きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2016年度予算案の焦点④ 雇用 ルール壊す政策を推進

2016-01-24 12:33:34 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2016年度予算案の焦点④ 雇用 ルール壊す政策を推進

厚生労働省の2016年度予算案・社会保障関係費のうち、雇用関連は前年度比25億円増の1704億円。同省の社会保障費のわずか0・6%です。大半は労働保険特別会計の雇用勘定への繰入金1524億円です。うち失業給付のために1462億円、求職者支援向けが62億円です。
16年度の事業では、安倍晋三政権が進める「GDP(国内総生産)600兆円」や「1億総活躍」に向けた予算案であることをうたいます。非正規雇用の急増や長時間労働に対する労働者・国民の批判を受けて、正社員転換や過労死防止を掲げる一方、雇用のルールを破壊しています。





朝、職場へ向かう労働者=東京都内

改悪派遣法で非正規増やす
「非正規雇用労働者の正社員転換・待遇改善」に452億円を計上しました。内容はハローワークによる正社員就職の促進やキャリアアップ助成金(事業主助成)の拡充です。
その一方、安倍政権は非正規雇用を増やす施策を進めています。昨年の国会では労働者派遣法の改悪を強行しました。企業が労働者をいつまでも派遣のまま使い続けられる仕組みです。予算案では「労働者派遣制度の見直しの着実な実施」に13億円を充てます。
安倍政権は「多様な正社員」と銘打って、地域や職種が限定され、待遇が悪い「限定正社員」を拡大しようとしています。正社員とは名ばかりの非正規雇用です。その導入促進に7500万円を計上しました。
過労死防止対策は74億円です。しかし、安倍政権は、残業代を払わずに長時間働かせることができるよう労働基準法の改悪を狙っています。
最低賃金や賃金の引き上げを支援する予算として中小企業向けに61億円を計上しました。きわめて少ない金額です。しかも、支援するのは企業の「生産性向上」です。最賃引き上げには中小企業に対する思い切った支援が欠かせません。
「生涯現役社会」をめざし、「シルバー人材センターの機能強化」に121億円を計上しました。現行法では、シルバー人材センターが扱う業務は臨時的、短期的、軽易なものに限られ、働ける時間、日数に制限があります。厚労省の労働政策審議会で、この規制を緩和・撤廃することが検討されています。

雇用助成金は13年度以降減
解雇を防ぐために事業主を支援する雇用調整助成金は15年度予算から110億円減額して83億円です。景気の悪化などで事業を縮小せざるをえなくなった際、従業員を解雇せず、休業や教育訓練、出向など一時的な調整によって雇用を維持した場合、事業主に助成金を支給する制度です。安倍政権は13年度以降、減額してきました。
代わって増やしてきたのが労働移動支援助成金です。リストラで労働者を転職させる場合に要する費用を事業主に助成します。16年度は前年度予算比217億円減の132億円。雇用調整助成金は15年度から労働移動支援金を下回っています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月22日付掲載


「一億総活躍社会」と言いながら、労働法制は非正規労働者を増やす方向。
労働条件が悪くなって、賃金が下がって、どうして活躍できるのか。
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2016年度予算案焦点③ エネルギー・宇宙 原発交付金で再稼働迫る

2016-01-23 11:46:34 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2016年度予算案焦点③ エネルギー・宇宙 原発交付金で再稼働迫る

エネルギー対策特別会計は2015年度比419億円増の8384億円です。増額の多くは、地球温暖化対策税の段階的な引き上げに伴うものです。しかし、再生可能エネルギー予算は、15年度比138億円増の1366億円にとどまっています。

