会社帰りに西荻駅前のスーパーでウーロン茶の
ペットボトルを買い、ビニール袋をぶら下げてタラタラ歩いて
いたのだが、ふとした瞬間に夜道に街灯に照らされる桜の木に
気がついた。桜の木は、いつも通る道を一本脇に入ったところに、
白い壁のちょっと古ぼけたマンションの脇にひっそりと
咲いている。花がなぜ美しいのかというのと、自分が美しいとも
知らずただひっそりと咲いているかだ、という詩を読んだことがあるが、
まさにそんな感じで、遠くから見ていると夜の風景に溶け込むような
美しい枝ぶりの桜だった。しかも満開。
ただボーっと見ていたのだが、そのうちにその白い壁のマンションは
実は昔西荻に住んでいた僕の友人の女性が住んでいたマンション
であることに突然気がついた。今まで彼女のことを何度も思い出して
はいたのだが、住んでいたマンションがどこかなんてすっかり
忘れていてなかばどうでもよくなっていたのだ。そういえば
あのマンションに上がりこんではよく話し込んでいたっけ。
突然懐かしい感情が込上げてきて、えもいわれぬ気分になった。
喪失感とか寂寥感とか、過去に対する距離感とかいろいろ感じた。
それで耐えられなくなって、足早にその場をさってしまった。
至極平凡な行動だが。
ペットボトルを買い、ビニール袋をぶら下げてタラタラ歩いて
いたのだが、ふとした瞬間に夜道に街灯に照らされる桜の木に
気がついた。桜の木は、いつも通る道を一本脇に入ったところに、
白い壁のちょっと古ぼけたマンションの脇にひっそりと
咲いている。花がなぜ美しいのかというのと、自分が美しいとも
知らずただひっそりと咲いているかだ、という詩を読んだことがあるが、
まさにそんな感じで、遠くから見ていると夜の風景に溶け込むような
美しい枝ぶりの桜だった。しかも満開。
ただボーっと見ていたのだが、そのうちにその白い壁のマンションは
実は昔西荻に住んでいた僕の友人の女性が住んでいたマンション
であることに突然気がついた。今まで彼女のことを何度も思い出して
はいたのだが、住んでいたマンションがどこかなんてすっかり
忘れていてなかばどうでもよくなっていたのだ。そういえば
あのマンションに上がりこんではよく話し込んでいたっけ。
突然懐かしい感情が込上げてきて、えもいわれぬ気分になった。
喪失感とか寂寥感とか、過去に対する距離感とかいろいろ感じた。
それで耐えられなくなって、足早にその場をさってしまった。
至極平凡な行動だが。