く~にゃん雑記帳

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<竹の〝寒干し〟> 全国一の「茶筌の里」生駒市高山の冬の風物詩

2014年01月19日 | メモ

【25日ごろから本格化、田んぼに円錐形の幾何学模様】

 全国の茶筌(ちゃせん)生産量の9割を占める「茶筌の里」奈良県生駒市の高山地区で、材料の竹を天日干しする「寒干し」が始まった。竹の水分を飛ばし堅くツヤを出すための大切な作業。例年12月後半から3月初めにかけて行われる。今年は25日ごろから最盛期を迎えそうという。

 

 高山の茶筌は室町時代の中頃、高山城主の次男・宗砌(そうせつ)が、侘び茶の始祖で親友の村田珠光(1422~1502)から制作を依頼されたのが始まり。その後、家臣16人による〝一子相伝〟の秘伝の技として受け継がれてきた。今では高山茶筌生産協同組合に茶筌師21人が加入し、年間生産量は30万~40万本に上る。高山は柄杓、茶杓、茶合、花器などの茶道具や編み針の生産地としても知られる。

 寒干しは油抜きした直径2~3cmの3年生の竹を約1.5mに切って、冬の厳寒の日差しの中で干すもの。期間は1カ月から1カ月半。その間に満遍なく日が当たるように1週間に1回程度、竹を回転させるそうだ。仮に寒干しをしなかったらどうなるのか。地場産業振興拠点「生駒市高山竹林園」資料館(㊦㊨の写真)の久保建史さんによると「生カビが生えて茶筌の材料としては使えない」そうだ。

 

 寒干しが終わった竹は倉庫で1年以上眠らせた後、皮むき→大割り→片木(へぎ)→小割り→味削り→面取り→上編み・下編み→腰並べ→仕上げという工程を経て完成品になる。そのほとんどが小刀を使う手作業。中でも穂先を薄く加工する味削りは「茶の味は味削りによって変わる」といわれるほど重要で、繊細な熟練の技が要求されるそうだ。資料館では毎週第1と第3日曜日に制作実演を公開している。

 一口に茶筌といっても形状や竹の種類、流派により60種類以上あるという。三千家の場合、表千家は煤竹(すすだけ)、裏千家は淡竹・白竹(はちく)、武者小路千家は黒竹を使う。ちなみに「ちゃせん」は一般的に「茶筅」と書くことが多いが、この「筅」は元々鍋などの焦げ付きを落とす道具「筅・簓(ささら)」に由来するという。このため「ちゃせん」を芸術の域まで高めた高山では、古くから「茶筌」の字を当てるのが通例になっているそうだ。

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