宇宙のこっくり亭

意識の覚醒に向かって、精神世界を縦横無尽に語る本格派ブログ!!

急速な中東の民主化

2011年03月20日 | こっくり亭日記
  
大地震の衝撃があまりにも深くて、ほかの出来事がかすんでしまう今日この頃。でも、地震の影響で財政赤字も円高も一気に進み、物流も滞っている今、経済問題はさらに深刻化したといえる(泣)。ただでさえ景気が悪いのに、いったいどうなってしまうのか。
  
スピリチュアルな教えの多くは、「不安や恐怖を持つな」とわれわれに教えている。この状況で「不安を持つな」というのも無理があるのだが、これからの時代は、思うことや考えることが現実化しやすい世界になってくる。暗い未来予想図を思い描くと、それが実現してくる恐れがある。なるべく、気楽に生きていくよう心がけたいものだ・・・。
 
そんな中、地球人類の意識の変革は、今も急激に進んでいる。それが最も先鋭に表れている出来事は、中東諸国の民主化だろう。中東といっても、主な舞台はエジプト・リビア・チュニジアといった、北アフリカのアラブ諸国だ。
   
最初は、チュニジアから始まった。チュニジアは、北アフリカ諸国の真ん中に位置する小さな国。古代においては、地中海貿易を支配したフェニキア人の国家・カルタゴが繁栄したことで有名だ。カルタゴは、やがてイタリア半島から勃興したローマ帝国によって徹底的に滅ぼされ、ローマの属州・アフリーキヤとなった。さらにその後、アラビア半島から勃興したイスラム帝国が攻め込んできて、イスラム圏に組み込まれ、今ではすっかりアラビア人の国となった。それっきり、歴史の教科書からはほぼ消えるのだが、歴史そのものから消えたわけではない。14世紀にも、「人類史上最大の歴史家」として名高いイブン・ハルドゥーンを輩出するなど、ほんの数百年前までは文化的な最先端を行っていた。
 
そんなチュニジアで、2010年の12月、民主化を求める民衆がデモを起こし、「ジャスミン革命」が始まった。2011年に入ってからは、暴動が激化し、23年間もチュニジアを支配してきた独裁者のベン・アリ大統領は、失脚して国外退去するハメになった。こうして、世界で最も民主化が遅れている地域のひとつ、中東での民主主義革命が始まった。
 
・・・と聞けば、「中東の夜明けだ」と手放しで喜びたくなるのだが、実態ははたしてどうなのか。70年代のイラン革命もそうだったが、失脚したパーレビ国王は、どちらかといえばむしろ開明的な君主で、急速な上からの近代化を進めた結果、イスラム教にしばられた古い民衆の反感を買って打倒されたという面がある。「上からの近代化」といえば、日本の明治政府、ロシアのピョートル大帝、ドイツのフリードリヒ大王などが思い浮かぶのだが、欧米や日本と違って、中東の近代化は、古い勢力の反発がより強くて難しい。民衆の意識が古いままでは、政府や知識人がいくらガンバってもムダなのだ。どこの国でも、伝統的な価値観にしばられた保守的な人々は多く、本気で改革を志向している人は少ない。民衆から孤立すれば、数の力で、改革者はいずれ排除される。
 
なぜ、中東の近代化はなかなか進まないのか。砂漠だらけの気候風土が不利なのも確かだが、根本的な原因は、やっぱり、「歴史がありすぎる」ということなのではないか。世界を日本に例えるならば、中東は、京都や奈良に相当する地域。中国・インド・ヨーロッパなど、ほかにも歴史のある地域はいくつもあるけど、中東は別格だ。まさしく人類の故郷であり、文明の発祥地といえる。歴史が長いだけに、背中にしょってるものも重い。エックハルト・トールいわく、この地に紛争が絶えないのは、歴史に由来する重い「ペインボディ」に原因があるという。歴史が長いということは、それだけ、戦争とか殺人とか、疫病とか貧困とか・・・を、数多く繰り返してきたということ。不条理な人生を送り、理不尽な死を遂げた無数の人々の怨念が、長い間に積もり積もって渦を巻いているのだから、物事がなかなか良い方向に進まないのも仕方がないと言える。地球というのは、もともとそういうところなのだから、文句を言っても始まらない。
 
