く~にゃん雑記帳

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<薬師寺・山田法胤管主> 「怖いのは天災・人災による火事」防火ゼミナールで

2014年01月25日 | メモ

【講演終了後、解体中の国宝東塔を現場上部から見学】

 奈良市の薬師寺で24日午前、放水はしご車も参加して消防訓練があり、続いて「まほろば会館」で奈良市消防局主催の文化財防火ゼミナールが開かれた。ゼミナールでは山田法胤管主(法相宗管長)が聴講者約120人を前に「薬師寺の今昔と防災」と題して講演。この後、奈良県教育委員会文化財保存課の馬塲宏道・薬師寺出張所主任の講演「文化財の防火と東塔工事」があり、終了後、国宝三重塔・東塔の解体現場見学会も行われた。

 山田管主は法隆寺の若草伽藍焼失(670年)や平重衡による東大寺・興福寺焼き討ち(1180年)、文化財保護法制定の契機となった法隆寺金堂壁画の焼損(1949年)、放火による金閣寺炎上(1950年)などを挙げながら、「一番怖いのは雷・地震・水害などの天災」とし、次に怖いものとして「恨み・嫉み・怒りなど人の心の動きによって起きる人災」を挙げた。

 「人の感覚は6つから成る。目・耳・鼻・舌・皮膚、そして心。だから心身を清らかな状態に保とうと〝六根清浄〟を唱える」「仏教では心の中で火が燃えカッカとすることを火難、情に溺れることを水難、風の便り・世間のうわさに惑われることを風難という。3つの難を整えることによって災いから守られる」。

 

 薬師寺は1528年、戦乱の兵火によって東塔を除き金堂や西塔などをことごとく焼失した。その後、長く荒廃したままで「昭和31年(1956年)に小僧として入寺したときも東塔しかなかった」。だが、その後管主に就任した高田好胤師が提唱した写経勧進によって伽藍が次々に復興されてきた。

 全国から寄せられた写経はこれまでに760万巻に上る。それらの写経はいま金堂内の納経蔵に納められている。怖いのは火災。「写経の紙は和紙のため長持ちするが、紙は火事・水・風に弱い」。山田管主は訓示の中でいつも「一に火の用心、二にも火の用心」と繰り返しているそうだ。

 山田管主の講演はリニア中央新幹線の中間駅誘致問題にも及んだ。奈良県内では生駒市や大和郡山市などが候補地に名乗りを上げ誘致合戦を展開中。これに対し山田管主は「もっと日本全体のことを考えて奈良が1つになって考えることが大切」と強調したうえで、「平城京の南にあった羅城門を復元し、そのそばに駅を誘致したらどうだろうか」との持論を披露した。

 この後、巨大な素屋根で覆われた東塔の解体現場を見学した。解体は2009年に始まり、18年には竣工の予定。すでに水煙などの相輪や屋根瓦などは下ろし終えており、現在は三重のうち二重目の部材の解体作業が進められている。高さ20mほどの所から見下ろすと、真ん中から太い心柱が突き出ていた。復元された三重部分の柱には破損や腐食も目立つ。16年度中には全ての解体を終わる予定だが、今後の解体作業でどんな新発見があるのだろうか。

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