く~にゃん雑記帳

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<奈良市写真美術館>〝十二人目の練行衆〟入江泰吉の「お水取り」展

2014年01月31日 | 美術

【30余年二月堂に籠って行法の全てを活写】

 東大寺二月堂のお水取り(修二会)まであと1カ月。奈良市写真美術館(奈良市高畑町)ではこれに合わせて「入江泰吉 お水取り」展を開催中(3月16日まで)。戦後、大阪から郷里奈良に引き揚げた入江は二月堂の鐘の響きに誘われるようにお水取りに参籠し、練行衆11人と同じ世界に身を置いた。それは30有余年にもわたり、厳しい行法を記録し続けた入江は〝十二人目の練行衆〟とも呼ばれた。(写真は「東大寺お水取り お松明」)

  

 お水取りの本行は3月1日からの2週間だが、その前に「別火」と呼ばれる前行がある。火打ち石で起こした火を使って精進潔斎の生活をするもので、前半の「試(ころ)別火」(2月20~25日)と後半の「総別火」(26~28日)に分かれる。この間、練行衆にはやるべきことが多い。声明や法螺貝の稽古、椿の花拵(こしら)え、紙衣(かみこ)づくり……。こうした前行の様子を、白黒写真を中心に紹介する。(下の写真は㊧「夜の別火坊」、㊨「貝の吹き合わせ」)

   

 本行に入ると毎日6回、十一面悔過(けか)法要が行われる。本行の写真も二月堂に上堂する際の「お松明」や一部写真を除いてほとんどがモノクロ。食堂(じきどう)作法、神名帳の読み上げ、走りの行法、五体投地、達陀(だったん)の行法……。これらの写真から行の厳しさとともに冷気まで伝わってきた。ご飯を鳥のため紙に包んで放り投げる「生飯(さば)なげ」の写真もあった。

 美しいカラー写真も会場を彩った。とりわけ紅色に白の絞りが入った大輪の椿が地面を埋め尽くす「良弁堂のりこぼし」にはハッとさせられた。お水取りが終わると、古都奈良にも春がすぐそこに。会場出口には二月堂を背にソメイヨシノが咲き誇る「二月堂春宵」と「春めく二月堂裏参道」の2枚の大きな写真が飾られていた。

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