それだけ、重い荷物を背中にしょっている中東。そんな中東諸国で、最近になって急速に民衆が目覚めてきた背景には、インターネットがある。ツイッターや携帯電話で、独裁政権への怒りを募らせてきた民衆は、立ち上がって独裁者を倒した。
 
チュニジアの革命は、エジプトにも飛び火した。エジプトでは、30年間も独裁してきたムバラク大統領が失脚した。長年にわたってオナジミの名前だっただけに、「もうちょっと粘るかな」と思われていたのだが、意外にアッサリと辞任した。エジプトは、いわずと知れた歴史の国。ピラミッドやスフィンクスで有名だが、人口が8000万人を超え、「そのうち1億人を突破するだろう」と言われている、中東随一の大国だ。「独裁政権」と言ったって、そんなにムチャなことをやってたわけではない。むしろ、欧米諸国とも協調的だし、中東の優等生だった。エジプトは、すっかり地中海のリゾート国家と化し、海外旅行に大人気。他のイスラム諸国が「テロリスト支援国家」のレッテルを貼られてきたのと比べると、まさに別世界だった。そんなエジプトで、政権がアッサリと倒れた。携帯電話やインターネットの威力は、それほど大きかったということだろう。
 
デモは、ジブラルタル海峡でスペインと向かい合っている北アフリカの西端の国、モロッコにも飛び火した。東方では、ペルシャ湾岸の小国・バーレーンにもデモが広がり、サウジアラビアが軍隊を派遣する騒ぎにまで発展している。もっとも、バーレーンで騒いでいるのはイスラム教の非主流派・シーア派に属する集団なので、民主化というより宗教対立の面がある。単純に「民主化」と割り切れないのが、中東諸国の難しいところだろう。アラビア半島の南端の国、イエメンでもデモが起きている。そして、ついに政府と反政府勢力の内戦にまで突入したのが、リビア。

「意外と粘らなかった」エジプトのムバラク大統領と違って、徹底的に粘っているのがリビアのカダフィ大佐だ。40年くらい前から、リビアといえば、カダフィ大佐。「なんで、カダフィはあんなに偉いのに、いつまで経っても大佐なのですか?」という素朴な疑問が、30年以上も前から問われていた古い人。中東情勢に関心の深い人にとっては、ウンザリするほど見飽きた名前のひとつだ。北朝鮮の金正日と同じく、平気で国際テロを起こし、飛行機を撃墜する危険人物。こんな人が一国の指導者におさまっているのだから、恐ろしい。
 
そんなリビアのカダフィ大佐が、「徹底交戦」を唱えて粘っている。もっとも、これまた、単純に「民主化」とばかりは割り切れない。背景にあるのはアラブならではの部族対立。広大な砂漠を抱えるアラビアでは、古来から、「部族」が生活の単位だった。部族は、勇敢な男たちに率いられ、集団で牧畜を行い、生活する。「やられたら、やり返せ」というのが、部族の価値観だ。仲間にはどこまでも優しいが、敵に対してはとことん苛烈になる。部族仲間の一人がほかの部族の男に攻撃されたら、おのれの生死をかえりみず馬上で古剣をふるい、十人をやっつけて「血の報復」を行う。それが、部族の英雄たる、男の中の男の生きざまだ。血で血を洗う中東の歴史の背後には、このような部族社会の価値観がある。

欧米メディアの報道によれば、リビアの対立の背景にも、実は「東西二大部族の対立」があるようだ。つまり、リビアの東部を拠点にして粘っている反政府勢力というのは、もともと、カダフィ大佐の属する西部の大部族とは、昔から仲が悪いもうひとつの大部族の人たちが中心だということ。単純に、「独裁者と、それに抵抗する民主主義者」というような白黒をつけると、物事の本質を見誤ることになるのが世の中の常というものだろう。
 
それはともかく、リビアの内戦には、ついに英仏を中心とする欧米諸国が介入することとなった。「反政府勢力への攻撃をヤメなければ、欧米諸国が一致団結してカダフィを攻撃するぞ」というわけだ。これに対して、カダフィは一歩も引かない構え。世界が、固唾を呑んでゆくえを見守っている。いまや、日本のTSUNAMIや原子力発電所事故と並ぶ、世界の二大ニュースの一角を占めていると言えるだろう・・・。
 

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