中間貯蔵施設負担肩代わり
原発再稼働に向け、「原子炉の安全技術の強化等」に91・5億円を計上。東京電力の負担を肩代わりする福島第1原発事故の放射性汚染物質の中間貯蔵施設整備に350億円を計上しました。
原発立地自治体に国が交付する電源立地地域対策交付金は、15年度比43億円減の869億円です。福島事故後、稼働していない原発に適用してきた一律81%の“みなし稼働率”引き下げによるもの。16年度以降は、68%を上限に、原子炉ごとに福島事故前10年間の平均稼働率を適用します。再稼働した原子炉は実際の稼働率を当てはめます。交付金減額で自治体を再稼働に駆り立てるものです。
国から市町村へ直接交付される分については、急激な引き下げによる影響を緩和するための措置や下限が設けられました。道県分については激変緩和措置も下限もありません。減額の影響は、新潟県が最も大きく、知事が再稼働に慎重な姿勢をとっている同県を狙い撃ちにしたものとの指摘もあります。





茨城県行方市にある情報収集衛星の地上施設、内閣衛星情報センター北浦副センター

宇宙軍拡推進4年連続増額
宇宙軍拡を明確にした「宇宙基本計画」に基づき、情報収集衛星(軍事スパイ衛星)に619億円(15年度比5億円増)、準天頂衛星に142億円(同1億円減)を計上しました。情報収集衛星の予算は、第2次安倍晋三政権発足後、4年連続の増額です。
「基本計画」は、情報収集衛星について現在の基幹衛星4機体制から、時間軸多様化衛星4機、データ中継衛星2機を加えた合計10機の整備目標を掲げています。
データ中継衛星は、他の衛星が日本の遠隔地で撮影した画像データを中継することで撮影から受信までの時間を短縮するもの。安倍政権が目指す自衛隊の地球規模での活動を補完することが狙いです。開発予算として46億円(同32億円増)を計上しました。
準天頂衛星システムは、ミサイルの誘導や艦船のナビゲーションに使われる米国の全地球測位システム(GPS)を補完し、米国の宇宙軍事戦略を補強するもの。現在の1機体制を18年までに4機体制に、23年までに7機体制にする計画です。情報収集衛星、準天頂衛星とも三菱電機が開発を担っています。
米国と連携して他国の衛星や宇宙ごみを監視する「宇宙状況把握」システムに10億円(同8億円増)を計上しました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月21日付掲載


GPSが充実されると聞くと、カーナビなどを使う人にとっては良い様に聞こえますが、実際は軍事目的。
宇宙開発は平和利用に徹してほしいですよね。
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2016年度予算案焦点② 農林水産 「TPP対策」を掲げて

2016-01-23 11:29:37 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2016年度予算案焦点② 農林水産 「TPP対策」を掲げて

2016年度予算案の農林水産関係は、15年度当初予算比1億円増の2兆3091億円です。公共事業費が同169億円増の6761億円、非公共事業費が同169億円減の1兆6330億円です。15年10月5日に「大筋合意」した環太平洋連携協定(TPP)を既成の事実として、輸出促進や経営力向上など「攻めの農林水産業」を展開するとしています。

農地の集積や転作推進重視
農業農村整備(土地改良)事業に15年当初比210億円増の2962億円を計上。関連事業として、農地の集積を推進する農地耕作条件改善事業に同23億円増の123億円、農山漁村地域整備交付金1067億円のうちの735億円(15年度と同額)を充てました。
主食用米から転作する飼料用米、麦、大豆などに支払う水田活用の直接支払交付金に15年度比308億円増の3078億円を計上しました。15年度は、転作の増加で交付金が不足しました。15年度の不足に補正予算で対処するとともに、16年度には、主食用米の生産目標を15年度からさらに削減することから、交付金支払い増が見込まれるため、当初予算を増額しました。
15年11月25日に閣議決定した「総合的なTPP関連政策大綱」で大々的に打ち出した農産物輸出促進を支援するとして、輸出戦略の実行体制の強化に15年度比2億円増の13億円、輸出総合サポートプロジェクトに同1億円増の15億円を計上しました。





