変貌する経済 アベノミクス① 広がる貧困と非正規
発表されるたびに更新される実質賃金指数の連続マイナスは、この1月で19カ月になりました。「アベノミクス」が目指す物価の上昇が庶民の暮らしを苦しめています。
1年で30万人増
2013年に民間企業で働いた労働者のうち、年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)が1100万人を超え、1119万9000人に達しました。この年は、円安、株高で「アベノミクス」の経済効果がもっとも持ち上げられていた1年間でした。
しかし、実際には12年からの1年問で、ワーキングプアが30万人増えていたのです。
昨年9月25日放送のNHK「クローズアップ現代」は、「子どもの貧困」問題をとり上げました。
「一つのラーメンを半分にして食べている」
「空腹で夜眠れない」
番組は、経済的理由で、十分に食事ができない子どもたちが増えたことを告発しました。正月のお年玉を生活費にあて、米を買っている事例、1人当たりの1日の食費は329円、食事が1日1食だけで、栄養不足で体重が減少、友人たちと一緒に同じものが買えず孤立―。深刻な実態が次々と紹介されました。
貧困家庭の生活実態は、社会から隔絶され見えにくいのが実情です。しかし、子どもをめぐる悲劇を繰り返さないための取り組みをしている市民グループらの手によって、その実態が今、少しずつ社会に知られるようになってきました。
シングルマザーの支援をしている「大阪子どもの貧困アクショングループ」が母親たちの声をまとめた報告書は、母子家庭がおかれた深刻な現実をうつし出していました。
「『奥さん、この金で子どもに何食わしているの?』ってどこでもいわれましたからね。1日100円で6人ですよ。土日給食ないからね、どうする?って」「新聞とかに餓死で一家死亡とか出ちゃうのかな」
子ども5人を、事務や調理補助、コンパニオンの仕事をこなして育てています。しかし、母親の月収はわずか16万円から17万円にしかなりません。
昼間の仕事と夜の仕事を掛け持ちしている母親はいいます。
「1年、生き残れたらいい」
教師志望の息子も、高卒で就職するために進学をあきらめました。
「夜中に帰ってきて子どもの様子を見てまた出る。夜に目が覚めても誰もおらへんという状態で、子どもにそういう思いをさせている自分がイヤで」
ぎりぎりの日々が続きます。

要求をかかげてデモ行進する第85回中央メーデーの参加者=2014年5月1日、東京都渋谷区
36%が貯蓄ゼロ
国民生活基礎調査によると、母子家庭の平均所得は243万円(2013年) にすぎませんでした。しかも36・5%が貯蓄ゼロ。たとえ貯蓄があっても、200万円未満が全体の3割を占めています。生活苦は、あらゆる世帯を襲っていますが、とくに母子世帯は深刻です。全世帯の1・4倍の84・8%が「生活が苦しい」と回答しています。
シングルマザーの多くがさまざまな事情により、非正規労働を余儀なくされているのが実態です。今年1月の非正規労働者は、1989万人に上りました。1年前よりも33万人増えました。そのうち女性が1351万人。全体の57%を占めています。
ところが安倍政権は、貧困問題を解決するどころか、派遣法をいっそう改悪し、社会保障を切り捨て、貧困をいっそう拡大しようとしているのです。
(つづく)(金子豊弘、杉本恒如が担当。10回連載の予定です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月10日付掲載
貧困と言っても、明日の食事すらままならない、土日は給食が無いから大変。貯蓄ゼロ世帯がが36%も。たとえ貯蓄があったとしても200万未満とは切実ですね。
発表されるたびに更新される実質賃金指数の連続マイナスは、この1月で19カ月になりました。「アベノミクス」が目指す物価の上昇が庶民の暮らしを苦しめています。
1年で30万人増
2013年に民間企業で働いた労働者のうち、年収が200万円以下のワーキングプア(働く貧困層)が1100万人を超え、1119万9000人に達しました。この年は、円安、株高で「アベノミクス」の経済効果がもっとも持ち上げられていた1年間でした。
しかし、実際には12年からの1年問で、ワーキングプアが30万人増えていたのです。
昨年9月25日放送のNHK「クローズアップ現代」は、「子どもの貧困」問題をとり上げました。
「一つのラーメンを半分にして食べている」
「空腹で夜眠れない」
番組は、経済的理由で、十分に食事ができない子どもたちが増えたことを告発しました。正月のお年玉を生活費にあて、米を買っている事例、1人当たりの1日の食費は329円、食事が1日1食だけで、栄養不足で体重が減少、友人たちと一緒に同じものが買えず孤立―。深刻な実態が次々と紹介されました。
貧困家庭の生活実態は、社会から隔絶され見えにくいのが実情です。しかし、子どもをめぐる悲劇を繰り返さないための取り組みをしている市民グループらの手によって、その実態が今、少しずつ社会に知られるようになってきました。
シングルマザーの支援をしている「大阪子どもの貧困アクショングループ」が母親たちの声をまとめた報告書は、母子家庭がおかれた深刻な現実をうつし出していました。
「『奥さん、この金で子どもに何食わしているの?』ってどこでもいわれましたからね。1日100円で6人ですよ。土日給食ないからね、どうする?って」「新聞とかに餓死で一家死亡とか出ちゃうのかな」
子ども5人を、事務や調理補助、コンパニオンの仕事をこなして育てています。しかし、母親の月収はわずか16万円から17万円にしかなりません。
昼間の仕事と夜の仕事を掛け持ちしている母親はいいます。
「1年、生き残れたらいい」
教師志望の息子も、高卒で就職するために進学をあきらめました。
「夜中に帰ってきて子どもの様子を見てまた出る。夜に目が覚めても誰もおらへんという状態で、子どもにそういう思いをさせている自分がイヤで」
ぎりぎりの日々が続きます。

要求をかかげてデモ行進する第85回中央メーデーの参加者=2014年5月1日、東京都渋谷区
36%が貯蓄ゼロ
国民生活基礎調査によると、母子家庭の平均所得は243万円(2013年) にすぎませんでした。しかも36・5%が貯蓄ゼロ。たとえ貯蓄があっても、200万円未満が全体の3割を占めています。生活苦は、あらゆる世帯を襲っていますが、とくに母子世帯は深刻です。全世帯の1・4倍の84・8%が「生活が苦しい」と回答しています。
シングルマザーの多くがさまざまな事情により、非正規労働を余儀なくされているのが実態です。今年1月の非正規労働者は、1989万人に上りました。1年前よりも33万人増えました。そのうち女性が1351万人。全体の57%を占めています。
ところが安倍政権は、貧困問題を解決するどころか、派遣法をいっそう改悪し、社会保障を切り捨て、貧困をいっそう拡大しようとしているのです。
(つづく)(金子豊弘、杉本恒如が担当。10回連載の予定です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年3月10日付掲載
貧困と言っても、明日の食事すらままならない、土日は給食が無いから大変。貯蓄ゼロ世帯がが36%も。たとえ貯蓄があったとしても200万未満とは切実ですね。