) ライブ(バックはティン・パン・アレー メンバー)

 ・YMO ライブ 

 ・浜田省吾 ライブ

 ・アリス DENONライブコンサート

 ・松山千春 NHKホール  この人のライブは良く行ったなぁ~。とにかく話が多い。

 ・小椋佳 NHKホール

 ・高橋真梨子 1986年ライブ 絶頂期ですね。透明感のある声の伸びが素晴らしい!この人のライブも行ったなぁ~。

 ・サザンオールスターズ NHK生中継 82年7月

    サンシャイン・オブ・ユア・ラブを演奏している。

    この時、メンバー紹介で関口(ピアノ)、大森(ドラムス)、桑田佳祐(シンセ)、国本(ベース)、原由子(ギター)、(松田)ヒロシくん(パーカッション)、(野沢秀行)毛ガニ(ボーカル)と言っている。この曲の時だけは担当楽器をローテーション?

    演奏は上手いが曲間のMCがアマチュアぽくて面白い。 ※貴重な音源かも?

等々、他にも沢山有りました。殆どが80年代前半の音源。

録音はNAKAMICHIのデッキ、チューナーはトリオだったと思う。

レコードやCDからダビングしたものは捨てる事にした。当時はダビングして車で聴いていたのでしょうね。

市販のミュージック・テープも有りましたが、その中には巻き戻した時に切れてしまう物が有り、これは修理して聴けるようにしました。修理方法は後日、紹介しましょう。

 

よく聴いてみると、ナカミチで録音したものは、市販のミュージック・テープよりも音質が良い様に感じる。

ただ、市販ミュージック・テープにも音質差が有る様にも思う。

市販ミュージックテープで特に音質が良かったのが、こちら

AIR SKIP/CASIOPEA(カシオペア) 

 

DJ、曲ともメチャクチャかっこ良くて、B面には絶頂期のカシオペアのライブも収録されている。

これ、レコード、CDも無く、カセットテープのみでの発売。超貴重。オークションでも高値で取引されている。

 

結局、残すことになったカセット・テープは150本くらい。大事に保管しておきたいと思います。

或いは、デッキをもう少しチューンアップしてから、デジタル化して保存する事も検討中です。

デジタル化には、『TASCAM US-366』を使用。

PC上での最初の設定が少し面倒ですが、一度設定してしまえば後は簡単です。

参考になるか分かりませんが、私が過去に設定した例は、こちらです。

色々と音質調整、音処理、効果付けができ、勿論ハイレゾでの取り込みも出来るので、結構本格的にデジタル化が出来ます。

 

さて、次はビデオテープの断捨離をしたい。これもかなりの本数が有る。

 

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たまにはカセットテープの音を聴くのも良いもんだ。

2020-05-05 17:04:16 | カセットデッキ

4年前に修理して取り敢えず動作する様になったカセットデッキ

そしてその2年後にアジマス調整もしましたが、その音質は今ひとつでした。

当時の修理の様子は、ここに書いています。

あれから2年、今年の計画に書いた様に再度リペアする事にしました。

 

再修理後の音質については、最後に詳しく書きますが『カセットデッキって、こんなに良い音だったの?!』って驚きです。

 

私の持っているカセット・デッキは『ティアック製V-5010』です。1993年製。メイド・イン・ジャパン!。中級機ですかね。(写真は今回のリアレンジ終了後のものです)

しかし、ヘッドには高純度PCOCC巻線コバルトアモルファスが使用されているので、潜在能力が有るはず。

もっと良い音が引き出せるのではと可能性を信じて挑戦しました。信じるものは救われる?

余談ですが、ナカミチのN482も持っていたのですが、これはリールが動かなかったので4年前に産廃として捨ててしまいました。 今思えば、ベルト交換だけで復活していたと思うのに、残念⤵。悔やまれます。

 

さて、このティアック製V-5010の今回の修理内容です。

<メカ関係>

①回転ギアのグリスアップ。数か所。

 使用したオイルは「タミヤ Fグリス」です。ミニ四駆のギア等回転部分用。

 

②テープのオートポジション機能修理。

 テープの種類(ノーマル/クローム/メタル)を自動検出の不具合。

 検出部分の金具に貼るべきクッションを前回付け忘れていました。

 

<電気関係>

①メカ制御用ASICの電源に電解コンを追加。

 ここの電圧が不安定になるとメカ制御が不安定になり、テープを駄目にする可能性があるので念のため。

 

