大震災2年 被災地に心を寄せて⑤ 福島原発事故で避難生活 家族分断、かさむ出費
東京電力の福島第1原発事故で故郷を追われた福島県民は15万人余、うち「県外避難者」は5万8千人にのぼります。東電側が賠償の打ち切りを急ぐなか、政府による避難指示区域外からの避難住民や県外、遠方への避難住民は、生活費がかさむ苦しい生活を強いられています。
支える責任が
福島市から山形県米沢市の雇用促進住宅に避難している武田徹さん(72)。避難住民の自治会長を務めながら、「福島原発避難者の会in米沢」代表として国と東電に賠償を求め交渉しています。
先月、福島県をはじめ山形や沖縄から180人が上京して交渉した場で武田さんは訴えました。「気候の違う米沢での暮らし。豪雪地帯のため団地の駐車場の融雪装置のモーターの電気代や修繕の費用がーシーズンに2万5千円もかかる。まるきり余計な出費です。何の落ち度もなく避難住民となった私たちの生活を支える責任が国と東電にあるのではないのか」
家族が福島を出て、離れ離れで暮らしている人も少なくありません。妻と5歳の娘が京都市に避難した男性(46)は、「自分は実家に身を寄せて、給料は全額を妻と子に仕送りしている」といいます。
避難住民の実態調査を行っている福島大学の丹波史紀准教授(社会福祉論)は、こう指摘します。「福島県外に避難した人の半数約3万人が政府による避難指示区域外の人たちだと思われます。多くが父親だけ県内に残っている家族で、山形県の調査によれば月10万円以下の生活をしている世帯が半数近くを占めていました」

国と東電に「すべての被害者・避難者に賠償を」と求める被害者ら=2月20日、国会内
進まない支援
こうしたなか、法制度整備による原発事故被害者・避難者支援の動きもあります。昨年6月に超党派の議員が提出し全会一致で成立したのが、原発事故子ども・被災者支援法です。
同法は、住民が避難する権利、居住する権利、帰還する権利を認めています。健康・医療の確保などとともに、家族と離れて暮らす子どもに対する支援を行うとしています。
しかし、同法をめぐっては実施を具体化する基本方針の策定が進んでいません。また、復興庁は、同法の意義や活用について被災者や自治体に積極的に広報しようとしていません。そのため、被災者や市民団体が相次いで国会内で集会を開き、当事者の声を聞いて早急に支援に反映させるよう求めています。
「政府が支援法の基本方針の基準を決めることに固執するだけでは、支援はすすまない」と丹波准教授は強調します。「いま避難している人たちの生活再建のニーズに応じて支援する必要がある。同時に、避難している地域で働き、学校に通い、健康相談ができるなど安心して暮らせるようにするためのメニューを具体化すべきです」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月8日付掲載
原発からの避難住民の生活は本当に大変ですね。子どもを安全な地域に避難させる、仕事があるから親は元に戻る、などなど…。
NHKスペシャルで「いのちの記録を未来へ 震災ビッグデータ」をやっていました。震災後、避難住民がどのように避難していったかが、携帯電話のGPS機能やカーナビゲーションのGPS機能で蓄積された膨大なデータを追跡することでわかるとの事。その膨大なデータを解析して、視覚的に示していました。
最初は一緒に避難してたのが途中でバラバラになったことも、これでわかるそうです。
家族が一緒に暮らせる生活を一日も早く取り戻すようにしないといけませんね。
東京電力の福島第1原発事故で故郷を追われた福島県民は15万人余、うち「県外避難者」は5万8千人にのぼります。東電側が賠償の打ち切りを急ぐなか、政府による避難指示区域外からの避難住民や県外、遠方への避難住民は、生活費がかさむ苦しい生活を強いられています。
支える責任が
福島市から山形県米沢市の雇用促進住宅に避難している武田徹さん(72)。避難住民の自治会長を務めながら、「福島原発避難者の会in米沢」代表として国と東電に賠償を求め交渉しています。
先月、福島県をはじめ山形や沖縄から180人が上京して交渉した場で武田さんは訴えました。「気候の違う米沢での暮らし。豪雪地帯のため団地の駐車場の融雪装置のモーターの電気代や修繕の費用がーシーズンに2万5千円もかかる。まるきり余計な出費です。何の落ち度もなく避難住民となった私たちの生活を支える責任が国と東電にあるのではないのか」
家族が福島を出て、離れ離れで暮らしている人も少なくありません。妻と5歳の娘が京都市に避難した男性(46)は、「自分は実家に身を寄せて、給料は全額を妻と子に仕送りしている」といいます。
避難住民の実態調査を行っている福島大学の丹波史紀准教授(社会福祉論)は、こう指摘します。「福島県外に避難した人の半数約3万人が政府による避難指示区域外の人たちだと思われます。多くが父親だけ県内に残っている家族で、山形県の調査によれば月10万円以下の生活をしている世帯が半数近くを占めていました」

国と東電に「すべての被害者・避難者に賠償を」と求める被害者ら=2月20日、国会内
進まない支援
こうしたなか、法制度整備による原発事故被害者・避難者支援の動きもあります。昨年6月に超党派の議員が提出し全会一致で成立したのが、原発事故子ども・被災者支援法です。
同法は、住民が避難する権利、居住する権利、帰還する権利を認めています。健康・医療の確保などとともに、家族と離れて暮らす子どもに対する支援を行うとしています。
しかし、同法をめぐっては実施を具体化する基本方針の策定が進んでいません。また、復興庁は、同法の意義や活用について被災者や自治体に積極的に広報しようとしていません。そのため、被災者や市民団体が相次いで国会内で集会を開き、当事者の声を聞いて早急に支援に反映させるよう求めています。
「政府が支援法の基本方針の基準を決めることに固執するだけでは、支援はすすまない」と丹波准教授は強調します。「いま避難している人たちの生活再建のニーズに応じて支援する必要がある。同時に、避難している地域で働き、学校に通い、健康相談ができるなど安心して暮らせるようにするためのメニューを具体化すべきです」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年3月8日付掲載
原発からの避難住民の生活は本当に大変ですね。子どもを安全な地域に避難させる、仕事があるから親は元に戻る、などなど…。
NHKスペシャルで「いのちの記録を未来へ 震災ビッグデータ」をやっていました。震災後、避難住民がどのように避難していったかが、携帯電話のGPS機能やカーナビゲーションのGPS機能で蓄積された膨大なデータを追跡することでわかるとの事。その膨大なデータを解析して、視覚的に示していました。
最初は一緒に避難してたのが途中でバラバラになったことも、これでわかるそうです。
家族が一緒に暮らせる生活を一日も早く取り戻すようにしないといけませんね。