引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

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初めての料理は、目玉焼き。

2009年04月24日 | ときどき日記

身内の者のことを、ほめるのは抵抗がありますが、

父方の祖母は、漬物はもちろん、味噌は、こうじから作る人。

なんでも手で作り、よく手をつかって働く、

手まめな人でした。

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92歳で脳溢血で倒れ危篤に陥り入院したとき、

亡くなるまでの1週間、病院に詰めていました。

最愛の祖母と別れる日が現実になる、という悲しさ。

動転して、なにをしていいのか、わからず、

とりあえず見納め、と、祖母の顔を見ているうち、

よく似ていると言われていたわたしたちの、

顔と身体の相似個所に気がつきました。

あらためて探すと、

似てる、似てる・・・・。

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手も、形はそっくりでした。

でも、

厚みや存在感があり、

手を合わせてみたとき、

身長の高いわたしの方が断然、

負けていました。

まだ温もりのある手をつないだとき、

教えてもらったことが、次々とよみがえりました。

祖母の手から、わたしは多くのことを学んでいました。

たとえば、

料理でいえば、

初めての料理、目玉焼きも、そう。

「10歳なら、目玉焼きくらい上手に焼けんとね」と。

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卵拾いからはじまります。

猫たちも、犬たちも、鶏もチャボも、自由に闊歩している庭。

祖母が歩けば犬も猫もあとを追い、

くるくる走りまわる犬たち、

すりすりしながら歩く猫たち。

祖母とわたしは、

鶏小屋や草むらの中から卵をみつけて拾います。

まるで江戸時代のような、

座り流しの付いた板の間に、

七輪を置き、

周りには、フライパン、ふた、フライ返し、箸、小鉢、

新聞紙、マッチ、お皿を用意。

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まずは、お手本をみせてくれます。

七輪の空気孔の開け閉めの仕方。

卵の割り方。

割った卵を小鉢に入れておきます。

火種は新聞紙。新聞紙1面を両手でやわらかくもみ、

まるめて火をつけます。

フライパンに油をなじませ、卵を入れます。

すぐふたをして、蒸し焼き状態に。

音が小さくなったら、また新聞紙を丸めて、火をつけ、

初めの強火のときは、フライパンを持上げ、火が弱くなったら

もとに戻す。

そのころちょうど、黄味が半熟に焼けていました。

手をああして、こう持って、と、手を添えて教えてくれました。

1週間だったか、毎日、ほぼ同じ時刻に特訓。

このとき、子供ながらに理解したのが、

卵料理は、火との勝負。

火加減をみて手をまめに動かす、ということでした。

どんなときも、急きたてず、

叱らないで、ゆっくり教える祖母。

反発心もなく素直に、おぼえることができました。

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たったひとつの料理でも、

大人と同じように、火をつかって、

食べるものが自分でできることは、

生きる自信、原動力になります。

事実、祖母に教えてもらった小学校4年のとき、

そう思いましたから。

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このあと、母方の祖母からは、炒りたまごを

教わりました。

いつかまた、記事にします。

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