く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ハマギク(浜菊)>野菊で最大の白花 「浜菊に海嘯(つなみ)は古き語り草」

2012年11月02日 | 花の四季

【属名・種小名に「ニッポン」。動植物ではハマギクと鳥のトキだけ】

 日本原産のキク科の多年草。名前が示すように海浜植物で、本州北部の太平洋側、青森県から茨城県の日当たりのいい砂浜や海岸の崖に自生する。花期は9~11月。清楚な白花で直径は6~8cmほどあり、野菊の中では最も大きい。暑さにやや弱いが、潮風や寒さには強く、茎の下部が木質化して冬を越す。種が取れないため、春に若い元気な茎を切り取って「さし芽」で増やす。別名に「フキアゲギク(吹上菊)」、英名は「Nippon daisy(ニッポンデイジー)」。

 江戸時代初期の日本最古の園芸書といわれる「花壇綱目」(1681年出版)に「浜菊」として登場することから、かなり早くから栽培されていたとみられる。学名は「Nipponanthemum nipponicum(ニッポナンテムム・ニッポニクム)」。属名にも種小名にも「ニッポン」が付くのはこのハマギクと、「ニッポニア・ニッポン」の名前を持つ鳥のトキだけ。そのことからも日本を代表する植物であることが分かる。

 その学名の名付け親は茨城県出身の植物学者、松村任三博士(1856~1928年)。東京・小石川植物園の初代園長で、「日本の植物学の父」牧野富太郎博士は門下生の一人。ハマギクは茨城県ひたちなか市や岩手県宮古市の市の花、宮城県七ケ浜町の町花になっている。ところが昨年3月の東日本大震災に伴う大津波では、ハマギクをはじめとする海浜植物も大きな被害を受けた。「浜菊に海嘯(つなみ)は古き語り草」。高浜虚子を師と仰いだ富安風生(1885~1979年)が詠んだこの句が改めて思い起こされる。

 だが温かい地域間交流の中で、元のハマギクの咲く海辺を取り戻そうという動きも活発に。海岸沿いのハマギクが津波で流された宮城県七ケ浜町には昨年夏、茨城県日立市の小学校などから町花ハマギクの苗2800株が贈られた。今年も7月下旬行われた「ありがとう七ケ浜・海まつり」の中でハマギク植樹祭が行われ、700余株が植えられた。ハマギクは「逆境に立ち向かう」という花言葉を持つそうだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする