【長寿だった奈良時代・光仁天皇の故事にちなみ】
奈良市の大安寺で23日「がん封じ笹酒祭り」(光仁会)が行われた。奈良時代、光仁天皇(709~81年)が境内の竹林から切り出した青竹で酒を飲んで長寿を保ち、62歳で天皇に即位した故事にちなむ。多くの参拝客が「笹娘」から青竹の杯にお酒を注いでもらい大切そうに口に運んでいた。
がん封じの祈祷が行われる本堂の前には、参拝客の長蛇の列が途切れることがなかった。祈祷を受けた後は本堂裏手の笹酒接待場所へ。着物姿の若い笹娘7~8人が長い竹筒を持ってずらりと並ぶ。笹娘の中には中国からの留学生という女性もいた。竹筒の中には焚き火で温めたお酒。お代わり自由とあって、繰り返しもらってペットボトルに注ぐ参拝客もいた。
車を運転してきた参拝客向けには祈祷ずみという〝笹水〟を振る舞った。そのそばには「笹水 こちらでおあがり下さい」の看板。だが竹筒で笹水を差し出す笹娘は同じ格好なので紛らわしく、「水です」という言葉に「えっ」と言ってお酒の方に移動する参拝客も目立った。地元の特産品などを売る露店も多く出店し、境内は終日にぎわった。