大震災2年 被災地に心を寄せて⑥ 除染 安心置き去り、嘆く住民
除染を政府が直轄で行う福島県11地域のうち宅地など生活圏の除染が始まった地域は4地域。同県の40市町村が除染を行う地域で住宅の除染がすんだのは約1万3000戸(計画戸数は約36万5000戸)です。政府は直轄地域で今年8月までに住民の被ばく線量を50~60%減少させることを目標とし、市町村もそれに準じた目標を掲げてきましたが、思うように進んでいないのが実情です。
除染が進まない最大の要因は、除去した土などの仮置き場の確保が難しいことにありますが、作業員など現場の人材不足、効果的除染方法の未確立という問題もあります。

平積みされた除染による除去物=6日、福島市小金山地区
宅地に除去物
福島市では約4000戸の除染が終わりました。特徴は仮置き場がなくても、除去物を宅地に保管して除染を進めていることです。
除染が進められている信夫山のふもとに位置する福島市小金山地区―。斜面に家が密集しその間を縫うように細い道が通っています。重機が入れない所が大半です。家の庭には平置きされた除去物を覆ったブルーシートが目に入ってきます。
管野スイヨさん(78)は「業者は奥の部屋の脇に除去物を置くしかないというが、そこは孫の部屋だからとんでもないことだ」といいます。
除染は宅地優先で、家の前の道、周りの森林は手付かずです。森林から降りてくる放射性物質の影響で思うように宅地の放射線量が下がらない、塀を洗浄し道に降りた放射性物質が除去されないという問題点があります。
後藤カネ子さん(70)は「やり方があまりに画一的。住民の目線で、除染効果とともに安心感を持てるやり方にしてほしい」と話します。
その他にも住民から▽高圧洗浄機の水が垂れ流しの例がある▽家屋除染と庭の除染が分業されていて除染が1度で終わらない。半年のずれが出る例もある▽モニタリングの結果の報告がない―などの批判が出ています。
現地に丸投げ
本来、除染は東京電力と国が責任を持つもので、市町村による除染も国の法定受託事務として行われています。除染を進める上で重要な中間貯蔵施設の設置もめどが立たない状況。2013年度から除染技術の実証研究も市町村主体にする動きが出てきています。
これに対して福島市の除染担当者は「実証研究は国が責任を持つ分野だ。こっちは除染の対応で手いっぱい。現場主義といえば聞こえはいいが、結局すべて市町村に丸投げということだ」と指摘しています。(つづく)
【除染】 東京電力福島第1原発事故でまき散らされた放射性物質を取り除き隔離する作業。国が直轄で除染を行う福島県11地域(除染特別地域)と、国の資金援助を受けて法定受託事務として市町村が除染を行う8県101地域(汚染状況重点調査地域)に分かれています。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月9日付掲載
仮置き場とか中間貯蔵施設など場所の確保が難しいことと思います。それでも、一日でも早く除染が終わって、安心して暮らせるようになって欲しいと思います。
除染を政府が直轄で行う福島県11地域のうち宅地など生活圏の除染が始まった地域は4地域。同県の40市町村が除染を行う地域で住宅の除染がすんだのは約1万3000戸(計画戸数は約36万5000戸)です。政府は直轄地域で今年8月までに住民の被ばく線量を50~60%減少させることを目標とし、市町村もそれに準じた目標を掲げてきましたが、思うように進んでいないのが実情です。
除染が進まない最大の要因は、除去した土などの仮置き場の確保が難しいことにありますが、作業員など現場の人材不足、効果的除染方法の未確立という問題もあります。

平積みされた除染による除去物=6日、福島市小金山地区
宅地に除去物
福島市では約4000戸の除染が終わりました。特徴は仮置き場がなくても、除去物を宅地に保管して除染を進めていることです。
除染が進められている信夫山のふもとに位置する福島市小金山地区―。斜面に家が密集しその間を縫うように細い道が通っています。重機が入れない所が大半です。家の庭には平置きされた除去物を覆ったブルーシートが目に入ってきます。
管野スイヨさん(78)は「業者は奥の部屋の脇に除去物を置くしかないというが、そこは孫の部屋だからとんでもないことだ」といいます。
除染は宅地優先で、家の前の道、周りの森林は手付かずです。森林から降りてくる放射性物質の影響で思うように宅地の放射線量が下がらない、塀を洗浄し道に降りた放射性物質が除去されないという問題点があります。
後藤カネ子さん(70)は「やり方があまりに画一的。住民の目線で、除染効果とともに安心感を持てるやり方にしてほしい」と話します。
その他にも住民から▽高圧洗浄機の水が垂れ流しの例がある▽家屋除染と庭の除染が分業されていて除染が1度で終わらない。半年のずれが出る例もある▽モニタリングの結果の報告がない―などの批判が出ています。
現地に丸投げ
本来、除染は東京電力と国が責任を持つもので、市町村による除染も国の法定受託事務として行われています。除染を進める上で重要な中間貯蔵施設の設置もめどが立たない状況。2013年度から除染技術の実証研究も市町村主体にする動きが出てきています。
これに対して福島市の除染担当者は「実証研究は国が責任を持つ分野だ。こっちは除染の対応で手いっぱい。現場主義といえば聞こえはいいが、結局すべて市町村に丸投げということだ」と指摘しています。(つづく)
【除染】 東京電力福島第1原発事故でまき散らされた放射性物質を取り除き隔離する作業。国が直轄で除染を行う福島県11地域(除染特別地域)と、国の資金援助を受けて法定受託事務として市町村が除染を行う8県101地域(汚染状況重点調査地域)に分かれています。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月9日付掲載
仮置き場とか中間貯蔵施設など場所の確保が難しいことと思います。それでも、一日でも早く除染が終わって、安心して暮らせるようになって欲しいと思います。