さて、ここからが音質に影響する重要な部分です。↓ ↓ ↓

その前に、

カセットデッキのアナログ部分は大きく分けて次のブロックで構成されています。

 電源回路、PB(PlayBak=再生)ヘッドアンプ、再生EQ

 再生Dolby回路(B/C type)、録音Dolby回路(B/C type)

 REC(録音)回路、REC EQ、バイアス回路(発振回路)

 その他SW回路、ミューティング回路、レベルメーター回路、ヘッドフォンアンプなど。

※この機種の回路図が手に入りませんでしたので、基板の追いかけと過去の経験で解析しました。

私の目的は、市販のミュージック・テープを再生する事と、過去若かりし頃に録り貯めた音源を再生するためだけなので、再生系を重点的に弄りました。なので、発振回路とHPA基板は取り外しました。

いよいよ作業内容です。

②取り敢えずアナログ基板は全て再半田しました。

 再半田後、組み直して音を出してみようと思うと、あれ?音が出ない。

 半田ショートさせた?壊した?ここはかなり悩みました。

 そしたら、ナント!意外な落とし穴がありました。

 おおもとのグランドとアナログ基板のグランドは、後面の銅シャーシから繋がる様になっていたのです。

 これは分からなかったなぁ~。オシロまで引っぱり出して、信号確認しました。

 この写真の左側と思いきや、なんと右側です。ならば右側の銅箔を出しておくべきでしょう~。

 無事音が出る様になって、音質確認すると、再半田だけでも音が良くなった様に感じました。

③カップリングコンデンサ(電解コン)に0.1uFフィルムコン(ERO製)をパラ追加。

 電解コンデンサは、おおもとの+-電源平滑ELNAのAUDIO用大容量以外は、全て松下のAUタイプ(オーディオ用?)が使われています。

 フィルムコンを追加することで高域が改善されました。

④再生ヘッドからシールド線の基板上コネクタ接続をやめて半田で直付け。

 ここのヘッドからの信号は、かなり微小でオシロでも見えないくらいです。

 接触抵抗等があると音質に直接影響します。かなりSensitiveです。これは現役時代にも経験しました。

⑤再生ヘッドアンプのデカップリング・コンデンサの交換、追加。

 再生ヘッドからの信号はNchのMOS-FET差動で受けている様です。ダイレクト・カップリング。

 ここの信号は微小なので、音質に与える影響大です。

 供給電源用電解コンデンサにニチコンの最高級品KZを投入しました。

 狙い通りこの効果は絶大でした!!!。

 低域から高域まで良く出る様になり、今までとは全く違う音質です。

⑥再生用EQアンプのオペアンプICをM5220からMUSES 8920に換装。

 これも効果がありました。張りの有るクリアーな音になりました。

 前段がFETならその受けもFETで決めました。

 さらにこの電源にもニチコンKZを追加しました。

 またEQ部も日ケミのオーディオ用470uFに換装しました。

⑦アジマス再調整、ヘッドクリーニング、ピンチローラーのクリーニング。

 特にアジマスとヘッドクリーニングは音質に直接影響するので重要です。

 

<試聴>

ここまで施して、実際に当時の市販ミュージックテープを聴いてみると、実に自然で気持ちの良い音です。

その音質は、周波数レンジ不足など感じません。(歳のため私の耳自体のf特性も落ちているとは思いますが)

CDやレコードとは、また違う音です。今まで聴いたことのない、ある意味、新鮮な音です。

私のシステムでの比較で言えば、CDはドンシャリ系で作られた様な音、レコードは抜けの良い鮮度の高い音、カセットは厚みのあるしっかりとした所謂アナログの音です。兎に角、音に厚みがあります。耳障りなところが無く、長時間聴いていても疲れません。

その昔、30数年前にFMからエアチェックした貴重なライブ音源等も聴いてみましたが、結構良い音です!感動!!! アナログ万歳ーーー!!!

