宇宙のこっくり亭

意識の覚醒に向かって、精神世界を縦横無尽に語る本格派ブログ!!

急変する東アジア情勢

2011年06月01日 | こっくり亭日記
 
最近は日本中が、地震と原子力発電の問題で一色になった感がある。これだけの大災害なのだから、それは仕方がない。でも、その間にも国際情勢は激変を続けている。
 
目下、世界で最大の焦点となっているのは、中東・北アフリカの情勢だろう。この地では、アラブ人の民族意識が燃え上がり、激しい反政府と反米の闘争が起きている。ヨーロッパでも、南欧諸国の経済破綻は予断を許さない状況にある。
 
そんな中で、われわれにとって気になるのは、やっぱり地元である東アジア情勢だろう。日本の国内が大変だからといって、中国や北朝鮮の動きから目を離すわけにはいかない。
 
アメリカ政府の高官(主として共和党サイドの人々)と太いパイプを持ち、長年にわたって取材を続けてきた日高義樹氏によれば、大震災が起きた3月11日、アメリカ軍はただちに艦隊を日本近海の二ヶ所に送った。ひとつはもちろん、三陸沖。もうひとつは、尖閣諸島の周辺だったという。日本国内が大騒ぎとなる中、アメリカ政府は、「この機に乗じて中国海軍が尖閣諸島で暴走するのではないか」と懸念し、ただちに対応に入ったのである。これは、注目すべきことだ。

残念ながら、東アジアの現実は厳しい状況にある。中国政府は、日本の領土である尖閣諸島を、「我が領土」と主張して、併合しようと狙っている。中国はこれまでも、南シナ海の島々をめぐって、フィリピンやベトナムその他と鋭く対立してきた。いよいよ、日本にもホコ先が向かってきたのだ。これに対して、平和ボケした日本国民にも、さすがに警戒感が台頭してきた。

こういうのを、「アメリカ人による、日本と中国の分断工作なのだ」と主張している人々もいる。いわく、「アメリカの影の政府」は、日本人の反中感情を煽ることによって、一衣帯水の日中を離間させ対立を生み出すことにより、漁夫の利を得ようと画策しているのだという。

率直に言って、それは、まったくピント外れな見方と言わざるを得ない。というのも、何よりも当の中国政府が、尖閣併合の意図を隠そうともしていない。他ならぬ彼ら自身が、まったく悪びれることもなく公式の場で堂々と領土の割譲を要求してきているのだから、「何らかの第三者が危機を演出している」というのは説得力ゼロだ。先日、被災地を慰問した中国高官と日本政府の間でも、やはりこの問題は蒸し返された。中国側が「尖閣は我が領土」と主張して譲らず、対話は平行線に終わった。
 
実際のところ、中国政府は、東南アジアの海域ではもっと野心をムキ出しにしている。ここは、彼らにとって死活問題と言える中東との石油貿易ルートなのだから、重要性は日本近海よりも上回っている。彼らにとって、領土紛争を引き起こすことなど、昔から周りじゅうの国々とやってきたことであり、日本はそんな周辺国の一つでしかない。

数日前にも、中国海軍は東南アジアの南沙諸島において、尖閣で日本に対してやってきたのと同じような嫌がらせをしてトラブルを起こし、ベトナム政府とフィリピン政府が厳重抗議したばかりだ。これに対する中国政府の対応は、「南沙諸島は我が領土」と繰り返すだけ。日本に対する姿勢と、何ら変わりがない。こういうのは、日本人の目にはなかなか見えにくい現実だろう。
 
いずれにしても、「何者かが、日本を中国と対決させようとしているのだ」などという、自己中心的な被害妄想が出てくるのは、周りを見ずに自分の国のことばかり考えているせいだ。アジア全体を見渡していれば、そんな考えが出てくる余地はない。
 
あのロシア(ソ連)やインドにさえ、領土紛争を仕掛けて戦争を引き起こしてきたというのが、現代中国の歴史なのだ。むしろ、過去60年間、中国の周囲の国で、戦争や革命を起こされずにすんだのは日本くらいのものだろう。「アメリカが、日本を中国と対決させようとしている」どころか、実態はむしろ逆だ。第二次大戦後、アメリカの占領軍は、日本に常駐して防衛体制を敷いただけでなく、日本人になるべく東アジアの現実を直視させないで国内問題に専念させるように仕向けた。かつて日本がアジアを舞台にアメリカと覇権を争い、大戦争を起こしたことへの警戒があっただけに、なるべく日本人の意識をアジアから遠ざけようとしたのだ。そのときに刷り込まれた意識は、60年たった今も日本人に根づいている。
 
アメリカ海軍は、独自に日本周辺の防衛を強化し、東シナ海での演習を行っている。「日本を中国と対決させようとしている」どころか、まったくの頭越しだ。彼らは、日本をアテにしていない。イザというとき、頼りになるのは自分たちだけだということを自覚している。

今回、アメリカ軍が有事即応体制に入ったのは、「地震で日本が混乱したのに乗じて、中国海軍が尖閣周辺でなんらかの行動を起こすのではないか」と懸念したのが理由だという。
 
といっても、アメリカ海軍の首脳たちは、「北京の中国政府が、中国海軍を出動させて尖閣の占領を命じるかもしれない」と考えたわけではない。アメリカ側が恐れていたのは、ひとえに「前線の中国軍兵士が、勝手に暴走して暴れだすのではないか」ということに尽きる。

「軍隊が勝手に暴走する」というのは、これまた、現代中国の歴史をよく知っている人にとっては、絵空事でもなんでもない。実際に、広大な中国大陸とアジアの海洋に広がった膨大な軍隊を、北京がコントロールするのは極めて難しいのである。中央のコントロールがきかず、前線の兵士が勝手な暴走を始めるということは、日本の自衛隊ではまず考えられないことだが、あの国なら十分に有り得ると想定しておかなきゃいけない。日本だって、過去には大陸にいた帝国陸軍が暴走して、東京からのコントロールが効かなくなった苦い経験があるのだ。

「まさか、震災という他人の不幸につけこむ奴はいないだろう」というのは、日本人的な善意の発想と言える。洋の東西を問わず、厳しい生存競争にさらされてきた大陸国家では、そういう甘い見方をしていない。日高義樹氏が取材したアメリカ政府やアメリカ海軍の幹部たちは、日本政府が被災地に陸上自衛隊を残らず送り込んで防衛体制を空白状態にしたことを強く懸念し、「これを好機として、前線にいる中国海軍が日本近海で過激な行動に出るのを抑止しなければならない」と口々に語っていたという。それが正しいかどうかは別にして、アメリカでは事態をそのように見ていた。好むと好まざるとにかかわらず、それが地球の国際情勢の現実だ。

ここで筆者が言いたいことは、「日本は、中国の脅威に備えるべきだ」ということではない。良い悪いは別にして、国防に関しては、当分アメリカに依存するしかない。今はとりあえずアメリカの力を借りて中国の脅威を凌ぎきることに専念し、彼らが脅威でなくなる日まで待つしかないだろう。「アメリカからの真の自立」うんぬんは、それから考えても遅くない。
  
ここで言いたいのは、「他のことならともかく、政治経済のテーマに関しては、現実を現実として、あるがままに認識するべきだ」ということ。
 
これが精神世界のことなら、基本的にナンデモアリでいい。「影の政府の陰謀により、植草和秀が痴漢の容疑で逮捕されるであろう」と旧約聖書に暗号で書かれていようが、地球の内部が空洞になっていて中から地底人がゾロゾロ出てこようが、本人たちが信じるのは勝手であり、誰にも迷惑はかからない。でも、奇妙な政治的デマを、精神世界談義の延長であるかのように語られるのだけは、カンベンしてもらいたいものだ。
 
地球の現実というのは、精神世界の理想とは、およそカケ離れた世界だ。過去何千年も繰り返されてきた人類の対立や闘争が、いまや史上最大のスケールで世界に広がっている。でも、それがいつまでも続くわけではない。現に、20世紀の前半にはあれだけ大暴れした日本とドイツも、20世紀の後半に全世界を二分する大冷戦を引き起こしたロシアも、今ではすっかり大人しくなった。そんな今、中国こそが地球で最後に残った大帝国。その中国が、史上空前のスピードで軍備を急拡張し、アメリカの覇権に挑んでいる。おそらく、これが人類にとって最後の大闘争となろう。
 
われわれが望んだことではないとはいえ、東アジアは、中東と並ぶ地球規模の対立の最前線だ。こんなときこそ、少なくとも政治や経済に関しては、あるがままに現状認識することが、くれぐれも重要だと言える。
   

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4 コメント

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Unknown (ポン太)
2011-06-01 23:03:46
 中国は、いずれは現体制を終わらせなければならない時期が来るでしょうが、少なくとも今しばらくはこの厄介な大国相手に上手に立ち回らなければなりません。そして、それは今の菅政権ではとても期待できることではありません。

 結局あの国の本質は100年前からあまり変わってはいないのですよ。それこそ辛亥革命のころから少ししか変わっていない。そんなのが強大な軍事力を誇り、経済成長や発言力が増えているから困る。

 ただ、一方であの国の崩壊は時間の問題とみていいでしょう。中国の政府高官ですら、本音では今のままの体制がこれから100年先まで維持できるとは考えていない。彼らは少なくとも現状を把握するだけの力はあるからです。その上でやっているのだから、したたかと言えばそうでしょう。

 まあ、それ以上にわかりやすいのが北朝鮮なのですが……。
Unknown (たなか)
2011-06-07 14:55:06
いつも確かな情報ありがとうございます。
Unknown (紅葉)
2011-06-07 23:16:37
コンサル星人様
<奇妙な政治的デマを、精神世界談義の延長であるかのように語られるのだけは、カンベンしてもらいたいものだ。>
全くの同感です。
私はこの輩どもを普段から苦々しく思っておりました。
まさか、引っ掛かる人はそういないと思いますが、本屋で見かけると不快になります。
<この、嘘つきの恥知らず共が!>
って昔は怒ってましたが、今は彼らが大好きな中国共産党、北朝鮮、民主社会主義売国破壊党と共に消えていくんだろうなって思っています。
今、最後の悪あがきをしていて、私達はそれを見せられいるとは思いますが、早く消えてくれっ、てのが本音です。
Unknown (コンサル星人)
2011-06-09 13:26:08
皆 さん、ありがとうございます。

あのグループを見るたびに、「精神世界の話と、政治の話は区別して語ってほしい」と思います(笑)
 

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