15年度予算 概算要求の焦点 農林水産③ 農地集積推進に大幅増額
2015年度農林水産関係予算の概算要求は、14年度当初予算比14・1%増の2兆6541億円です。公共事業費が22・2%増の8038億円、非公共事業費が10・9%増の1兆8503億円。改訂版「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づき、環太平洋連携協定(TPP)を見越した「農政改革」を推進します。
23年までに全農地面積の8割を、政府が農業生産の中心と位置づける「担い手」に集める農地集積推進の予算の大幅増額を要求しました。

大型コンバインで稲刈りをする農家=茨城県取手市
企業進出に道
農地集積は、企業の農地進出の道を広げるために、14年度に始まった事業です。
その中心的役割を担う農地中間管理機構の本格稼働に14年当初比89・1%増の約576億円を要求。その関連で、農業農村整備事業で実施する農地の大区画化などの推進に34・3%増の約1429億円を充当しています。
一方、農地集積での農業委員会関連事業については、「予算編成過程において検討」としました。政府が農業委員会の役割を弱める方向で制度の見直しを打ち出していることに対応しています。

畜産には新規
畜産・酪農には、新規事業が集中しています。農家に機械のリースや施設整備を支援する畜産収益力強化対策に約160億円。畜産環境の整備を支援する地域畜産環境総合対策に約61億円。和牛の生産拡大や生乳供給力の向上を目指す畜産・酪農生産力強化緊急対策事業に約30億円。いずれも新規です。
高齢化や飼料高騰などで畜産・酪農の離農者が増え、生産基盤が揺らいでいることへの対策だとしています。
しかし、7月に結ばれた日本・オーストラリア経済連携協定(EPA)や現在交渉中のTPPによって、畜産・酪農が大きな打撃を受けることは、農水省の試算によっても明らかです。
経営所得安定対策では、諸外国との生産条件の格差による不利がある畑作物への直接支払交付金に14年度当初同額の約2093億円を要求。対象者は認定農業者、集落営農、認定新規就農者に限定されます。18年産から廃止され、17年産までは時限措置として実施される米の直接支払交付金も同じく同額の約806億円。米・畑作物の収入減少影響緩和対策は6・8%増の約802億円。ただし、15年産(16年度予算)からは、対象者が認定農業者、集落営農、認定新規就農者に限定されます。
林野関係は14年度当初比16・9%増の約3410億円、水産関連は18・6%増の約2299億円。なお、農水省の農林水産関係予算には、国交省と内閣府が計上する農林水産関係の公共事業費の合計約1991億円が含まれています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月11日付掲載
TPPの締結を前提にすると、やっぱり規模の大型化、農地の集約という方向になるのでしょうね。
日本の場合は、やっぱり家族経営中心が実態なのですから、予算もそれを応援する方向に切り替える必要があります。
2015年度農林水産関係予算の概算要求は、14年度当初予算比14・1%増の2兆6541億円です。公共事業費が22・2%増の8038億円、非公共事業費が10・9%増の1兆8503億円。改訂版「農林水産業・地域の活力創造プラン」に基づき、環太平洋連携協定(TPP)を見越した「農政改革」を推進します。
23年までに全農地面積の8割を、政府が農業生産の中心と位置づける「担い手」に集める農地集積推進の予算の大幅増額を要求しました。

大型コンバインで稲刈りをする農家=茨城県取手市
企業進出に道
農地集積は、企業の農地進出の道を広げるために、14年度に始まった事業です。
その中心的役割を担う農地中間管理機構の本格稼働に14年当初比89・1%増の約576億円を要求。その関連で、農業農村整備事業で実施する農地の大区画化などの推進に34・3%増の約1429億円を充当しています。
一方、農地集積での農業委員会関連事業については、「予算編成過程において検討」としました。政府が農業委員会の役割を弱める方向で制度の見直しを打ち出していることに対応しています。

畜産には新規
畜産・酪農には、新規事業が集中しています。農家に機械のリースや施設整備を支援する畜産収益力強化対策に約160億円。畜産環境の整備を支援する地域畜産環境総合対策に約61億円。和牛の生産拡大や生乳供給力の向上を目指す畜産・酪農生産力強化緊急対策事業に約30億円。いずれも新規です。
高齢化や飼料高騰などで畜産・酪農の離農者が増え、生産基盤が揺らいでいることへの対策だとしています。
しかし、7月に結ばれた日本・オーストラリア経済連携協定(EPA)や現在交渉中のTPPによって、畜産・酪農が大きな打撃を受けることは、農水省の試算によっても明らかです。
経営所得安定対策では、諸外国との生産条件の格差による不利がある畑作物への直接支払交付金に14年度当初同額の約2093億円を要求。対象者は認定農業者、集落営農、認定新規就農者に限定されます。18年産から廃止され、17年産までは時限措置として実施される米の直接支払交付金も同じく同額の約806億円。米・畑作物の収入減少影響緩和対策は6・8%増の約802億円。ただし、15年産(16年度予算)からは、対象者が認定農業者、集落営農、認定新規就農者に限定されます。
林野関係は14年度当初比16・9%増の約3410億円、水産関連は18・6%増の約2299億円。なお、農水省の農林水産関係予算には、国交省と内閣府が計上する農林水産関係の公共事業費の合計約1991億円が含まれています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年9月11日付掲載
TPPの締結を前提にすると、やっぱり規模の大型化、農地の集約という方向になるのでしょうね。
日本の場合は、やっぱり家族経営中心が実態なのですから、予算もそれを応援する方向に切り替える必要があります。