く~にゃん雑記帳

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<春日大社の鼉太鼓> 4年がかりの大修理終えて初公開

2019年04月02日 | メモ

【源頼朝寄進の伝承もある鎌倉時代初期の作】

 奈良市の春日大社が公益財団法人美術院の協力で2015年度から進めていた「鼉太鼓(だだいこ)」(重要文化財)の本格修理が完了、かつての迫力のある荘厳な姿を取り戻した。その完成を記念し、1日から境内の一角にある「国宝殿」で初公開が始まった。鼉太鼓は「春日若宮おん祭」など屋外の舞楽演奏に用いられる左右一対の巨大な太鼓。復活した鼉太鼓は撮影禁止の2階展示室に飾られているが、1階玄関ホールには複製(下の写真)も展示されており、新旧のものを見比べることができる。

 この鼉太鼓は平重衡による南都焼き討ち後の復興期に慶派仏師らによって製作されたとみられる。寄進者は源頼朝とも伝わる。高さは6.58m、胴の直径は2.12m、重さは約2トン。胴の両側に牛革製の鼓面が張られており、周りを炎の形をした火焔縁で飾る。左右一対で陰陽道の世界観を表現しているそうだ。〝左方〟の上部には太陽を表す金色の日輪が乗り、火焔部分には巨大な龍の彫り物。一方〝右方〟上部には月を表す銀色の月輪が乗って、火焔には鳳凰が彫られている。鼓面の図柄も左方が三つ巴、右方は二つ巴という違いがある。

 現存する鼉太鼓としては法隆寺所蔵のものに次いで古く、高さでは大阪の四天王寺所蔵に次ぐという。内部修理銘によって近年では江戸時代後期の1800年代初めと明治時代の1903~05年に本格的な修理が行われたことが確認されている。この鼉太鼓は1976年のおん祭まで実際に使われていた。しかし、鼓面が破れるなど傷みが激しさを増してきたため、新しい複製品の完成を機に現役を退いた。今回の平成の大修理は約110年ぶりだった。

 国宝殿では修理を終えた鼉太鼓の公開に合わせ、平安時代の蒔絵筝や藤原忠実奉納の蒔絵笙(いずれも国宝)などの雅楽器、平安~江戸時代の舞楽面や舞楽装束なども展示中。また向かいの小展示室では「アート・オブ・ザ・サムライ」展と銘打ち、楠木正成奉納と伝わる甲冑「黒韋威矢筈札胴丸(くろかわおどしやはずざめどうまる)」(国宝)をはじめ、華やかな蒔絵で彩られた馬具や具足、刀剣類なども展示している。会期はいずれも9月1日まで。

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