2016年度予算案の焦点⑤ 公共事業 高速道路や港湾を優先
2016年度予算案の公共事業関係費は、15年度当初予算比26億円増の5兆9737億円です。4年連続の増加。12年に自民・公明政権が復活して以降、増える傾向にあります。
近年の局地豪雨災害などを踏まえた、「防災・減災」や社会資本の「老朽化」対策の強化をうたう一方で、成長著しいアジア諸国との都市間競争に打ち勝つためとして、新規の大型開発事業や環状道路、空港・港湾機能の強化などを重点化し、増額しています。
大部分が地下トンネル工事となる東京外かく環状道路(練馬―世田谷間)を含む三大都市圏環状道路や空港・港湾などへのアクセス道路を重点整備するとして、15年度比6・0%増の3170億円を計上。建設を急ピッチで進めています。国際コンテナ戦略港湾(京浜港・阪神港)の機能強化に8・8%増の747億円を充てました。
経済効果疑問採算ぎりぎり
整備新幹線は新規着工3区間、北海道新幹線(新函館―札幌間)、北陸新幹線(金沢―敦賀間)、九州新幹線(諫早―長崎間)の前倒し開業を掲げ、15年度と同額の755億円を計上しました。前倒し区間は民主党政権時代に採算が疑問視され、いったん凍結された路線であり、経済効果は国土交通省の試算でも採算ラインぎりぎりです。
都市再生関連では、大都市の「国際競争力」向上をはかる大型開発、再開発事業への支援が目立ちます。民間による都市開発を推進するとして143億円(13%増)を付けました。
東京外かく環状道路(外環道)の工事現場=東京都世田谷区
地域間の格差衰退を加速も
「地域活性化」のための「コンパクトシティ」の推進を掲げ、136億円を計上。「選択と集中」という政策原理のもとで、地方都市圏で住宅、医療・介護、商業施設などを中心部に集約するものですが、地域間格差と衰退を加速させる危険があります。
防災関連では水害・土砂災害などの対策推進に4434億円(3%増)をつけましたが、そのうち、1757億円はダム建設の費用(直轄・補助合計)で、9%も増額しています。
国土交通省は「インフラ老朽化対策等のための戦略的な維持管理・更新の推進」として、4・0%増の4100億円を計上しています。インフラ長寿化計画(行動計画)に基づき、将来にわたって必要なインフラの機能を発揮し続けるための取り組みを推進するとしています。しかし新規事業に比べてインフラの維持・更新などの進ちょく状況は遅れています。
公共事業政策でいま最優先しなければならないのは、国民の命と安全、暮らしを守るために不可欠である耐震化対策や老朽化対策など既存の社会資本の維持管理・更新です。重点化する新規の高速道路や大規模再開発、巨大港湾整備の優先度は高くありません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月23日付掲載
「コンパクトシティ」と言うと聞こえがいいが、過疎地域には住まないで中心地に出てきなさいって事。
でも、今は過疎地域になっているところに住んで、住宅や道路・河川などの管理をすることは、防災の観点からも大事なこと。
単なる人の住まいやコミュニティの問題だけではない。
2016年度予算案の公共事業関係費は、15年度当初予算比26億円増の5兆9737億円です。4年連続の増加。12年に自民・公明政権が復活して以降、増える傾向にあります。
近年の局地豪雨災害などを踏まえた、「防災・減災」や社会資本の「老朽化」対策の強化をうたう一方で、成長著しいアジア諸国との都市間競争に打ち勝つためとして、新規の大型開発事業や環状道路、空港・港湾機能の強化などを重点化し、増額しています。
大部分が地下トンネル工事となる東京外かく環状道路(練馬―世田谷間)を含む三大都市圏環状道路や空港・港湾などへのアクセス道路を重点整備するとして、15年度比6・0%増の3170億円を計上。建設を急ピッチで進めています。国際コンテナ戦略港湾(京浜港・阪神港)の機能強化に8・8%増の747億円を充てました。
経済効果疑問採算ぎりぎり
整備新幹線は新規着工3区間、北海道新幹線(新函館―札幌間)、北陸新幹線(金沢―敦賀間)、九州新幹線(諫早―長崎間)の前倒し開業を掲げ、15年度と同額の755億円を計上しました。前倒し区間は民主党政権時代に採算が疑問視され、いったん凍結された路線であり、経済効果は国土交通省の試算でも採算ラインぎりぎりです。
都市再生関連では、大都市の「国際競争力」向上をはかる大型開発、再開発事業への支援が目立ちます。民間による都市開発を推進するとして143億円(13%増)を付けました。
東京外かく環状道路(外環道)の工事現場=東京都世田谷区
地域間の格差衰退を加速も
「地域活性化」のための「コンパクトシティ」の推進を掲げ、136億円を計上。「選択と集中」という政策原理のもとで、地方都市圏で住宅、医療・介護、商業施設などを中心部に集約するものですが、地域間格差と衰退を加速させる危険があります。
防災関連では水害・土砂災害などの対策推進に4434億円(3%増)をつけましたが、そのうち、1757億円はダム建設の費用(直轄・補助合計)で、9%も増額しています。
国土交通省は「インフラ老朽化対策等のための戦略的な維持管理・更新の推進」として、4・0%増の4100億円を計上しています。インフラ長寿化計画(行動計画)に基づき、将来にわたって必要なインフラの機能を発揮し続けるための取り組みを推進するとしています。しかし新規事業に比べてインフラの維持・更新などの進ちょく状況は遅れています。
公共事業政策でいま最優先しなければならないのは、国民の命と安全、暮らしを守るために不可欠である耐震化対策や老朽化対策など既存の社会資本の維持管理・更新です。重点化する新規の高速道路や大規模再開発、巨大港湾整備の優先度は高くありません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月23日付掲載
「コンパクトシティ」と言うと聞こえがいいが、過疎地域には住まないで中心地に出てきなさいって事。
でも、今は過疎地域になっているところに住んで、住宅や道路・河川などの管理をすることは、防災の観点からも大事なこと。
単なる人の住まいやコミュニティの問題だけではない。