宇宙のこっくり亭

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エックハルト・トールの神秘体験

2009年07月23日 | エックハルト・トール
      
29歳になって間もない頃、エックハルト・トールは、人生が行き詰まり、深く悩んでいた。ある晩、夜中にふと目を覚ましたところ、寝室は静まり返って、辺りは真っ暗闇。なんだか、世界のすべてが氷のように冷たく見えた。何よりも、自分自身がまったく無意味な存在だと感じられた。「絶望のドン底だ・・・」という思いが脳裏をよぎる。
 
絶望のドン底に落ちて、まったくのウツ状態と化した、若き日のトール。夜中に、頭の中でブツブツと独り言をつぶやいていた。いや、本人が気づかないだけで、口に出していたのかもしれない。ふと、「こんな自分と生きていくなんて、もうイヤだ」と思った。
 
そう思ってから、それが奇妙な考えであることに気づいたという。「こんな自分と一緒に生きていくのは嫌だ」ということは、「自分がもう一人いる」ということを意味する。トールは、「きっと、そちらの方が『ほんとうの自分』なのだ」と思った。不思議なことに、その途端、頭の中でつぶやいていた独り言がピタリと止まったという。

これは、エックハルト・トールにとって、生涯最大の発見だったと言える。延々とネガティブな思考を垂れ流す自分と、そんな自分に愛想を尽かした、もう一人の自分への気づき。その直後、彼はすさまじい神秘体験に見舞われた。

まるで竜巻のような、強烈なエネルギーの渦が巻き起こり、トールは引き寄せられた。最初はゆっくりと、そして、だんだん速く。
 
あまりのことに、恐怖にとらわれ、ガタガタと震え始めたトール。そのとき、なぜか、「抵抗してはなりません」という何者かのささやきが、トールの心から恐れを取り去った。観念してエネルギーの渦に身をゆだねた彼は、みるみるうちに吸い込まれていった・・・。

残念ながら、この後のことは記憶にないそうだ。気づいたら、朝になっていた。小鳥のさえずりが聞こえる。今までに聞いたこともないほどの、途方もなく美しい声。朝の光がカーテンを貫いて、力強く降り注いでいる。なんとも言えないほど、暖かく、まばゆい光。それは、人智を遥かに超える何かだった・・・。感動のあまり、トールの目には涙が浮かんだ。

実際のところ、小鳥の声も、朝日の光も、いつもと同じだっただろう。だが、エックハルト・トール自身が、昨夜の神秘体験を経て別人と化していた。起きて外に出てからも、何もかもがすばらしい。街にも、至るところに生命が満ち溢れている。すべてが、生まれたての赤ん坊のように新鮮だった。

その後は、どうなったか。なんと、「至福感が五ヶ月にわたって続いた」というのだ。もちろん、「五ヶ月後からはウツ状態に逆戻りした」というワケではない。おそらく、そんな至福感に慣れて、当たり前と感じられるようになったのだろうとトールは言う。

自殺寸前の精神的危機を突破したところに、予想もしなかった至福の境地があった・・・。

もっとも、至福感を得るために、必ずしも絶望的な危機に直面しなければならないというわけではない。大事なのは、気づき。ここには、誰もが至福の境地へと到達できる、最大の気づきがある。
  
(参考図書:エックハルト・トール著 『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』)

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (次男)
2009-07-24 02:56:38
とても印象に残っているシーンです。

この頃、たしかオックスフォード大の先生か何かしてたんですよね。

僕もいろいろある中、ある『世界』に触れるようになったと思うけど、
トールのようなところまでは来てないなあ。

そちらの『世界』だけをいつも選ぶ徹底さがまだ足りないというか、
エゴの幻想に未練があるというか(笑)。
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今に生きるって? (mari)
2009-07-25 03:10:48
衝撃をうけた彼の本です。でも今、一番なやんでいるのは 今に集中することができるのは家に閉じこもって外的な刺激が無いときで、毎日いろいろなことがおきるとついついいろいろ考えてしまうんです。
どうしたらええんや?
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Unknown (コンサル星人)
2009-07-26 23:53:30
>とても印象に残っているシーンです。

ひょっとしたら、後世に残るエピソードかもしれませんね(笑)
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Unknown (コンサル星人)
2009-07-26 23:54:22
>でも今、一番なやんでいるのは 今に集中することができるのは家に閉じこもって外的な刺激が無いときで、毎日いろいろなことがおきるとついついいろいろ考えてしまうんです。


それは仕方がないでしょう(笑)

無理せず、現在の自分にできる範囲で・・・。
 
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