く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<桜島> 大正噴火のすさまじさ、「黒神埋没鳥居」で実感!

2016年08月19日 | 旅・想い出写真館

【一面に広がる溶岩原とたくましく根を張るクロマツの林】

 世界有数の活火山・桜島。有史以来17回の大噴火を繰り返し、大正噴火(1914年1月12日)では流出した大量の溶岩によって大隅半島と陸続きになった。今年は噴火の回数は減っているものの、1月から8月15日までで合計153回に上る。つい1カ月近く前の7月26日にも昭和火口で爆発的噴火が起き、噴煙の高さは約3年ぶりに火口上5000mに達した。その桜島を間近で見ようと、フェリーが発着する西側の桜島港から周回道路(国道224号)を反時計回りした。(下の写真は大正噴火で埋まった「黒神埋没鳥居」)

 桜島は北岳と南岳という2つの主峰を持つ複合火山。そのふもとには草原ならぬ「溶岩原(ようがんげん)」を見渡せる展望所が数箇所ある。そのうち南岳のふもとにある「有村溶岩展望所」に立ち寄った。ごつごつした黒っぽい溶岩が折り重なるように広がる。中には「ライオン岩」と呼ばれる溶岩も。西に南岳、東に錦江湾を望む。ここから見る火山の山容は鹿児島市内やフェリーの船上から望む横長の台形とは違って、きれいな円錐形だった。

 

 無数の溶岩の間を縫って遊歩道(約1キロ)が整備されていた。所々に桜島を詠んだ歌碑が立つ。「わが前に桜島あり西郷も大久保も見し火を噴く山ぞ」(作家の海音寺潮五郎)、「わが胸の燃ゆる思ひにくらぶれば煙はうすし桜島山」(幕末の尊王攘夷の志士、平野国臣)」……。目を引いたのは溶岩の上にたくましく根を張るクロマツたち。この展望所だけでなく道路沿いにも松林が広がっていた。クロマツは日当たりがいい乾燥した裸地に最初に入り込む〝パイオニア(先駆)植物〟の1つといわれる。

 大正噴火は大量の噴石や火山灰で桜島東側の黒神集落を埋め尽くした。たった1日で2mも降り積もり、高さ3mの腹五社(はらごしゃ)神社の鳥居も笠木部分だけ残して埋もれてしまった。被災後、掘り起こそうとした住民に対し、当時の村長は「噴火の記憶を後世に残そう」と中止させたという。この「黒神埋没鳥居」は〝猛威を語り継ぐ鳥居〟として鹿児島県の天然記念物に指定され、地域住民や中学生たちによって大事に守られているそうだ。

 

 鹿児島では毎春、桜島の降灰が予想される地域の家庭に灰を回収する専用の袋を配布しているという。その名は「克灰袋」(写真㊨は鹿児島市の名勝「仙巌園(磯庭園)」で)。25年前に呼び名を「降灰袋」から変更した。そこには「降灰に強い快適な都市を目指し、積極的に降灰を克服しよう」という強い思いが込められている。桜島には今も約5000人が暮らす。度重なる火山災害の一方で、火山は特産の「桜島大根」「桜島小みかん」や温泉、観光客の誘致など多くの恵みももたらしてくれる。桜島を周回する国道224号は別名「溶岩道路」として親しまれているという。桜島を訪ねて、火山と共生する地域の姿をほんの少し垣間見ることができた。

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