 

古い機種に現在考えれるノウハウと部品を投入してリアレンジした成果です。

他にも弄るとすれば、カップリング・コンデンサにニチコンMUSEの緑やBC或いはフィルムコンを使って見る事くらいですかね。予想としては、もう少し抜けの良い音になると思うのですが。

取り敢えず、今の状態で鳴らし込みすれば、もっともっと良くなると思う。

 

順番が逆になりましたが、今回、ヘッドの表面の摩耗具合も確認しておきました。

こんなもんでしょうかね。まあまあ良いと思いますが、、、。

右側の斑点は光の反射です。

これが14層に薄膜積層化したコバルト・アモルファス・ヘッド。

 

ついでに、懐かしいカセットテープの写真も撮りました。マクセルをよく使っていたみたいです。

 

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カセットデッキ ティアックV-5010のアジマス調整

2018-04-13 11:41:58 | カセットデッキ

我が家の物置部屋の棚を整理していたら、こんなカセットテープが見つかりました。

メモワール/中森 明菜 ベスト

 

1983年発売なので、恐らく社会人1年生くらいの時に購入したものでしょう。

この頃から明菜ちゃんが好きだったのだろう。。。

このアルバムは、明菜ちゃん5枚目のアルバムで、それまでのベストアルバム。

「スローモーション」「少女A」「セカンドラブ」「禁句」「1/2の神話」などが収録されている。

早速、一昨年に修理したカセットデッキで聴いてみる事に。

市販テープなのに、今一つ音が良くない。あれ?

そう言えば、修理した時に、調整を忘れていたことがあります。

それは、アジマス調整です。

アジマス調整とは、テープとヘッドの当たり角度の調整です。この調整が甘いと高域特性が落ちます。

私は社会人のスタートは、カセットデッキの設計でしたので、この辺りは少し詳しいです。

調整には、本来は測定用リファレンステープ(TDK製だったかな?)を使うのですが、そんな物は今や手元にありません。

そうなると、あとは、自分の耳を信じて調整するしかありません。

調整箇所は、このデッキ(ティアックV-5010)の場合は、下の写真の黄色で囲んだ部分のネジ(ヘッド右横)です。

ここを左右に回し、高域が良く出る様に調整します。

また、テープを裏返し、両面とも音が良くなる様にバランスを取りながら調整していきます。

近くにヘッドがあるので、調整には磁化されていないドライバー(出来ればセラミックドライバー)を使う必要があります。

何度か繰り返し、調整が出来ました。やはり環境の温度による経年変化等でズレていた様です。

調整後の音はと言うと、アナログの音ですね。レコードと似たような雰囲気がありますね。

ただ、音質はアナログレコードほど良くはありません。

記憶が定かでは有りませんが、確かカセットテープは、高周波バイアス(80KHz??位だったか?)を掛けて録音し、再生時にフィルターで高周波成分を落としていたように思います。

なので、高周波特性はそんなに良くないと思います。

取り扱い説明書も見つかりました。

これによると、周波数特性はノーマルテープで15Hz~18KHz±3dBとあります。

また、SN比はドルビーB NRで70dBとあります。

いや~、テープのアナログも良いですね。

今のデジタル時代と比べると特性は良くありませんが、懐かしみながら聴いています。 

 

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カセットデッキ(ティアックV-5010)の修理、そして見事復活!!

2016-07-17 10:49:04 | カセットデッキ

引っ越しで自宅に戻ってから、自宅の部屋の奥で眠っていたカセットデッキを見つけました。

アナログブーム(昭和ブーム)に乗り、カセットテープの音も聴いてみたくなり、引っぱり出して電源を入れてみると、モーターと思われる所から異音を発し、テープは回らない。

何とかカセットテープが聴いてみたい衝動が止まらないので、修理に挑戦することにしました。

ソース系でアナログの修理は、このブログにも修理履歴を載せている2年前のレコードプレーヤー以来です。

今回、修理に挑むカセットデッキは、ティアック(TEAC)製のV-5010です。

オーディオの足跡」によると、1993年頃の製品らしいです。今から20数年前の製品です。すでにCDが普及している時期ですね。

部品、メカともに、この時代は良い物が沢山使われています。今では、この物量でこの価格では考えられません。

リアパネルには、きちんと「Made in Japan」と書いてあります。

 

それでは、修理の経緯について書いていきます。

まずは現状調査と言うことで、上蓋ケースを開けます。

 

シャーシが銅メッキシャーシで綺麗です。高級感があります。

電解コンデンサには、専用のオーディオコンデンサが使われています(中央奥の電解コンデンサ2本)。

ドルビーシステムのICはソニー製です。

フロントパネルを取り外します。

 フロントパネルの基板とメイン基板は前方の白いコネクタでBtoBの様な形で接続されています。

左側の基盤:メカのコントロール部分と思われます。マイコンが載ってます。

 右側の基盤:録音・再生のアナログ部分と思われます。入力部分にボリューム、バランスボリュームを配置し、軸で前面操作部まで持ってきています。音質、ノイズに対して憎い気遣いですね。

