2016年度予算案焦点② 農林水産 「TPP対策」を掲げて
2016年度予算案の農林水産関係は、15年度当初予算比1億円増の2兆3091億円です。公共事業費が同169億円増の6761億円、非公共事業費が同169億円減の1兆6330億円です。15年10月5日に「大筋合意」した環太平洋連携協定(TPP)を既成の事実として、輸出促進や経営力向上など「攻めの農林水産業」を展開するとしています。
農地の集積や転作推進重視
農業農村整備(土地改良)事業に15年当初比210億円増の2962億円を計上。関連事業として、農地の集積を推進する農地耕作条件改善事業に同23億円増の123億円、農山漁村地域整備交付金1067億円のうちの735億円(15年度と同額)を充てました。
主食用米から転作する飼料用米、麦、大豆などに支払う水田活用の直接支払交付金に15年度比308億円増の3078億円を計上しました。15年度は、転作の増加で交付金が不足しました。15年度の不足に補正予算で対処するとともに、16年度には、主食用米の生産目標を15年度からさらに削減することから、交付金支払い増が見込まれるため、当初予算を増額しました。
15年11月25日に閣議決定した「総合的なTPP関連政策大綱」で大々的に打ち出した農産物輸出促進を支援するとして、輸出戦略の実行体制の強化に15年度比2億円増の13億円、輸出総合サポートプロジェクトに同1億円増の15億円を計上しました。
TPP「大筋合意」に抗議する「STOP TPP!!官邸前アクション」参加者=2015年10月6日、首相官邸前
参院選を前に批判そらし策
しかし、「TPP対策」のほとんどは、15年度補正予算に盛り込まれました。農林水産関係の補正予算総額4008億円のうち、3122億円を占めます。
「TPP関連政策大綱」が農林水産物・食品の輸出額1兆円目標の20年前倒し達成をうたったのを受け、輸出促進緊急対策に33億円、農畜産物輸出拡大施設整備事業に43億円、水産物輸出拡大緊急対策事業に55億円の合計131億円を計上しました。
また、産地パワーアップ事業(基金化)に505億円、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業(畜産クラスター事業)に610億円を充てるなどしました。
同時に、農地のさらなる大区画化・汎用化の推進に370億円を計上しました。農地中間管理機構を通じた農地の集積を後押しする従来の施策です。
「TPP対策」といっても、多くは従来の事業に「TPP」の名目を付けたにすぎず、夏の参議院選挙を前にTPPに対する国民の批判をそらす対策です。農林水産関係に関して、「TPP関連政策大綱」は「16年秋を目途に政策の臭体的内容を詰める」としています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月20日付掲載
農業政策では、相変わらず集積化とか転作奨励とか…。それにTPP批判かわしの予算。
生産者の所得補償や生産基盤、流通ルートの確保こそ必要。
2016年度予算案の農林水産関係は、15年度当初予算比1億円増の2兆3091億円です。公共事業費が同169億円増の6761億円、非公共事業費が同169億円減の1兆6330億円です。15年10月5日に「大筋合意」した環太平洋連携協定(TPP)を既成の事実として、輸出促進や経営力向上など「攻めの農林水産業」を展開するとしています。
農地の集積や転作推進重視
農業農村整備(土地改良)事業に15年当初比210億円増の2962億円を計上。関連事業として、農地の集積を推進する農地耕作条件改善事業に同23億円増の123億円、農山漁村地域整備交付金1067億円のうちの735億円(15年度と同額)を充てました。
主食用米から転作する飼料用米、麦、大豆などに支払う水田活用の直接支払交付金に15年度比308億円増の3078億円を計上しました。15年度は、転作の増加で交付金が不足しました。15年度の不足に補正予算で対処するとともに、16年度には、主食用米の生産目標を15年度からさらに削減することから、交付金支払い増が見込まれるため、当初予算を増額しました。
15年11月25日に閣議決定した「総合的なTPP関連政策大綱」で大々的に打ち出した農産物輸出促進を支援するとして、輸出戦略の実行体制の強化に15年度比2億円増の13億円、輸出総合サポートプロジェクトに同1億円増の15億円を計上しました。
TPP「大筋合意」に抗議する「STOP TPP!!官邸前アクション」参加者=2015年10月6日、首相官邸前
参院選を前に批判そらし策
しかし、「TPP対策」のほとんどは、15年度補正予算に盛り込まれました。農林水産関係の補正予算総額4008億円のうち、3122億円を占めます。
「TPP関連政策大綱」が農林水産物・食品の輸出額1兆円目標の20年前倒し達成をうたったのを受け、輸出促進緊急対策に33億円、農畜産物輸出拡大施設整備事業に43億円、水産物輸出拡大緊急対策事業に55億円の合計131億円を計上しました。
また、産地パワーアップ事業(基金化)に505億円、畜産・酪農収益力強化整備等特別対策事業(畜産クラスター事業)に610億円を充てるなどしました。
同時に、農地のさらなる大区画化・汎用化の推進に370億円を計上しました。農地中間管理機構を通じた農地の集積を後押しする従来の施策です。
「TPP対策」といっても、多くは従来の事業に「TPP」の名目を付けたにすぎず、夏の参議院選挙を前にTPPに対する国民の批判をそらす対策です。農林水産関係に関して、「TPP関連政策大綱」は「16年秋を目途に政策の臭体的内容を詰める」としています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年1月20日付掲載
農業政策では、相変わらず集積化とか転作奨励とか…。それにTPP批判かわしの予算。
生産者の所得補償や生産基盤、流通ルートの確保こそ必要。
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