引頭佐知(いんどうさち)の料理ブログ

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庄内地方の地産地消・えっペ椀

2008年07月21日 | 旅はいつでもワンダー・ランド

庄内、湯田川温泉での宿泊先、ホテル「湯どの庵」の朝食です。

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さて、朝食後は、真室川うるしセンターに向かいます。

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真室川の漆器と庄内地方の郷土料理のコラボレーションを拝見するため。

漆器に料理を盛る、というものです。

漆器は、漆芸作家・田代淳さん(前夜、アルケッチャーノにご一緒しました)。

料理は、農家の主婦小野静さんと井上順子さんのお2人が担当。

今回は、米粉で作ったパンも登場予定とのこと。

そう、そう、昨夜、アルケッチャーノで話題となった料理、

鯵のだし和えの「だし」も。

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田代さんのお話では、

この「漆器と郷土料理」コラボのきっかけとなったのは、

4年前、地元で催された「ふるさと食品フェア」で、

民俗研究家・結城登美雄さんが提案なさったのだそう。

「うるしと料理、地元にあるものを組み合わせなさい。

この地にせっかくあるんだから。

組み合わせることで、どちらも活きるでしょう」、と。

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田代さんたちは、そのアドバイスを、ゆっくりとあたためてきたそうです。

そこで、初めてのコラボの試みとして、

料理は郷土料理の具だくさんの「えっペ汁」を選び、

漆器で「えっペ椀」を創作することに。

このとき、田代さんは、地元の芸術大学・山形芸術工科大学の学生に声をかけ、

うるしのワーク・ショップを重ねて技術指導をし、えっぺ椀のデザイン・コンテストを開催された由。

すばらしい!

若い学生にとって、単に漆器の技術を会得するだけではなく、真の地元学の学びになったのではないでしょうか。。

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さて、うるしセンターに到着。

まず、いただいたのは、前夜、アルケッチャーノでリクエストした、「だし」です。

というのは、アルケッチャーノの料理で、???だったのが、「鯵のだし和え」。

だしを使ってないのに、「だし」という料理名がついてるなんて不思議。

「鯵のだし和え」をいただきながら、みんなで、田代さんに質問攻め。

「どうして、だしっていうの?]

「だしって何のだしなの」、

「見てみたい」

「食べたーい」と。

田代さんは、

「では、明日、地元の方に作っていただきますね」、

ということで実現しました。

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だしとは、

野菜を細かく刻み、水にさらしてアクをぬき、塩水に漬け、水気を切り、

隠し味程度のしょうゆ少々(しょうゆ色がつかない程度)で調味したものです。

昨夜のアルケッチャーノの料理「鯵のだし」にも、だしは登場。

ごはんにのせたり、魚介と和えたり、いろんな使い方をするようです。

この日はもちろん夏野菜でしたが、

春は山菜、秋はきのこ、季節によって、新鮮な素材で作る、いろんなだしがあるとのこと。

都会に暮す者にとって、それは、やっぱりぜいたくと言えるでしょう。

東北でいただく朝採りの山菜、まったく別物の味ですものね。

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次は、えっぺ椀。

このコラボのテーマです。

おいしそうでしょ。

画面に箸をつっ込んじゃいけませんよ。

こういうおかず汁は、器で全くちがう印象になります。

おかず汁も晴れ着を着れば、こんなに華やかになります。

日本料理は、

料理五分、器五分といい、視覚を大切にします。

機能面でみれば、口をつける部分、そり口も大切な部分。

いかがですか?飲みやすそうでしょう?

センスのよい、田代さんの作る真室川の漆器、これからよろしくお願いします。

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えっぺ椀の意味?

えっぺ(いっぱい)具がはいってるからでしょう。たぶん。

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奥の中央の女性が漆芸家の田代淳さん。右が小野静さん。

右手前が朝田さん。

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米粉のパンです。

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大根の味噌漬けとチーズ入り。

これ、チーズの味は想像できますが、

「大根の味噌漬けとパンとのミックスっていかがなものか」

と、食べてみたら、

おいしいんです。

味噌と大根がよくなれてて、主張してないせいか、

味噌がもともとそういう味なのか、パンとよく合ってました。

「これでワイン飲みたいね」ささやく声あり。

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おみやげにもいただいたこの米粉パン。

帰京し、翌朝こんがりトーストしていただいたら、香ばしいこと。

やっぱりお米ですね。

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たまねぎのピクルスと、米の蜜

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トマトのシロップ漬け。

大人気でした。

黒いお椀だから、涼感を感じますね。

赤が多い料理って、視覚的に落ち着かなくなるのですが、

黒い器に盛ると、お行儀よくまとめてくれるんですね。

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黒豆のきな粉まぶし。

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栗の渋皮煮。

ほんとうにきれいに、おいしくできてました。

これは、作ったことのある人にしかわからない、

繊細で手間と時間のかかるお菓子です。

渋皮煮の茶系と黒い漆器の組み合わせ、シックですよね?

おしゃれ。

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お料理を作ってくださったお2人を囲んでお話をうかがっているところ。

赤いエプロンの方が井上順子さん、右の方が小野静さん。

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こ、これは?

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南蛮味噌です。

写真に撮り損ねましたが、テーブルには、

さっき畑からもいできたという、きゅうりがありました。

もちろん、キリキリ冷えたのが。

野育ちの、おばさんキリギリスは、きゅうりに目がありません。

丸のまま、ガリゴリいただいてたら、

「南蛮味噌つけますか」とすすめてくださいました。

そして、

そして、

実は、いま、うちにあるのです。

グフッ。

おねだりしたわけではありません。

生野菜はもちろん、ゆで鶏、蒸し茄子・・・・・に、ちびっと、ポテッと。

小野さん、ありがとうございました。

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写真は全部公開しているわけではありません。

あらためて通しで見てみると、

保存食が多い。

お話の中にも台所で生まれる宝物がいっぱい。

朝田さんは「寒くなったら、またきます!」と宣言してましたが、

みんなも、そのつもり。

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帰京してから、

田代さんのメール。

「また来るかな、お2人が言ってます」

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ほんとうにごちそうさまでした。

では、寒くなりましたら再見!

帰京してから、朝田さんへのお礼のメールがビュンビュン飛び交いました。

そんな旅でした。

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1 コメント

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山形欲張り紀行、楽しかったですね。 (あさだ)
2008-07-21 14:24:29
山形欲張り紀行、楽しかったですね。
詳細なレポートをありがとうございます。
真室川では器と料理の関係を再確認させてもらえました。普段着のお料理が漆器に盛られるだけで、こちらも衿を正していただこうという姿勢になります。いただきますの気持ちが伝わる、伝える器でお食事をすることって大切だし、気持ちのよいものですね~。

冬には今回、急浮上したこたつ内製造の藁苞納豆iの納豆汁いもがら入り!をいただきに、ぜひ、再企画したいと思いまーす。
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