TPP「大筋合意」に抗議する「STOP TPP!!官邸前アクション」参加者=2015年10月6日、首相官邸前

参院選を前に批判そらし策
しかし、「TPP対策」のほとんどは、15年度補正予算に盛り込まれました。農林水産関係の補正予算総額4008億円のうち、3122億円を占めます。
「TPP関連政策大綱」が農林水産物・食品の輸出額1兆円目標の20年前倒し達成をうたったのを受け、輸出促進緊急対策に33億円、農畜産物輸出拡大施設整備事業に43億円、水産物輸出拡大緊急対策事業に55億円の合計131億円を計上しました。
また、産地パワーアップ事業(基金化)に505億円、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業(畜産クラスター事業)に610億円を充てるなどしました。
同時に、農地のさらなる大区画化・汎用化の推進に370億円を計上しました。農地中間管理機構を通じた農地の集積を後押しする従来の施策です。
「TPP対策」といっても、多くは従来の事業に「TPP」の名目を付けたにすぎず、夏の参議院選挙を前にTPPに対する国民の批判をそらす対策です。農林水産関係に関して、「TPP関連政策大綱」は「16年秋を目途に政策の臭体的内容を詰める」としています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月20日付掲載


農業政策では、相変わらず集積化とか転作奨励とか…。それにTPP批判かわしの予算。
生産者の所得補償や生産基盤、流通ルートの確保こそ必要。
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2016年度予算案焦点① 税・財政 法人実効税率を20%台に

2016-01-22 20:48:17 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2016年度予算案焦点① 税・財政 法人実効税率を20%台に

安倍晋三内閣が昨年12月24日に閣議決定した2016年度予算案の特徴を主な分野で見ていきます。

16年度予算案は国の基本的な予算規模を示す一般会計総額が96兆7218億円と15年度当初予算比0・4%増で、当初予算としては過去最大になりました。
非正規雇用が増大し、実質賃金が低下するもと、国民生活を支える予算が求められています。しかし、国民の負担を増やす一方、もうかっている大企業を優遇し、軍拡を推進する姿勢が鮮明です。


2016年度政府予算案の特徴
社会保障●例年1兆円近い社会保障費の自然増を4997億円に半減
●物価上昇でも年金額据え置き
●入院給食費を値上げ
●診療報酬を1.03%引き下げ
教育・暮らし●教職員を3475人減
●中小企業対策費は12年度以来の減額
大企業●法人実効税率を30%台から20%台に引きさげ
軍事費●4年連続増。当初予算で初の5兆円突破


国民は負担増徴税の強化も
歳入では、国と地方を合わせた法人実効税率を現行の32・11%から29・97%へ引き下げます。さらに18年度には29・74%まで引き下げることを決めました。政府は法人実効税率引き下げの財源として、外形標準課税の増税などを充てるとしています。外形標準課税は、所得が赤字の企業にも課せられるため、赤字企業の負担で黒字企業を減税することになります。
国民に対しては、17年4月に消費税を10%へ引き上げることが前提です。消費税率の引き上げと同時に導入する「軽減税率」は、食品など一部の品目を現行の8%に据え置くだけで、国民にとっては4・5兆円もの負担増です。「税制改正大綱」には「軽減税率」の財源の一つに「消費税制度を含む税制の構造改革」を挙げており、医療費など非課税品目の見直しなど徴税強化の恐れがあります。



じっくりと品定めする買い物客=東京都内

年金据え置き医療崩壊深刻
歳出では、社会保障費を抑制します。社会保障費の自然増は4997億円増に抑制されました。物価上昇にもかかわらず年金額を据え置く一方、入院食費の引き上げや75歳以上の後期高齢者医療制度の保険料を値上げするなど、負担増が相次ぎます。医療機関の収入となる診療報酬は実質1・03%の引き下げです。政府は社会保障の自然増を毎年5000億円規模で抑制するとしており、社会保障の制度改悪と医療崩壊はさらに深刻になります。
軍事費が当初予算として初めて5兆円を突破しました。F35ステルス戦闘機、オスプレイ、新型空中給油機、滞空型無人機など米国製の高額兵器が多数盛り込まれています。米軍への「思いやり予算」は15年度21億円増の1920億円となりました。宇宙分野でもスパイ衛星である情報収集衛星に15年度比5億円増の619億円を計上するなど軍拡を進めています。
軍事費が突出する一方、教育、中小企業、地方財政など暮らし関係の予算は前年度比でマイナスになりました。
16年度予算案は、国民に負担増を押し付ける一方、大企業には減税をばらまき、軍事費を増額して戦争への道を進めるという極めて反国民的な予算です。
(つづく)(9回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月19日付掲載