 メカを取り外してみます。メカはサンキョーSankyo製です。

この頃は殆どカセットデッキ・プレーヤーがサンキョー製を採用していたと思います。

いきなり、発見しました。

予想通り、キャプスタンのフライホイール用ベルトが経年変化で切れています。 (黒いゴム)

モーターが4個も使われています。凄い!この価格にしては贅沢です。

メカ動作は、かなり複雑そうです。メカには苦手なので、この部分はあまり故障が無い事を期待します。 

取り敢えず、イジェクト・メカ部分を取り外します。

以外とすんなりと分離が出来ました。

くれぐれもヘッドには、傷をつけないように注意が必要です。組み立て時にも。

あっ!どの部分にどのビスが使われているか分からなくなりました。。。。使用箇所を記録しておくべきだった。後悔。

メカを正面から見ると、こんな感じです。重厚に見えます。

よく見ると、ここにある筈のバックテンション用ベルトも切れて見当たらない。本来は下の2つのプーリーに掛かっている筈です。


キャプスタン用の大型のフライホイールが2つあります。デュアル・キャプスタンです。(下の写真)

ベルトが切れています。

フライホイールを外してみます。

ゴムベルトは切れてるというよりも、溶けて溶解しています。触ると危険です。手が真っ黒になってなかなか取れません。

注意しても、リード線とかその他の部分にも付着しています。

このベルトは、単なるウレタンではなく、色々な材料、例えばブチルとか、が混ぜられているそうです。

モーターの軸にもこの溶解したゴムが巻き付いています。

このゴムを最初にウエスか綿棒で粗方取り除き、その後、無水エタノールで綺麗に掃除しました。

洗浄後は、この通り綺麗になりました。

モーター軸も綺麗になりました。真鍮かな? ここは綿棒を使ったほうが良いです。

新しいゴムベルトを千石通商に手配しました。

フライホイール用5mm幅の平ベルトとバックテンション用の角ベルト。

何種類か手配しましたが、フライホイール用の平ベルトはサイズを間違えて少し径の小さいものを手配してしまいました。

その中から直径70mmのものを使いました。いずれ伸びるでしょう。

少しきついですが、この様に出来ました。あまりテンションが高いと上手く回ってくれないので少し心配です。

バックテンション用の角ベルトは直径25mmがちょうど良かったです。30mmでは大きいです。

ここまで出来れば、あとは元通りに組み上げていきます。 

折角なので、キャプスタンとヘッドも無水アルコールで掃除しておきました。特にキャプスタンは綿棒がかなり黒くなりました。

組み上げは、それぞれのビスの使用箇所がわからなくなって困りましたが、穴径と記憶を辿りながら締め付けて行きました。

あとは、ボリューム軸と前面パネルとの位置合わせも、ちょっと苦労しました。ちょっとしたコツが必要です。

コネクタ類もすべて接続して、取り敢えず電源を入れてみます。


動きました!!!

フライホイールも回っています!!!

音を出してみます。 音の揺れとかもありません。 成功!!!!!


上蓋を取り付けて、全体を少し綺麗にして完成。

 

約20年ぶりに聴く、カセットデッキの音。

音質はこんなのだったかな?

レコードプレーヤーほどの感動はありませんが、音質よりも昔に録りためたFM放送番組とかは、これでないと聴くことが出来ません。

レコードプレーヤーとは、また違う、復活の価値があります。レコード化やCD化されていない貴重な音源が沢山あります。

テープに録音していたのは、FM放送のエアチェックが殆どで、FMのスタジオでのライブとか貴重な音源もあります。

いきなり見つけたカセットテープが、リー・リトナーの81年のスタジオライブ(NHK-FM?FM東京?)です。

これは、リトナーが絶頂期の超絶速弾きギターです。感動もので貴重と思います。

恐らくこの頃、私はナカミチのデッキを使って録音していたと思います。残念ながら、そのデッキは捨ててしまって有りません。

カセットテープの音を聴いていて驚いたのは、20年前のテープでも、伸びたり、音が酔っ払い(ふらふら、よれよれ)になったり、そんな事は全くありません。

今は、古いテープを探しては再生しながら動作の状態を見ています。20数年ぶりに通電したので元気が出るまで時間が掛かるかも。


動作が落ち着いたら、貴重な音源をAD変換(192kHz/24bit)して、デジタルで保存する事も検討中です。。

回路的にも弄ったり(オペアンプの交換など)の選択肢もありますが、そこまでするかは?です。


コメント (4)
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