く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ダイコン(大根)> 菜の花のような十字形の4弁花

2019年04月18日 | 花の四季

【古名は「おほね」、春の七草では「すずしろ」】

 アブラナ科ダイコン属の2年草で、栽培の歴史は古い。約4000年前にはエジプトのピラミッド建設労働者にニンニクなどとともに供されていた、との記録が碑文に残されているという。シルクロードを経由し日本にも古い時代に中国から渡ってきた。国内で品種改良が重ねられ新品種が次々と生み出された。その数は優に100種を超える。青首大根をはじめ各地で栽培される主な〝地大根〟だけでも、挙げるときりがない。三浦、練馬、亀戸、聖護院、桃山、守口、伊吹、源助、桜島……。生産・消費量は日本が世界全体の9割を占めるともいわれる。まさに世界最大の〝大根超大国〟だ。

 ダイコンは記紀に「おほね(おおね)」として「淤富泥」「於朋泥」「於保爾」などの表記で登場する。仁徳天皇が嫉妬深い皇后、磐之媛(石之日売)に向けて詠んだ歌の一つ「つぎねふ山背女の木鍬持ち打ちし於朋泥根白の白腕枕かずけばこそ知らずとも言はめ」。平安中期の辞書『和名類聚抄』には「ヲホネ」の項で「和名を於保祢と称し、俗に大根と記される」とある。このことから平安時代には既に「おほね」を漢字で「大根」とも書いていたことが分かる。今のように音読みで「だいこん」と呼ぶようになったのは中世の鎌倉~室町時代の頃らしい。室町中期の15世紀後半に編纂された『節用集』の中に「大根(だいこん)、又蘆菔(ろふ)、羅菔(らふ)、大根(おほね)」とあるそうだ。

 ダイコンの花はアブラナ科の植物に特徴的な十字形の4弁花で、花の色は白または淡紫色。よく似た近縁の植物にハマダイコンがある。これは栽培されていたダイコンが畑から逃げ出して浜辺や河原などの砂地で野生化したもの。「大根」が冬の季語なのに対し「大根の花」は晩春。「宗次郎におかねが泣きて口説き居り 大根の花白きゆふぐれ」(石川啄木)。俳句で「花大根」というときは音数調整により普通「はなだいこ」と読む。「花大根黒猫鈴をもてあそぶ」(川端茅舎)。「花大根」と書いて「はなだいこん」と読む場合、最近は中国原産の帰化植物で赤紫色の花を付けるオオアラセイトウ(別名諸葛菜=しょかつさい)を指すことが多い。

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