国民へは負担増。
社会保障は、悪名高き小泉政権の時よりも自然増の削減。
その中で、軍事費は増え続ける。
逆立ちした財政は改めないと…
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立憲主義考⑧ 「憲法守る」市民の力 民主主義と結んで力を発揮

2016-01-21 13:24:26 | 平和・憲法・歴史問題について
立憲主義考⑧ 「憲法守る」市民の力 民主主義と結んで力を発揮

「民主主義ってナンダ」「これだ!」
戦争法に反対する運動で、「立憲主義」と双子のようにたたかいを引っ張ったスローガンは「民主主義」です。
「勝手に決めるな!」「言うこと聞かせる番だ、俺たちが!」。SEALDs=シールズ(自由と民主主義のための学生緊急行動)をはじめとする市民のコールは、戦争法を「本当に止める」「憲法を守る」という決意とともに、その力は自分たちにあるという民主主義への確信にあふれています。
民主主義は単なる「制度」ではなく、一人ひとりが主権者として自覚し声をあげることです。



「民主主義ってナンダ」と叫ぶ人たち=昨年8月30日、国会正門前

■空前の運動
権力の暴走から個人の自由を守る知恵としての立憲主義も、市民のたたかい、民主主義の発展が支えるー。空前の国民運動はそれを体現しました。
自民党改憲案が削除を企てる憲法97条は、「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」「過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託された」と規定しています(連載第1回、9日付)。憲法12条は、基本的人権について「国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」としています。
権力者が憲法と人権を踏みにじるとき、国民の抵抗権とその責務を定めています。「権利のための闘争」が自由の土台です。
絶対王権を倒して成立した近代憲法と立憲主義の基本は、個人の尊厳・人権尊重と権力分立、国民主権とされます。立憲主義の中に、民主主義(国民主権)が組み込まれています。「個人の尊厳」を重視すれば、政治のあり方を決める最終的な権威と力は国民、個人にあり、それが権力を監視、コントロールするのです。選挙制度などシステム改革を含め民主主義を実質化することが、人権と立憲主義の保障です。立憲主義と民主主義は不可分です。

■歩を進めて
他方、立憲主義は、民主主義との緊張関係をはらみます。議会の多数派も、国民の多数派も否定できない権利やルールを定めたのが立憲主義です(連載第2回、10日付)。ナチスドイツや戦前の日本などで、権力者が国民の思想統制や扇動に「成功」し、「国民の喝采」(カール・シュミット)のもとに自由と平和が圧殺された経験を踏まえ、「大衆民主主義」への警戒感があります。
いまは、権力者の暴走に市民が怒りをもって立ち上がり、憲法を守るため、民主と立憲が結んで力を発揮する歴史的局面です。
戦争法廃止を求める2000万署名、宣伝・集会・デモ、学習会、街角スタンディング、「アベ政治を許さない」のカードを身につける行動など、市民の怒りは全国津々浦々でつながり続けています。多数党に有利な選挙制度の性質も理解して、市民は大義に基づく野党共闘を求め、安倍政権を倒す新しい「市民革命」の歩を進めています。
(おわり)(この連載は中祖寅一が担当しました)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月17日付掲載


かつてのドイツは、ナチスが国民を扇動する中で選挙で正当に選ばれた。その結果、独裁政治が始まった。
今回の戦争法反対の運動は、シールズや立憲デモクラシーの会、ママの会などが扇動しているんじゃなく、一人ひとりの国民が自分の頭で考えて立ち上がっている。
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