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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 アベノミクス⑧ 所得再配分機能も低下

2015-03-21 20:03:30 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 アベノミクス⑧ 所得再配分機能も低下

ひとり親世帯の貧困が政府の政策でどの程度減っているかというと、「日本は最低。よくやっているとはいえない状況です」。
国立社会保障・人口問題研究所の阿部彩社会保障応用分析研究部長は、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち18力国の比較を紹介して指摘しました。日本弁護士連合会が7日に開いた「母子家庭における子どもの貧困」シンポジウムでの発言です。
デンマークでは政府の政策で貧困率が79%も下がるのに、日本は2%減るにすぎないというのです(2005年OECD調査)。「児童扶養手当が少ないのが一番の問題」とも強調しました。
社会保障が貧弱なだけではありません。所得を再分配する税制の機能も弱まっています。政府も認めます。
「税による再分配効果の大きさを見ると、我が国はOECD加盟国の中で最も小さい」「所得税の最高税率の引き下げや税率のフラット化など、近年の税制改正の影響などによって、その再分配機能が低下した」(内閣府「経済財政白書09年度版」)

税制が格差拡大
不公平な優遇措置のために、所得が増えると所得税の負担率が下がる逆転現象まで起こっています。上場株式の配当や譲渡所得への税率が低いためです。所得が1億円を超えると負担率が急減する現状です。
法人税(国税)にも、大企業ばかりが恩恵に浴する減税制度(租税特別措置)の不公平があります。この結果、大企業の法人税の実質負担率は14%にとどまります(12年度)。法定税率(25・5%)や中小企業の実質負担率(25%)より大幅に低い状況です。(グラフ)
税制がかえって格差を広げ、大企業と富裕層に富が集中する構造になっているのです。



国際連携による公正な税制の再構築を掲げた「民間税制調査会」の第1回フォーラム=2月8日、東京都内



景気悪化に拍車
税制のもう一つの機能が「経済安定化機能」です。財務省職員が執筆する『日本の税制』はこの機能を次のように特徴付けます。
「税制は、好況期には税収が増加することを通じて総需要を抑制する方向に作用し、不況期には逆に税収が減少することを通じて総需要を刺激する方向に作用することで、自動的に景気変動を小さくし経済を安定化する」
所得に課税する所得税や法人税の負担は、好況期には自動的に重くなり、不況期には軽ぐなります。これにより、好況期に景気の過熱を抑え、不況期に消費の落ち込みを緩和するというわけです。
この機能に逆行するのが消費税です。景気に左右されず税収が「安定している」と政府は喜びますが、これは不況期に負担が軽減されず、景気悪化に拍車をかけるということです。好況期にも、所得を急増させてバブルを生み出す富裕層や大企業に対し、負担を増やす効果が働きません。
「所得税、法人税に対して消費税が大きくなるのは、所得再分配や景気の安定化機能の点で明らかにマイナスです」と大阪経済大学経済学部の梅原英治教授はいいます。
「大企業が高収益をあげて痛みのない今、法人税を減税するアベノミクスのやり方は、ばかげています。
財政健全化の好機をみすみす逃がして2017年にまた消費税を増税すれば、国民と経済の痛みを強めるだけです」
国内経済に負の影響を与えない方法は「所得税を財源調達の基本に置いて累進性を強化し、特に金融所得への課税を強めること」だとも指摘します。
「『海外に逃げる会社や個人が増える』といわれます。そういう側面は確かにありますが、国際的な協力のもとで逃げ道をふさぐ取り組みが強められてきています。いまは絶好の機会なのです」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月19日付掲載


所得の再分配は政治の役目のはず。それを怠っているのが日本政府。
好景気の時は税収が増えて支出がおさえられ景気を抑制する。不況の時には税収が減って支出が増えて景気を盛り返す。
政治は重要な役割を担っているはず。
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