15年度予算 概算要求の焦点 地方財政⑧ 市町村切り捨ての危険
地方の財源では、地方税収と地方交付税など使途が特定されない=般財源」の総額について、2014年度の水準を「実質的に確保する」とし、2・1%増の61兆6000億円程度を見込んでいます。このうち地方交付税は、地方税収増を見込んで、前年度当初予算比5%減の16兆450億円としています。
国は、14年度に引き続き「リーマン・ショック後の危機対応モードから平時モードへ切り替えを進めていく」方針で、15年度は一般会計からの別枠加算を前年度の6100億円から5000億円程度に縮小する考えです。
地方の人口減対策や「地方創生」などについては「特別枠」(新しい日本のための優先課題推進枠)が設けられており、各省が少子化や地域産業・雇用対策、防災、国際競争力強化などを掲げています。
内閣府は「地方創生・人口減少克服」推進の新たな交付金の創設を掲げています。前担当相は初年度2000億円、5年間で1兆円程度としていました。
これと関連して総務省は、交付税率(国税のうちの地方交付税財源の比率)引き上げを事項要求としています。

都市部に集約
総務省は、14年度に着手した「新たな広域連携」の推進に15億円を計上。このうち「地方中枢拠点都市圏の形成」などに4・8億円を掲げ、1・3億円で始めたモデル事業を全国展開する方針です。
新たに過疎地域の複数集落を基幹集落を中心にひとまとまりにする「集落ネットワーク圏の形成」として10億円を計上しています。
中心都市や基幹集落に拠点施設やサービスを集約し、周辺地域とはネットワークで結ぶものです。国土交通省も「都市機能の集約とネットワーク構築」として「コンパクトシティの推進」に153億円を掲げています。
「地方創生」といいながら、周辺地域や中小市町村の切り捨てが進み、自治体の事実上の新たな改編や道州制の導入につながる危険性をはらむものです。
このほか総務省は、大規模災害に備えて消防体制強化に137億3千万円を要求。各地から応援に駆け付ける緊急消防援助隊の増強に45億円を掲げています。

一般財源総額の確保や道州制反対を掲げる全国町村長大会=2013年11月20日
浪費の番号制
社会保障費の抑制と徴税の強化、プライバシー漏えいと悪用が危惧される「個人番号制度(15年度実施)」について、新たに「個人番号力カード」の活用を掲げて326億円を計上しています。自治体のシステム整備費の見積額を超える分を事項要求としており、浪費の面からも必要性のなさを示しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月19日付掲載
「コンパクトシティ」などと聞こえのいい言葉を使いながら、過疎地は見捨てて、都市部に集中しようってことでしょ。
地域が自立できる財政的支援が求められます。
地方の財源では、地方税収と地方交付税など使途が特定されない=般財源」の総額について、2014年度の水準を「実質的に確保する」とし、2・1%増の61兆6000億円程度を見込んでいます。このうち地方交付税は、地方税収増を見込んで、前年度当初予算比5%減の16兆450億円としています。
国は、14年度に引き続き「リーマン・ショック後の危機対応モードから平時モードへ切り替えを進めていく」方針で、15年度は一般会計からの別枠加算を前年度の6100億円から5000億円程度に縮小する考えです。
地方の人口減対策や「地方創生」などについては「特別枠」(新しい日本のための優先課題推進枠)が設けられており、各省が少子化や地域産業・雇用対策、防災、国際競争力強化などを掲げています。
内閣府は「地方創生・人口減少克服」推進の新たな交付金の創設を掲げています。前担当相は初年度2000億円、5年間で1兆円程度としていました。
これと関連して総務省は、交付税率(国税のうちの地方交付税財源の比率)引き上げを事項要求としています。

都市部に集約
総務省は、14年度に着手した「新たな広域連携」の推進に15億円を計上。このうち「地方中枢拠点都市圏の形成」などに4・8億円を掲げ、1・3億円で始めたモデル事業を全国展開する方針です。
新たに過疎地域の複数集落を基幹集落を中心にひとまとまりにする「集落ネットワーク圏の形成」として10億円を計上しています。
中心都市や基幹集落に拠点施設やサービスを集約し、周辺地域とはネットワークで結ぶものです。国土交通省も「都市機能の集約とネットワーク構築」として「コンパクトシティの推進」に153億円を掲げています。
「地方創生」といいながら、周辺地域や中小市町村の切り捨てが進み、自治体の事実上の新たな改編や道州制の導入につながる危険性をはらむものです。
このほか総務省は、大規模災害に備えて消防体制強化に137億3千万円を要求。各地から応援に駆け付ける緊急消防援助隊の増強に45億円を掲げています。

一般財源総額の確保や道州制反対を掲げる全国町村長大会=2013年11月20日
浪費の番号制
社会保障費の抑制と徴税の強化、プライバシー漏えいと悪用が危惧される「個人番号制度(15年度実施)」について、新たに「個人番号力カード」の活用を掲げて326億円を計上しています。自治体のシステム整備費の見積額を超える分を事項要求としており、浪費の面からも必要性のなさを示しています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月19日付掲載
「コンパクトシティ」などと聞こえのいい言葉を使いながら、過疎地は見捨てて、都市部に集中しようってことでしょ。
地域が自立できる財政的支援が求められます。