臨時国会48日 共産党と共闘の力⑧ 公正な解決に道筋示す 徴用工判決
韓国の大法院(最高裁)が10月30日、太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」として韓国人元徴用工4人への賠償を新日鉄住金に命じた判決について、安倍晋三首相は日韓請求権協定(1965年締結)を盾に「あり得ない」などと強く批判しました。
見解
これに対し、日本共産党の志位和夫委員長は11月1日、判決について見解を発表。日韓両国の政府と最高裁が請求権協定のもとでも「個人の請求権は消えていない」と一致して認めていると指摘し、日本政府と当該企業が「過去の植民地支配と侵略戦争への真摯(しんし)で痛切な反省を基礎にし、この問題の公正な解決方向を見出す努力を行う」よう求めました。
同14日の衆院外務委員会では、穀田恵二議員が、日韓請求権協定2条についての柳井俊二外務省条約局長(当時)の「個人の請求権を消滅させたものではない」とする答弁(1991年8月27日の参院予算委員会)を示し、「これは間違いないか」と追及。河野太郎外相は「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではない」と明言しました。
不当な植民地支配と一体の強制労働の問題を正面から取り上げた穀田氏の質問が、元徴用工の賠償請求には実体的な根拠があると日本政府に事実上認めさせ、判決は「請求権協定に明白に違反する」という主張の根拠を崩したのです。
韓国メディアは一斉に取り上げ、「個人請求権は消滅していないが解決済み?日本外相の誰弁(きべん)」(聯合ニュース)と報道しました。

問題解決の協力要請に訪れた、徴用工裁判の原告側のイム・ジエソン弁護士(左手前)、キム・セウン弁護土(その奥)らと懇談する志位和夫委員長(右)、笠井亮政策委員長(その奥)=11月12日、衆院第1議員会館
変化
河野氏はその後、自身のプログで穀田氏の質問をめぐって、「安倍政権の姿勢が根本から揺らいだ」と指摘した本紙(11月15日付)を名指しして「ミスリーディング(誤導的)だ」などと攻撃。しかし、本紙が、個人の権利が残っている以上「権利の救済の問題が残っている」と反論(同23日付)したことなどには沈黙しています。
当初、政府に同調して韓国を非難していた日本メディアも、「『補償問題は解決済み』という日本政府の姿勢以外に、進むべき道はあると訴える人もいる」(「朝日」同30日付)、「日韓首脳は率直に協議を」(「毎日」同日付社説)と主張を変えはじめています。
日本の過去の植民地支配の責任に真摯に向き合う日本共産党の姿勢と国会質問が、安倍政権の外交姿勢の根本を崩し、メディアの論調を変えさせたのです。(おわり)(この連載は国会取材団が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年12月21日付掲載
韓国の徴用工問題では、「個人の請求権が消滅していない」だけでなく、日本政府に植民地支配への道義的責任があることが大事です。
韓国の大法院(最高裁)が10月30日、太平洋戦争中に「徴用工として日本で強制的に働かされた」として韓国人元徴用工4人への賠償を新日鉄住金に命じた判決について、安倍晋三首相は日韓請求権協定(1965年締結)を盾に「あり得ない」などと強く批判しました。
見解
これに対し、日本共産党の志位和夫委員長は11月1日、判決について見解を発表。日韓両国の政府と最高裁が請求権協定のもとでも「個人の請求権は消えていない」と一致して認めていると指摘し、日本政府と当該企業が「過去の植民地支配と侵略戦争への真摯(しんし)で痛切な反省を基礎にし、この問題の公正な解決方向を見出す努力を行う」よう求めました。
同14日の衆院外務委員会では、穀田恵二議員が、日韓請求権協定2条についての柳井俊二外務省条約局長(当時)の「個人の請求権を消滅させたものではない」とする答弁(1991年8月27日の参院予算委員会)を示し、「これは間違いないか」と追及。河野太郎外相は「個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではない」と明言しました。
不当な植民地支配と一体の強制労働の問題を正面から取り上げた穀田氏の質問が、元徴用工の賠償請求には実体的な根拠があると日本政府に事実上認めさせ、判決は「請求権協定に明白に違反する」という主張の根拠を崩したのです。
韓国メディアは一斉に取り上げ、「個人請求権は消滅していないが解決済み?日本外相の誰弁(きべん)」(聯合ニュース)と報道しました。

問題解決の協力要請に訪れた、徴用工裁判の原告側のイム・ジエソン弁護士(左手前)、キム・セウン弁護土(その奥)らと懇談する志位和夫委員長(右)、笠井亮政策委員長(その奥)=11月12日、衆院第1議員会館
変化
河野氏はその後、自身のプログで穀田氏の質問をめぐって、「安倍政権の姿勢が根本から揺らいだ」と指摘した本紙(11月15日付)を名指しして「ミスリーディング(誤導的)だ」などと攻撃。しかし、本紙が、個人の権利が残っている以上「権利の救済の問題が残っている」と反論(同23日付)したことなどには沈黙しています。
当初、政府に同調して韓国を非難していた日本メディアも、「『補償問題は解決済み』という日本政府の姿勢以外に、進むべき道はあると訴える人もいる」(「朝日」同30日付)、「日韓首脳は率直に協議を」(「毎日」同日付社説)と主張を変えはじめています。
日本の過去の植民地支配の責任に真摯に向き合う日本共産党の姿勢と国会質問が、安倍政権の外交姿勢の根本を崩し、メディアの論調を変えさせたのです。(おわり)(この連載は国会取材団が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年12月21日付掲載
韓国の徴用工問題では、「個人の請求権が消滅していない」だけでなく、日本政府に植民地支配への道義的責任があることが大事です。